大型貨物自動車等通行止めとは?標識の意味と通行許可について解説

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大型貨物自動車等通行止めの標識がある道路では、対象車の通行が禁止されています。しかし、どのような車が規制の対象になるのか、違反するとどうなるのか、いまひとつ把握できていないドライバーも多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、大型貨物自動車等通行止めの正しい通行ルールを徹底解説します。

大型貨物自動車とは?

大型貨物自動車等通行止めの標識の意味を知る前に、まず大型貨物自動車がどのような車なのか、その定義をきちんと確認しておきましょう。定義は複数あるため混乱してしまうかもしれませんが、きちんとポイントを押さえることで把握しやすくなります。 ここでは、大型貨物自動車の定義や大型乗用車との違いについて解説します。

サイズ・寸法は中型トラックと同じ

貨物自動車とは、荷物を運ぶためのトラックのことです。貨物自動車は「大型」「中型」「小型」の3種類に分かれており、それぞれの違いは「サイズ」「重量」「積載量」で定義されます。 なぜサイズや重さで定義されるかというと、道路や橋などの公共物に損害を与えないようにするためです。サイズや重さを定めて走行するトラックを適切に管理することによって、公共道路の安全な通行が保たれています。

  ​​大型貨物自動車 中型貨物自動車 小型貨物自動車
全長 12メートル以内 12メートル以内 4.7メートル以内
全幅 2.5メートル以内 2.5メートル以内 1.7メートル以内
全高 3.8メートル以内 3.8メートル以内 2メートル以内

上の表を見てわかるとおり、大型と中型はサイズに違いがないため、見た目だけでは違いを判断できないかもしれません。 大型と中型は見た目のサイズではなく、重量と積載量で区別されます。

大型トラックと中型トラックは重量が異なる

大型と中型を区分するポイントは重さです。

  ​​大型貨物自動車 中型貨物自動車 小型貨物自動車
車両総重量 11トン以上 5トン以上11トン未満 5トン以内
最大積載量 6.5トン以上 6.5トン以内 3トン以内

車両総重量とは、荷物や人が乗った状態の車両全体の重さのことです。最大積載量は、トラックに積める荷物の重さを指します。 大型と中型のサイズは同じですが、車両や積める荷物の重さがそれぞれ異なります。
一方で小型トラックは、サイズと重さのすべてが異なるため区別は簡単です。

大型貨物自動車と大型乗用車の定義の違い

大型貨物自動車と似たような言葉に「大型乗用車」があります。どちらも「大型」とつくため、混同してしまうかもしれませんが、以下のような違いがあります。

大型貨物自動車 大型乗用車
積載量5トン以上 車両総重量8トン以上 乗車定員が11人以上

大型乗用車は大型バスやマイクロバスのことです。表を見てわかる通り、トラックは重さで定義されている点に対し、バスは定員で定義されます。 トラックの運転には「大型免許」、バスの運転には「大型二種免許」がそれぞれ必要です。大型免許と大型二種免許には取得条件が定められており、普通自動車免許を取得してから通算3年以上の運転経験がある人で、21歳以上であれば取得できます。

大型貨物自動車等通行止めの定義とは?

赤い丸と斜め線が描かれた中央にトラックのイラストが入っているものが、大型貨物自動車等通行止めの標識です。車を運転したことがある人なら、一度は見たことあるでしょう。 通行止めの対象になるのは、大型貨物自動車を含めた3種類の車です。間違って通行することがないように、標識の意味をここできちんと確認しておきましょう。

標識の意味

「大型貨物自動車等通行止め」の標識は、大型トラックがこの先の道路を通行できないことを意味します。対象トラック以外の車であれば、そのまま通行可能です。 標識のイラストがトラックのため、すべてのトラックの通行が禁止されていると勘違いしがちですが、通行が禁止されるのは一定の重さを超えるトラックのみです。トラックを運転するときは、標識の意味を間違えないように注意しましょう。

標識の対象車は3種類

通行止めの対象になる車は以下3種類です。

大型貨物自動車 車両総重量11トン以上、もしくは最大積載量6.5トン以上
大型特殊自動車 全長12m以下・全幅2.5m以下・全高3.8m以下の特殊車両
特定中型貨物自動車 車両総重量8トン以上11トン未満、もしくは最大積載量5トン以上6.5トン未満

大型特殊自動車とは、建設現場などで使用されることが多いブルドーザーやショベルカー、クレーンなどです。大型の除雪車も大型特殊自動車に該当します。一般的な車とは見た目が大きく異なるため、判別しやすいでしょう。
特定中型貨物自動車とは、旧法の免許制度において大型に指定されていた貨物自動車です。旧法では、車両総重量8トン以上の車が大型自動車に分類されていましたが、法改正によって区分が変更され、11トン以上の車が大型、8トン以上の車は中型に変更されました。 「中型」という名称に変更されましたが、標識では大型と同等の扱いになっています。

標識の設置場所

大型貨物自動車等通行止めの標識は、一般的に狭い道路に設置されることが多いです。ただし、例外もあります。都心部の広い道路でも、環境面などを考慮して大型トラックの通行が禁止されることがあるため、油断は禁物です。 例えば、東京都心部の環七通り以内の主要交差点には、大型貨物自動車等通行止めの標識が設置されています。これは環七通り以内の広範囲において、土曜日午後10時から日曜日午前7時まで大型トラックの通行を禁止するものです。
都心部の広い範囲に通行止めの標識が設置された背景には、大型トラックの走行による騒音や振動等の交通公害の影響があります。交通公害が社会問題化している中、都心の週末の夜を静かなものとするために、大型トラックの通行が禁止されているのです。 このように、広い道路や歓楽街などに通行止めの標識が設置されることもあるため注意しましょう。

大型貨物自動車等通行止めの注意ポイント

大型貨物自動車等通行止めの標識を見るときは、どの車が通行できてどの車が通行できないのか、規制の対象になる車をしっかり判別する必要があります。見た目が同じような標識も存在するため、大型車を運転するときは間違えないように注意が必要です。 ここでは、標識を見るときに気をつけるべきポイントをまとめてみました。

特定中型貨物自動車も規制対象に入る

標識の対象には「特定中型貨物自動車」も含まれます。「中型」という名称がつくため、「通行規制の対象は大型なのになぜ?」と不思議に思うかもしれません。
この特定中型自動車とは、2007年6月の法改正前まで大型車に指定されていた車両のことです。法改正前の自動車の種類は「普通自動車」と「大型自動車」の2種類のみでしたが、法改正後は新たに「中型自動車」が加わり、これまで大型自動車に分類されていた中型車は「特定中型自動車」と呼ばれるようになりました。
旧制度では「大型」に分類されていた車両のため、規制対象に入っていた点が違いです。 自動車の種類が細分化されたことで少しややこしくなっていますが、この法改正の経緯を知らないと標識の規制対象を間違えやすいため注意しましょう。

大型乗用車であるバスは含まれない

通行止めの対象に「大型乗用車」は含まれません。「大型」という名称のため混同してしまうかもしれませんが、通行止めの対象になるのはトラックなどの貨物自動車やブルドーザーなどの大型特殊自動車のみです。 バスは乗用車のため通行止めの対象にはなりません。大型バスやマイクロバス、中型バスは問題なく通行できます。この点を間違えないように注意しましょう。

大型乗用自動車等通行止めの標識と間違えやすい

「大型乗用自動車等通行止め」の標識にも赤丸に斜め線が描かれているため、パッと見ただけでは判別が難しいかもしれません。2つの標識を見分けるポイントは、真ん中に描かれたイラストです。「大型貨物自動車等通行止め」の標識にはトラック、「大型乗用自動車等通行止め」にはバスのイラストがそれぞれ描かれています。バスの絵だけ描かれている標識なら、大型トラックの通行は可能です。 中には、トラックとバスが両方とも描かれた通行止めの標識もあります。その場合、どちらに該当する車両もその道路を通行できません。
さまざまな標識がありますが、通行止めの対象になる車両を把握しておけば、間違えることはありません。自分が運転する車と、その車を対象にした標識をきちんと覚えておきましょう。

最大積載量4トンのトラックは通行できる

標識にはトラックのイラストが描かれていますが、規制の対象になるのは車両総重量8トン以上もしくは最大積載量5トン以上のトラックのみです。最大積載量4トンの中型貨物自動車以下のトラックであれば問題なく通行できます。 トラックを運転するときは事前に積載量をチェックして、標識の対象になるかどうかを確認おきましょう。

補助標識がある場合は規制対象の車両が変わる

補助標識とは本標識の下に取り付けられた標識のことで、標識の意味を補足する役割を持ちます。補助標識が付いている場合は、規制対象の車両が変わるため注意が必要です。 例えば、補助標識に「積 2t」と記載されていれば、最大積載量2トン以上のトラックはすべて通行できません。本来、規制の対象になるのは最大積載量5トン以上のトラックですが、補助標識があると大型トラック以外の車両も規制の対象に加わることがあります。自分が運転するのが大型トラックではないからと安心せず、補助標識に記載されている内容まできちんと確認しましょう。
補助標識には通行を規制する時間帯が記載されていることもあります。この場合、規制時間外であれば大型トラックでも通行可能です。補助標識の有無によって標識の意味が大きく変わってくるため、見逃さないように注意しましょう。

大型貨物自動車等通行止めの道路を通行する方法

大型貨物自動車等通行止めの標識がある道路では、一定の重さを超えるトラックは通行できません。しかし、許可をとれば通行可能になります。通行許可を得るためには事前手続きが必要です。緊急時などのやむを得ない理由でどうしても通行しなければならない場合は、早めに許可申請しましょう。 ここでは、通行許可の申請方法について紹介します。

警察署長から通行許可をとる

通行禁止の区域に配送先がある場合など、規制されている道路をどうしても通行しなければならないときには、通行する通行禁止道路を管轄する警察署から許可を得ましょう。通行禁止道路通行許可申請を行って許可を得ると、規制されている道路でも通行可能になります。 許可申請をするときは以下の書類が必要になるため、早めに用意しておきましょう。

  • 通行禁止道路通行許可申請書
  • 運転免許証の写し
  • 自動車検査証の写し
  • 通行道路の路線図
  • 特殊車両通行許可証の写し

書類の提出場所は、通行禁止道路を管轄する警察署です。場合によってはドライバーの運転免許証のコピーが必要になることがあります。

通行許可証を必ず携帯する

通行が許可されると「通行禁止道路通行許可証」と「通行禁止道路通行許可車」の標章が交付されます。許可証が交付されたら、規制道路を通行するときに必ず携帯しなければなりません。 許可証は車両ごとに発行されるもののため、違う車両で規制道路を通行するときには使用できません。車検などで違う車両を使用するときは通行できないため、間違えないように注意しましょう。

大型貨物自動車等通行止めを違反したときの罰則

大型貨物自動車等通行止めに関する違反には「通行禁止違反」「通行許可条件違反」の2種類あります。それぞれ罰則が定められているため、標識に該当する車両を運転するときは注意が必要です。「うっかり侵入してしまった」などという言い訳は通用しません。どのような罰則があるのか事前に把握して、違反することがないように安全運転を心がけましょう。

通行禁止違反になる

大型貨物自動車等通行止めの規制に違反した場合は「通行禁止違反」となり、違反点数2点と反則金9000円の罰則を受けます。中型自動車や準中型自動車にも大型自動車の反則金9000円が適用されるため注意が必要です。 違反しないためには、大型貨物自動車等通行止めの標識の正確な意味を把握しておくことはもちろん、補助標識まで見落とさずにしっかり確認する必要があります。
補助標識には最大積載量や通行規制の時間帯が記載されている場合が多いです。補助標識にすぐに反応できるように、自分が運転するトラックの最大積載量をきちんと把握しておきましょう。荷物を運搬する前に、通行ルートに通行止めの標識がないか確認しておくことをおすすめします。

通行許可条件違反になる

事前に通行許可を取得しているにも関わらず、許可証を携帯せずに通行した場合は「通行許可条件違反」になります。この場合の罰則は違反点数1点と反則金6000円です。許可を得た車両以外で通行する場合も通行許可条件違反になります。 通行許可を取得した後に運転するときは、許可証をうっかり忘れてしまわないように注意が必要です。

大型貨物自動車等通行止めの標識の意味を正しく把握しよう

今回は大型貨物自動車等通行止めの標識の意味と、対象になる車や通行許可について解説しました。標識の対象になるのは大型貨物自動車・大型特殊自動車・特定中型貨物自動車の3種類です。大型乗用車は通行止めの対象に含まれません。
ただし、補助標識があると通行止めの対象が変わるため注意が必要です。他にも似たような標識があって間違えやすいですが、それぞれの違いをきちんと把握しておけば、通行禁止違反のリスクを軽減できます。 大型貨物自動車等通行止めの意味と対象車両をしっかり覚えて、安全運転を心がけましょう。

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