実は、フォークリフト免許は不要と思われているケースがよくあります。しかし、種類によっては免許が不可欠であり、無免許で運転をした場合は、厳しい罰則が待っています。 本記事では、フォークリフト免許について、取得方法や免許が不要な種類、無免許で運転をした場合の罰則などを解説します。
目次
フォークリフトってどんな車両?
フォークリフトは主に、工場や倉庫内で活躍する車両のことです。重い荷物であっても、軽々と運べるうえに、室内の限られたスペースでも使えるため、重宝されています。 しかし、普段から倉庫や工場で働いていない人にとっては、あまり馴染みのない車両かもしれません。
本章ではまず、フォークリフトがどのような車両なのか、解説します。
荷物を運搬するフォークリフト
フォークリフトとは、主に工場や倉庫内で、荷物を運搬するときに使われる車両のことです。車体の前方部分に、名前のとおり「フォーク」のような2本の爪がついていることが特徴です。 その爪(フォーク)を、荷物の下や横に差し込むことで、人の力では持ちあげられない荷物の積み下ろし作業をおこないます。 他の特殊車両と比べると操縦が簡単であることも、フォークリフトが幅広いシーンで使われている理由です。
フォークリフトの種類は?
操縦に免許が必要なフォークリフトには、以下5つの種類があります。
- カウンターバランスフォークリフト
- サイドフォークリフト
- リーチフォークリフト
- オーダーピッキングフォークリフト
- ウォーキーフォークリフト
カウンターバランスフォークリフト
この車種は最も一般的といわれています。荷物の下に2本のフォークを差し込むことで、作業をおこないます。
サイドフォークリフト
この車種は車体の横にフォークがついていることが特徴です。持ち上げるのではなく、挟むことで、横長の荷物でも運搬できます。
リーチフォークリフト
この車種は停車している状態であっても、作業ができます。ただし、他の車両よりも高さがあるため安定感は劣ります。
オーダーピッキングフォークリフト
この車種はフォークと運転席が一体となっています。名前のとおり、ピッキング作業をおこなう場で活躍する車両です。
ウォーキーフォークリフト
この車種は本体を動かしながら作業を進めます。重量のある荷物を近距離移動させるために役立ちます。
フォークリフト免許を取得するには?
フォークリフトの操縦には、基本的に免許の取得が必要です。後ほど詳しく解説しますが、万が一無免許でフォークリフトを操縦してしまうと、罰則の対象となります。 では、フォークリフトの免許を取得するには、どうすればよいのでしょうか?本章では、フォークリフト免許の取得方法や費用、期間、免許不要の車両などについて解説します。
条件をクリアし、講習を受けよう
フォークリフトの免許は、数日間の講習を受けることで取得できます。受講するにあたっては、「実務経験◯年以上」や「〇〇の試験をクリアしていること」などの特別な条件はありません。 しかし、満18歳以上でなければ、受講できない点には注意しましょう。
免許取得に必要な費用や日数
フォークリフトの免許取得に必要となる期間は、人によって異なります。それは講習コースが複数あるためです。そしてコースは、現在保有している免許が「普通自動車免許」か「大型特殊免許」なのか、または何も保有していないのかによって変わります。
大型特殊免許を取得していれば、最短の11時間(2日間)で免許の取得が可能です。大型免許と普通自動車免許、どちらも保有していない人は、35時間(5日間)の講習を受ける必要があります。 受講費用は11時間コースが2万円、15時間コース2.2万円、31時間コースで4.5万円、35時間コースで5万円です。
学科・実技の内容は?
フォークリフト免許を取得するための講習は「学科」と「実技」に分かれます。最短コースの場合は、学科が「約7時間」で実技が「約4時間」となります。 学科で学ぶ内容は以下のとおりです。
- 走行に関する装置の構造(および取扱い方法)の知識
- 荷役に関する装置の構造(および取扱い方法)の知識
- 力学に関する知識
- 関係のある法令
実技では、フォークリフトの基本的な操作方法やコツを中心に身につけていきます。
免許が不要なフォークリフトもある
フォークリフトのなかには「ローリフトトラック」と呼ばれる車両もあります。ローリフトトラックとは名前のとおり、ローリフトで荷物を運搬する車両のことです。運搬できる荷物の制限は「2,000kgまで」と定められています。 免許はもちろん講習も不要であるため、パート従業員や女性でも簡単に扱えます。
無免許でフォークリフトを操縦した場合は?
フォークリフトは荷物を運ぶときに利用される車種です。しかし、操縦するには免許を取得していなければなりません。本章では、無免許でフォークリフトを運転したときに課せられる罰則や生じるリスクなどについて解説していきます。
ドライバー・運営会社に対する罰則
無免許でフォークリフトの操縦をした場合、次のような罰則が科されるでしょう。労働安全衛生法が定めるフォークリフトの無免許操縦は、6ヵ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金刑です。 また、ドライバーだけでなく、運営会社と現場の責任者にも、同様の罰則が科されることになります。ローリフトトラックを除き、フォークリフトの操縦は必ず免許を保有している人が担当しましょう。
フォークリフトの事故例
フォークリフトの事故例 無免許でフォークリフトを操縦した結果、起きてしまった事故には以下のようなものがあります。
免許を紛失した場合は?
フォークリフトの講習を全てクリアすると「フォークリフト運転技能講習修了証」が発行されます。そして修了証は、フォークリフトを運転する際は常に携帯することが義務付けられています。 万が一、この修了証を紛失してしまった場合は、すぐに再発行の手続きをしましょう。また再発行された修了証が手元に届くまでは、フォークリフトを操縦しないように気をつけましょう。
フォークリフト免許を取得して働く
免許を取得することで、全てのフォークリフトを操縦できます。では、フォークリフト免許を活かして働いた場合の給料はどのくらいなのか、また業務上どのような点に気をつけなければならないのでしょうか。 本章ではフォークリフト免許を用いて、仕事をする場合の給料面に関する手当や注意点などを説明していきます。
給料はどのくらい?
フォークリフトの免許を持っていることで、基本給に手当がつきます。手当の金額は、雇用される会社によって異なるため、一概に「◯円ぐらい」とは言い切れません。 しかし、手当がつく分、免許を必要としない他の作業を担当する人よりも、給与が高額になることはいうまでもないでしょう。
仕事で気をつけるべきことは?
フォークリフトで荷物を運搬しているときには、前方の視界が悪くなります。事故例からもわかるように、比較的小型な重機と思っていても、衝突や横転によって命を落とす危険があります。 運転は常に慎重におこなうべきです。
また運転自体に慣れてくると同時に、事故を起こす可能性が高くなります。操作に慣れても、決して気を抜かないようにしましょう。
フォークリフト免許は必要!しっかり取得しよう!
記事冒頭でも言及したように、フォークリフト免許が不要という認識は誤りです。なかにはローリフトトラックといった免許不要で操縦できる車両もありますが、ほとんどの車両は違います。 しっかりと講習を受け、免許を取得しなければ操縦してはいけません。最短2日間の講習で取得できるため、必ず免許を保有しておきましょう。