過積載の罰則は厳しい!違反点数や罰金、運転手や会社の責任を解説

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トラックの最大積載量を上回って運転すると「過積載」になり、厳しい罰則を受けます。最悪の場合、運行管理者資格証を抹消され、会社の経営に大きな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。 本記事では、過積載によって運転手・会社・荷主が受ける罰則を詳しく解説します。

過積載になるとどうなる?

トラックなどの貨物自動車には「最大積載量」と呼ばれる、車両に積める荷物の重量が定められています。この最大積載量を超えた荷物を積んで運送をすることが「過積載」です。 過積載で走行すると違反行為として罰則を受けてしまうため、事業への影響は避けられません。特に近年は、罰則が強化されているので、荷物の量がオーバーしないように安全運転を心がける必要があります。

過積載は法律で禁止されている

トラックやダンプカーなどの大型車両は、法律によってそれぞれ最大積載量が定められています。万が一最大積載量を上回る荷物を積んだ場合は、過積載という違法行為に該当します。 過積載は以下3つの法律おいて禁止行為とされているため、運転手はルールを守って運行しなければなりません。 ● 道路交通法(第57条) ● 道路法(第47条) ● 貨物自動車運送事業法(第17条) 過積載をした場合、上記の法律に基づいて罰則を受けることになります。罰則の対象は車両の運転手だけでなく、運送会社や荷主にも及ぶでしょう。

積載量によって罰則が異なる

過積載は積載量の超過割合に応じて、違反点数・反則金・罰則が設けられています。

過積載の割合が10割以上 違反点数6点、懲役6ヶ月以下または罰金10万円以下
過積載の割合が5割以上10t未満 違反点数3点、反則金4万円
過積載の割合が5割未満 違反点数2点、反則金3万円

トラック最大積載量の倍以上の荷物を積んで走行すると、一番重い罰則を受けてしまいます。2015年からは新たな罰則が加わり、運転手は即時告発の対象となり、即時告発が実施されると100万円以下の罰金刑になるため注意が必要です。 過積載に許容範囲はありません。少しでも積載量を超えたら罰則の対象となります。

廃棄物収集運搬業許可の取り消し対象になる

産業廃棄物の収集運搬において過積載があった場合、産業廃棄物許可が取り消される可能性があるでしょう。 環境省の「行政処分の指針について(通知)」では、道路交通法に違反して廃棄物の過積載を行った事業者は欠格要件に該当するものとして、産業廃棄物許可の取り消し対象となることを明文化しています。 過積載は道路交通法違反になるだけでなく、事業の運営にも大きな影響を及ぼす重大な問題です。そのことを自覚して、過積載にならないように日々努める必要があります。

2017年4月から罰則が強化されている

車両制限令の見直しにより、2017年4月1日から違反項目に軸重超過が追加されました。これにより、総重量が制限内の車両でも、軸重が制限を超えた場合は違反となります。 また、2017年4月1日から全国の高速道路会社が積載量を超えたトラックと事業主に対しての罰則が強化されました。具体的な罰則として、高速道路の割引停止措置が行われます。 高速道路を頻繁に利用する運送業にとって、割引停止は経営に大きな打撃を与える厳しい措置です。悪質な違反を繰り返した場合、割引停止措置の期間が長引くため、事業所をたたまなければならない事態に陥る可能性もあります。

過積載の罰則・違反点数・罰金

過積載の責任は運転手にあるとされがちです。確かに運転手にも大きな責任がありますが、運送会社から押し付けられていたケースも多くあります。また、運送会社も荷主からの無理な要求によって、やらざるを得ない状況に追い込まれる場合もあるでしょう。 このような状況を踏まえ、罰則は運転手だけでなく、運送会社や荷主側にも科されます。

運転手の罰則

運転手の罰則は道路交通法で定められており、車種と過積載の割合に応じて違反点数と反則金が科されます。過積載の状態によっては赤切符を切られてしまい、6点減点で免停の恐れもあるのです。 過積載ギリギリでも検挙させる可能性があるので、荷物は余裕を持って積みましょう。万が一事故を起こした場合は、会社だけではなく、運転手にも損害賠償が発生する場合があります。そのような事態を避けるためにも、日頃から荷物の量には十分気をつけましょう。

会社側の罰則

運行管理者には、法令で定められた業務があります。 過積載の運行を計画的に行っていた場合は法令違反になり、罰則を受けるでしょう。 運転手に命じた事業者の罰則は、運転手よりも厳しいです。車両の使用が制限されるだけでなく、悪質な違反者の場合は事業所としての資格が取り消されてしまいます。 車両の使用停止日数は、過積載の割合と違反回数に応じて決まります。処分基準は以下の通りです。

  初回 2回目 3回目 4回目
過積載が10割以上 30日 80日 200日 500日
過積載が5割以上10割未満 20日 50日 130日 330日
過積載が5割未満 10日 30日 80日 200日

当然ながら、過積載の割合が大きいほど罰則も厳しくなり、車両の使用制限も長くなります。

荷主の罰則

道路交通法によって、荷主は過積載車両の運転の要求が禁止されています。近年は荷主の罰則が強化されているため注意が必要です。 過積載になることを知りながら荷物を引き渡した荷主は、警察署長から再発防止命令が勧告されます。もしも再発防止命令に違反した場合は、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。 実際に運転していないからといって、荷主が罰則を免れることはできません。荷主が過積載に主体的に関与していたことが認められた場合は、貨物自動車運送事業法に定められた荷主勧告制度によって荷主名が公表されます。

過積載の罰則が定められている3つの理由

そもそもなぜ過積載は、厳しい罰則が定められているのでしょうか。罰則が強化されている背景には、大きな事故を起こす危険性だけでなく、交通公害を引き起こすリスクがあります。これらの危険性をきちんと把握したうえで、日頃から安全走行を心がけなければなりません。 ここでは、過積載をすることによって、車両や周囲にどのような影響が生じるのか解説していきます。

ランニングコストが増大する

車両に荷物を積みすぎてしまうと燃費の低下につながり、ランニングコストも増大します。車両自体の寿命も縮まってしまうため、車両の買い替えサイクルが早くなってしまうでしょう。 経営への負担が大きくなるだけでなく、エネルギーの無駄遣いにもつながります。利益のために過積載をしたとしても、実際は車両コストのほうが増えてしまうのです。

事故が起きやすくなる

規定重量以上の荷物を積んだ車両は、タイヤなどさまざまな場所に大きな負担がかかっている状態です。過積載を繰り返していると、タイヤの脱輪やパンクなどのトラブルが起き、それによって重大事故が起きる危険性もあります。 車両が重くなった結果、制動力が低下して、ブレーキの利きが悪くなります。ブレーキをかけてもすぐに止まれないため、信号で前方に車が止まっているとぶつかってしまうかもしれません。 車体のコントロールが難しい状態になっているので、ちょっとしたカーブもバランスを崩しやすくなります。急なカーブでは曲がりきれずに、車両が傾いて横転してしまうこともあるでしょう。 さまざまなリスクが増大して、事故を起こすリスクが高まってしまいます。

道路に悪影響を及ぼす

車両総重量が増加えると、道路への負荷も高まります。その結果、道路が傷んで劣化が進行し、寿命も縮めてしまいます。道路の悪化が進むと舗装面も崩れてしまい、周辺への騒音や震動などの交通公害を引き起こすこともあるでしょう。 過積載は荷物を積んでいる車両だけでなく、道路にも悪影響を及ぼす重大な問題です。周辺環境への影響を避けるために、罰則や規制が強化されています。

過積載の取り締まり方法

過積載は警察が取り締まるのが一般的です。しかし、最近では通報システムを導入するなど、高速道路での取り締まりが強化されています。特に首都圏では、国土交通省や警視庁、関東運輸局が合同で取り締まりを行うなど、過積載を行う車両への対応は厳しくなる一方です。 ここでは、過積載の主な取り締まり方法について紹介します。

警察による取り締まり

警察による取り締まりは、高速道路の料金所出口で行われるのが一般的です。料金所出口に自動スケールが置かれており、そこに警察官が車両を誘導して計測します。 タイヤのたわみ具合で過積載を見抜くなど、目視だけで判別する警察官もいるそうです。少しでも怪しい車両は自動スケールに誘導して計測するため「少しオーバーしただけなら見つからないだろう」といった安易な判断は禁物でしょう。 普段は対象ポイントで警察が取り締まりを行いますが、一斉検問によって積載オーバーの車両を一斉に摘発することもあります。高速道路だけでなく、一般道で取り締まることもあるため注意が必要です。

高速道路のETCゲートでの自動的な計量

最近では、自動計量できるシステムが高速道路に導入されています。ETCゲートを通るときに自動的に計量が行われるため、違反した車両はその場で通報されてしまうのです。 このような大掛かりなシステムが導入されるほど、過積載が交通に及ぼす影響は大きいのでしょう。交通安全を守るためには、日頃から積載重量に気をつける必要があります。

首都圏大規模同時合同取締の実施

近年、首都圏の高速道路や主要一般道では、国土交通省・警視庁・関東運輸局などが「首都圏大規模同時合同取締」を行い、過積載の取り締まりを強化しています。 道路法、道路交通法、道路運送車両法という過積載関連の3つの法律の合同取り締まりによって、違反を抑止する目的があるようです。 2018年には警察と高速道路会社が合同で、首都圏に流入する過積載車両を一斉に取り締まりました。全18ヵ所で実施した結果、計測車両89台のうち30台が違反車両だったと判明しています。

過積載の罰則を防ぐための確認方法

過積載は法令違反になるだけでなく、重大な事故を引き起こす恐れのある大きな問題です。知らなかったでは済まされる問題ではありません。周囲にも悪影響をもたらす危険性があるため、日頃から積載量がオーバーしていないかどうかをしっかり確認する必要があります。 ここでは、過積載の具体的な防止対策について紹介します。

目視で確認する

過積載は自分の目で見て確認できます。土砂やアスファルト合材などの建築資材は、ならした状態で平ボディーのかさ高までなら、過積載ではないと判断が可能です。 資材の形状によっては、平ボディーのかさ高を超える場合もあるでしょう。建設資材は、ならした状態で運搬しないこともありますが、その場合も、ならした状態を想定して超えていなければ問題ありません。 ほかにも、リアサスペンションの下がり具合を見ましょう。定量の状態より下がっていれば、過積載だと判断できます。目視による確認は一見難しそうなイメージですが、やり方を覚えれば簡単です。

自重計を導入する

積載量をチェックするときに役立つのが自重計です。土砂などを現場外へ搬出するときは、作業ごとに積載量を計測すれば、過積載でないことを確認が可能です。また、測定結果や日時、車両番号、積載状況を写真で残して記録を管理できます。 目視による確認と合わせて自重計による計測を徹底すれば、積載オーバーを未然に防止することは可能です。

過積載の意識を高めて罰則を回避しよう

過積載は法律違反です。重大事故の原因となる極めて悪質な行為なので、万が一法律に違反した場合は厳しい罰則が科せられます。 罰則を受けるのは荷物を運んだ運転手だけではありません。運転手に指示した運送会社や荷主も厳しく罰せられて、最悪の場合、事業が継続できなくなる可能性もあります。近年は警察などが取り締まりを強化しているため、バレなければ良いという甘い判断は許されません。 厳しい罰則や危険な事故を防ぐためには、運転手・運送会社・荷主が過積載に対しての意識を高めていき、日々安全な運行を心がけることが大切です。目視による確認や自重計による計測を日常的に行い、リスクを回避しましょう。

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