ユンボ(パワーショベル)を操縦するためには、どのような免許が必要なのでしょうか?本記事では、免許の取り方や費用、試験を通過する難易度などを解説します。加えて、ユンボの免許を取得していることで考えられるメリットなども紹介するので、これから免許取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ユンボってどんな車?
ユンボと聞いても、一般の方にはどのような車なのか、あまりイメージできないかもしれません。また、建設現場であっても、さまざまな車を「ユンボ」と呼んでいるため、結局のところどの車がユンボなのか分かりにくいでしょう。 そこで最初に、ユンボとはどのような車を指すのか解説します。またユンボが担う役割や、その種類についても紹介するので「すでに知っているよ」という方も、改めて確認してみてください。
ユンボとは「掘削用建設機械」の総称
一般的に、キャタピラが付いた台車の上に、ショベルが付けられた車両を指して「ユンボ」と呼びます。ユンボと呼ばれる車両は他にも、パワーショベル・油圧ショベル・ショベルカーといった呼び方があります。しかし、建設現場ではそれら「掘削用建設機械」をまとめて「ユンボ」と呼んでいます。つまりユンボとは、掘削用建設機械の総称だということです。 ユンボはもともと、フランスの会社『SICAM(現ユンボ社)』の製品名でした。その性能の良さから、多くの建設現場で活躍するようになり、油圧ショベルなどの代名詞として「ユンボ」という名前が定着したわけです。 ちなみに、パワーショベルや油圧ショベルと呼び方が多岐にわたるのは、どこで呼ぶかによって名称が変わるためです。それぞれの呼び方についての違いは、以下を参考にしてください。
ユンボ |
掘削用建設機械の総称 建設レンタル企業『レンタルのニッケン』の登録商標 |
油圧ショベル | 建設業界での呼び方 |
パワーショベル | バケット外向きの掘削用建設機械に用いる呼び方 |
ショベルカー | 主にマスコミなどが使用する呼び方 |
ユンボの役割
ユンボ(ショベルカー)の役割と聞くと、まず思い浮かべるのは「掘削作業」かもしれません。もちろん掘削作業をこなすことは、ユンボの大きな役割です。しかし、ユンボが担う役割は、それだけではありません。 ユンボはアタッチメントと呼ばれる先端部分を交換することで、さまざまな用途に活用できます。掘削作業ではショベルのような「バケット」と呼ばれる部品を使っていますが、この部分を交換することで、吊るす・砕く・掴む・切る・持ち上げる・刈るなど、多くの動作を実現できます。多くの役割を一手に引き受ける万能車両が「ユンボ」なのです。
ユンボの種類
ここまでの内容から既にお気づきかもしれませんが、ユンボにはさまざまな種類があります。それらはサイズによって大きく3つに分けられます。 ユンボのなかで最も小型のものは「マイクロユンボ」と呼ばれています。重さが1トン未満であり、建設現場よりも個人で所有されることが多い車両です。ガーデニングなどにも気軽に用いることができます。 次に大きな車両は「ミニユンボ」と呼ばれています。重さは6トン未満であり、面積が狭い建設現場などで活躍します。また、農林業や畜産業などの場面でも、用いられている車両です。 ユンボのなかで最も大型な車両を「大型モデル(ユンボ)」と呼びます。重さが6トン以上あり、大規模な建設現場で活躍する車両です。マイクロユンボやミニユンボより、大きいため操作には相応のスキルが必要となります。
ユンボの操縦に必要な免許・資格は2つ
さまざまな作業をこなすユンボですが、誰でも操縦できるわけではありません。ユンボの操縦には「運転免許」と「操縦資格」といった、2つの免許を取得する必要があります。それぞれの免許(資格)について、こちらで紹介します。ユンボの操縦ができるようになると、仕事の幅がグッと広がるので、ぜひ挑戦してみてください。
運転免許
ユンボの運転をするためには、まず「自動車免許」が必要となります。しかし、全てのユンボが自動車免許を必要とするわけではありません。ユンボには「ホイール式」と「クローラ式」の2種類があります。 2つのうちホイール式を扱う場合は、公道を走るために自動車免許が必要です。ちなみに、クローラ式はそもそも公道を走れる車両ではないため、自動車免許は不要です。 操縦するユンボのサイズによっても、必要となる自動車免許の種類は異なるため、以下の一覧を参考にしてください。
ユンボのサイズ | 必要な免許 |
車両重量:5トン未満 最大積載量:3トン未満 |
普通自動車免許 |
車両重量:5〜11トン未満 最大積載量:6.5トン未満 |
中型自動車免許 |
車両重量:11トン以上 最大積載量:6.5トン以上 |
大型自動車免許 |
操縦資格
ホイール式とクローラ式、いずれを扱う場合でも操縦資格が必要です。そして、ユンボの操縦資格には「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」と「車両系建設機械運転技能講習」といった2種類があります。 それぞれについて、以下でまとめているので、ユンボの操縦資格を取ろうと考えている方は参考にしてください。
資格 | 取得条件 | 取得によってできること |
小型車両系建設機械の運転の 業務に係る特別教育 |
講習の受講 | 3トン未満のユンボの操縦 |
車両系建設機械運転技能講習 | 試験合格 | 3トン以上のユンボの操縦 |
免許と資格の違い
ユンボの操縦には、なぜ2つの資格が必要となるのでしょうか。免許と資格には、どのような違いがあるのか解説します。 自動車免許は、ユンボを操縦することに対してではなく、公道を走ることに対する免許です。そして、操縦資格はユンボを扱うことに対する資格です。つまり、自動車免許はユンボを公道で走らせない場合、必要ないということです。建設現場のみで操縦する場合は、資格だけで問題ありません。
ユンボ免許の取得方法とは?
ユンボの操縦には「操縦資格」が必要であると説明しました。では、この資格はどのようにして取得するのでしょう。また、受験する条件などはあるのでしょうか? 本章では、ユンボの操縦には欠かせない「操縦資格」と取得方法や受験できる条件、取得にかかる費用などを解説します。ユンボの操縦資格が欲しいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
免許の取得方法
ユンボを操縦するためには、扱う車両のサイズに合わせて「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」か「車両系建設機械運転技能講習」のどちらかを取得しなければなりません。 まずは「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」について解説します。同資格は、指定の教習所で講習を受けることで取得できます。受講のみで取得できるため、比較的手軽ではありますが、こちらの資格では3トン未満のユンボしか操縦できません。 3トン以上のユンボを操縦する場合は「車両系建設機械運転技能講習」の取得が必要です。こちらは指定された教習所で講習を受けたのち、試験に合格することで資格取得となります。試験の難易度については後ほど解説するので、そちらも参考にしてください。
免許取得の受験条件
操縦資格の受験には、条件があります。それは満18歳以上であることです。そもそも18歳以上でなければ就業できないため、この資格条件は当然といえるかもしれません。 少し意外に感じるかもしれない点は、受験資格に作業経験が無関係なことです。建設現場などで就業した経験がなくても、ユンボの操縦資格を取得できます。満18歳以上であれば、誰でも取得できる資格であるため、建設現場などへ就職を考えている方は挑戦してみるとよいでしょう。
免許取得にかかる費用
資格取得を考えるときに、気になるのが「費用」ですよね。ユンボの操縦資格には、いくらほど必要となるでしょうか?2種類の資格それぞれの取得にかかる費用は、以下のとおりです。
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育 | 1.7万円前後 |
車両系建設機械運転技能講習 | 4.6万円前後 |
「車両系建設機械運転技能講習」の場合は、テキスト代や修了証の発行手数料、保険料などが教習所によって異なります。自身が通学しようと考えている教習所の料金表は、事前に確認しておきましょう。
ユンボ免許を取得する難易度は?
「よし、資格を取ろう!」と決めたとき、気がかりなのは「取得の難易度」でしょう。ではユンボの操縦資格を取得することは、難しいのでしょうか?結論からいえば、ユンボの小銃資格を取る難易度は、それほど高いものではありません。 講習の内容をしっかりと理解していれば、十分に合格できます。本章では、ユンボの操縦資格をよりスムーズに取得できるよう、学習のコツや試験の出題傾向、合格率を解説します。
学習のコツ
ユンボの操縦資格の試験へ向けて対策をする場合、その学習方法はごく一般的なやり方で問題ありません。講習時に講師が「重要」と主張した部分は、しっかりとマスターしておくことで、試験でも高得点が狙えます。 資格取得のテキストは200ページにも及びます。これらを全て覚えることは難しいため、上記のように「重要」とされる部分を明確にしておくことは、学習を効率的に進めるためのコツです。
出題傾向
ユンボの操縦資格を取得するためには、学科試験と実技試験をクリアしなければなりません。学科試験で出題される問題は、講習のなかで習った内容に沿ったものとなります。 そして実技試験の内容は、以下のとおりです。 左前の土を掘り返す作業 ショベルに掘った土を抱えながら旋回する 右の穴へと土を移動させる 1〜3の作業を数回おこなって、最終的には穴を埋めるところまでが試験です。試験では、制限時間も決められているため、スムーズな操作を意識しましょう。
合格率
ユンボの操縦試験の合格率は、ほぼ100%だといわれています。というのも、ユンボの試験は、受験者を落とすためのものではないためです。資格取得後に事故などが起きないよう、安全意識を高めるためにおこなう試験なので、合格率は高くなっています。 しっかりと講習を受けていれば、ほとんどの方が合格できるものです。しかし、難易度が低いからといって、適当に受けてはいけません。安全に関わる重要な試験なので、しっかり取り組みましょう。
ユンボ免許を活用できる職業
ユンボの操縦資格を取得することで、仕事の幅は大きく広がります。操縦資格を必要とする仕事は多くあり、その分需要も高いといえます。 転職する場合でも、ユンボの操縦資格を取得していることで、選択肢が増えるでしょう。すぐに資格が必要なわけではないという方も、今後のために検討しておくと良いかもしれません。本章では、ユンボの操縦資格を必要とする職業や、資格取得のメリットを解説します。
活用できる職種一覧
ユンボの操縦資格を活かせる職業には、以下のようなものがあります。
- 解体業
- 運送業
- 土木業(建設業)
- 建材業
- 造園や石材業
- 砕石・砂利採取業
- 水道管工事業
- 生コンクリート製造業
- 電気・電話工事業
- 産業廃棄物処理業
これだけの職業で、ユンボの操縦技術が使われています。ユンボの「操縦資格」が、建設業だけでなく、幅広い分野で活かせることがお分かりいただけたでしょう。
ユンボの免許を取得することのメリット
ユンボの操縦資格を持っていることには、収入面と事業面で大きなメリットがあります。収入面でいえば、ユンボの資格を保有していることで、大幅な収入アップが期待できます。 会社としても、ドライバーとユンボ操縦の担当を分ける必要がないことはメリットだといえるため、給料の交渉もしやすくなるでしょう。また、個人事業主として独立する場合にも、事業の幅が広がります。それだけ収入も安定しやすくなるのは、大きな魅力でしょう。
その他重機操縦に必要な資格や費用
ユンボの他にも、建設現場などでは多くの重機が活躍します。それぞれの重機には、操縦資格があり、さまざまな資格を持っていることで、より一層仕事の幅を広げることができます。 本章では、ユンボ以外の重機操縦に必要となる資格について、内容や取得にかかる期間、費用などを解説します。他の資格も気になるという方は、ぜひ参考にしてください。
重機操縦に必要な資格
建設現場を始めとしたさまざまな場面では、ユンボの他にも多くの重機が活躍しています。また、同じ重機であっても、資格の種類は複数あります。以下では、そのなかから一部をピックアップして紹介します。
車両 | 資格 |
クレーン |
小型移動式クレーン運転技能講習 床上操作式クレーン運転技能講習 移動式クレーン運転実技教習 クレーン運転特別教育 |
フォークリフト |
フォークリフト運転技能講習 フォークリフト運転特別教育 |
不整地運搬車 |
不整地運搬車運転技能講習 不整地運搬車運転特別教育 |
ロードローラー | ローラー(締固め用)特別教育 |
資格取得にかかる期間と費用
それぞれの資格は、取得にかかる期間や費用が異なります。上記で紹介したクレーンやフォークリフト、不整備運搬車、ロードローラーの操縦に必要となる資格について、以下でまとめています。
資格 | 取得までの期間 | 費用 |
小型移動式クレーン運転技能講習 | 3日間 | 4〜4.5万円 |
床上操作式クレーン運転技能講習 | 3日間 | 4〜5万円 |
移動式クレーン運転実技教習 | 6日間 | 12〜15万円 |
クレーン運転特別教育 | 2日間 | 2〜3万円 |
フォークリフト運転技能講習 | 2〜5日間 | 2〜2.5万円 |
フォークリフト運転特別教育 | 2日間 | 1.5〜2万円 |
不整地運搬車運転技能講習 | 2〜5日間 | 4〜11万円 |
不整地運搬車運転特別教育 | 2日間 | 約1.6万円 |
ローラー(締固め用)特別教育 | 2日間 | 約2万円 |
ユンボ免許を取って、収入アップを目指そう
ユンボの操縦に必要な「操縦資格」の取り方をテーマに、その取得方法や費用、学習のコツ、難易度などを解説しました。ユンボは、汎用性の高い重機ですが、その操縦には資格取得が必要となります。しかし、それは決して難易度の高い資格ではありません。仕事(事業)の幅を広げたい、収入を増やしたいという方は、ぜひ挑戦してみてください。