オイルエレメントの交換はディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドへ依頼すれば対応してもらえます。また、必要な工具を準備すれば、自分で作業することも可能です。今回はオイルエレメント交換の依頼先に関する情報や、自力での交換方法における手順や用意すべき工具の種類などを解説します。
目次
オイルエレメント交換の依頼先
オイルエレメントの交換はDIYでも可能ですが、必要な作業環境や工具を準備することが難しかったり、時間が取れなかったりとつまずきやすいため注意が必要です。 自分での作業が難しい場合は、お店に依頼してやってもらえます。オイルエレメントの交換を受け付けているのは、トラックを購入したディーラーやカー用品店、ガソリンスタンドなどです。 ここでは、それぞれの店舗に依頼した時のメリット・デメリットを中心に解説します。
トラックを購入したディーラー
ディーラーに頼むメリットの一つは純正品での交換が可能な点です。純正品ではない安価なエレメントを使うと、寿命が早く訪れ、かえってメンテナンスの手間が増える恐れがあります。 長期的なコストパフォーマンスを考えると、純正品を使った方がよいといえます。また、ディーラーでは交換の際にエンジンや付随パーツの点検・交換まで受け付けてもらえる可能性が高いです。 一方、予約が必須だったり、料金が割高だったりするリスクがあることに注意しましょう。
カー用品店
カー用品店に依頼する最大のメリットは、万全の作業品質を期待できることです。経験豊富なスタッフが在籍しており、エンジンオイルやエレメントの種類も豊富でしょう。 どの製品が適しているか分からなくても、スタッフに相談すればふさわしいものを選ぶことが可能です。また事前に予約していれば、スピーディーな対応も担保できます。 ネット予約に対応している店舗もあり、いつでも自分の好きなタイミングでスケジュールを確保できます。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドにエレメントの交換を依頼する最大のメリットは手軽さです。予約は基本的に必要ないため、給油のついでにお願いしても問題ありません。 ただし場所によっては、作業に慣れていないアルバイトが担当する可能性があります。エレメントの交換は軽整備の一つであり、整備士の資格を持っていなくても行えます。 完璧に仕上げてくれるかは正直微妙であるため、作業の質を気にする方は気を付けましょう。
オイルエレメントを自分で交換する方法
オイルエレメントをDIYで交換する場合、事前にエンジンやフィルターに関する知識を仕入れ、必要な工具や作業環境を準備します。エンジンオイルは可燃性の物質であるため、作業は安全第一で行わなければいけません。 必要なものは漏れなく準備し、焦らず確実に作業を行ってください。ここではオイルエレメントの交換手順および作業時の注意点を紹介します。
STEP1.オイル漏れを起こさない環境を準備
作業中にオイルが漏れ、引火を起こさないために廃油処理箱を準備しましょう。廃油処理箱はカー用品店やホームセンター等で販売されており、中にはビニール袋とスポンジに似た吸着剤が入っています。 廃油処理箱は自治体に持っていけば、処理してもらえます。しかし、自治体によっては産廃扱いとなり、回収を受け付けていない場合があるかもしれません。 油の状態であればガソリンスタンドなどで引き取ってもらえるため、廃油処理箱に吸い取らせる前に、自治体での取扱いを確認した方がよいでしょう。
STEP2.古いエレメントを取り外す
廃油の受け皿を用意したら、古いエレメントを取り外す工程に移ります。車種によっては先にアンダーカバーを外さなければ、オイルフィルターに辿り着かない場合があります。 オイルエレメントに触れられるようになったら、下に産油処理箱を設置してください。次にオイルフィルターレンチを使い、フィルターをゆっくりと緩めていきます。 作業中はオイルフィルターに溜まったオイルが漏れてくるため、手や衣服につかないよう注意が必要です。
STEP3.新しいエレメントを取り付ける
次は新しいエレメントに付け替えるわけですが、その前に装着部にゴミが付着していないか確認が必要です。 オイル漏れの原因となるため、汚れても良い布を使って拭き取りましょう。またゴムのパッキン部にオイルを薄く塗ることも忘れずに。エレメントの装着時にパッキンが損傷する事態を避けられるため、オイル漏れのリスクを下げられます。 エレメントの取り付けでは強い力を入れすぎないよう注意が必要です。
作業時の注意点
エレメントの交換はエンジンオイルの交換を兼ねて行われる場合が少なくありません。その際に注意すべきなのがエンジンオイルの量で、多すぎないように気を付けましょう。 エンジンオイルに加えてオイルフィルターも交換する場合、オイルフィルター内にオイルが入り込むため、オイルだけの交換と比較し、必要な油の量が多くなります。そのため、注ぎ込む油の量が把握しづらいので注意しましょう。 また、オイルエレメントやフィルターは定期的な交換が必要なものであるため、次の交換時期の目安を新しい部品に書き込んでおいてもよいかもしれません。
オイルエレメントの選び方
一口にオイルエレメントと言っても、さまざまな種類に分かれます。適当に選ぶと規格が合わずに装着できなかったり、すぐに寿命が訪れてしまったりする不都合が生じます。 特にこだわりがなければ純正品を採用し、ろ過性能をはじめ特別な機能を求めるなら高性能の製品を選ぶという選びほうがおすすめです。オイルエレメントの選び方に関して詳しく解説します。
適合表を確認し対応製品を見つける
社外品の安いエレメントの魅力もありますが、機能性やコストパフォーマンスを考慮すると純正品のほうがよいとお伝えしました。トラックを購入したディーラーやカー用品店のスタッフに相談すれば、簡単に純正品が見つかるでしょう。 しかし、自分で作業するとなった場合、どの部品を使えば良いか分からず悩むことがあります。そんな時に便利なのがインターネットから閲覧可能な適合表です。車種や仕様、廃棄量など条件ごとに枝分かれしているため、細部まできちんと確認しましょう。
求める性能を満たす製品を探し出す
純正品以外では、ろ過精度や磁石の有無など求める性能を軸に、製品を見つけるのもおすすめです。ろ過精度が高ければより多くの不純物をシャットアウトできますし、磁石機能が付いた製品なら細かな金属片も磁力で引き寄せます。 他には、フィルターが目詰まりを起こした時でもトラックの走行に影響を及ぼさないバイパス機能を持った製品も。これらは通常のエレメントと比較し性能が優れているため、必然的に価格帯も上がります。
オイルエレメントでよくあるトラブル
ここではオイルエレメントにありがちなトラブルを紹介します。例えば、接続部のパッキンが切れて密閉不良を起こしたり、フィルター自体が変形・変質したりすることです。 これらのトラブルはオイル漏れやエンジンの故障を引き起こすため、早めの対処が必要です。ここではトラブルが起きる原因や対処法を紹介します。
シールガスケットが切れ密閉不良が起きる
シールガスケットはエンジンとオイルフィルターとの吸着面に貼り付けるパッキンで、別名「Oリング」と呼ばれます。 シールガスケットが摩擦等の理由で切れてしまうとオイル漏れを起こしかねません。シールガスケットを切らさないためには、新しいフィルターの装着時にパッキン部へオイルを塗る措置が効果的です。 古いガスケットを除去せずにフィルターを取り付けてしまう二重ガスケットもありがちなミスなので注意が必要です。
オイルフィルターが変形・変質する
ケースの頭部が膨れたりボトムが反り返ったりする等、オイルフィルター自体が変形することがあります。 オイルフィルターの変形は油圧の異常によって起こります。エンジンのレギュレーターバルブの誤作動が主な原因であるため、修理に出す必要があるでしょう。 また、フィルターの交換時に力を入れ過ぎて、変形が生じる恐れがあります。無理に取り外そうとするとフィルター取り付け部の損傷を引き起こす可能性もあるため、作業時は丁寧さを重視してください。
オイルエレメントの交換に必要な工具
DIYでエレメントの交換を行う場合に必要な工具を紹介します。最低限準備しなくてはいけないのが、オイルフィルターレンチとジャッキ類です。 オイルフィルターレンチはエレメントを外すために必要で、ジャッキ類は安全な作業場を確保するために必須です。工具の種類や作業時の注意点を中心に解説します。
オイルフィルターレンチ
オイルフィルターレンチにはバンドタイプやスライド、ブライヤー、チェーン、カップなどの種類があります。 エレメントとのサイズが合えば力を発揮する反面、使える対象が限られるものもあることに注意。したがって、DIYで対応するならレンチ選びは重要項目です。 他にも取り外しには便利でも巻き締めには不向きのものや、固着のエレメントには使えない商品もあります。このようにレンチ選びでは、作業内容との相性も考慮しなくてはいけません。
ジャッキ類
オイルフィルターはエンジン本体の下部にある場合が多く、エレメント交換作業にはジャッキアップが前提になります。 ジャッキの取り付けでは車両との接続ポイントであるジャッキアップポイントを遵守しなくてはなりません。ジャッキアップポイントを外すと車両が傷つく可能性があり、最悪の場合は事故につながります。 また、平場の固い場所を選び、足場の安全を確保することも忘れずに。
オイルエレメントは自分で交換が可能
オイルエレメントは必要な工具や作業環境、知識があればDIYでも取り換えが可能です。エレメントは定期的に交換しなくてはならないため、費用を抑える意味でも、余裕があれば自分で作業しても良いかもしれません。 ただし、エンジンオイルを扱う際には、車両の重量も凄まじいので安全には十分注意を払いましょう。