フルトレーラーの運転が難しい4つの理由を紹介!運転時のコツも解説

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フルトレーラーの運転は、他の車両に比べて難しいといわれています。「どうすればもっとうまく運転できるのだろう……」とお悩みの方も多いでしょう。 本記事では高いスキルを要するフルトレーラーの運転がうまくなるように、運転が難しい理由や注意点、運転のコツなどを紹介します。

フルトレーラーの運転が難しい4つの理由

フルトレーラーの運転は、他の大型車両よりも難しいといわれています。しかし、その理由については意外に知られていません。フルトレーラーの運転が難しいとされる主な理由は次の4つです。

  • 連結部があるために挙動が複雑になる
  • 後方が目視できない
  • 内輪差が大きい
  • 直進のままバックができない

まずはフルトレーラーの構造や特徴を知るためにも、それぞれの理由について詳しく解説します。

連結部があるために挙動が複雑になる

フルトレーラーの運転が難しい理由のひとつとして「連結部分が影響して挙動が複雑になること」が挙げられます。例えば、連結部分がないトラックであれば、動力が直接荷台に伝わり、乗用車と同じ感覚で運転することが可能です。

一方、フルトレーラーの場合は連結部分があり動力が全体へまっすぐに伝わらないため、いつもどおりの感覚では運転できません。さらに、フルトレーラーの連結方式には「ドリー式」と「センターアスクル式」の2種類があり、それぞれ挙動が異なる点にも注意が必要です。

後方が目視できない

フルトレーラーは最長で21mにも及ぶ車種があり、後方は目視できません。そのため、運転に慣れたベテランドライバーでも、バックするときには不安を感じます。 後方をしっかりと確認するために、ほとんどのフルトレーラーではバックカメラを取り付け、カメラ映像を確認しながらバックすることが一般的です。

また、トレーラーは左と右でバックする難易度が異なります。右ハンドルの車種が多い日本においては、目視確認しやすい右バックのほうが比較的簡単です。一方、左バックの場合は目視できる範囲がほとんどなく、難易度が高くなります。

内輪差が大きい

内輪差が大きい点もフルトレーラーの運転がしにくい理由の1つです。内輪差とは前輪と後輪の軌道差を指し、その大きさはホイールベースの長さに比例します。そのため、ホイールベースが長くなるほど、内輪差が大きくなるのです。 内輪差が原因で引き起こされる事故はカーブ時が多く、歩道への乗り上げや脱輪、壁や塀の破損事故などが挙げられます。

また、歩行者や自転車、バイクなどの巻き込み事故につながる可能性もあるでしょう。 現在、フルトレーラーのサイズは輸送効率を高めるために規制が緩和され、長くなりつつあります。ただし、それに応じて内輪差はさらに大きくなってしまうため、より注意が必要です。

直進のままバックができない

直進のままバックができないことも、フルトレーラーの運転が難しいといわれる理由でしょう。フルトレーラーは、トラクター側にある「カプラー」とトレーラー側にある「キングピン」を接続してつなぎ合わせています。 そのため、通常のトラックとは異なり、フルトレーラーはバック時にハンドルのポジションを固定しても、結合部分を境として「くの字」に折れてしまい、車体が流れてしまうのです。

よって、トレーラーが折れ始めたら、ハンドルを切って軌道を修正し、後退しなければなりません。 フルトレーラーのバック時はゆっくりとした速度と慎重なハンドル操作を要するため、フルトレーラーの運転が難しいとされています。

フルトレーラーを運転する際の3つの注意点

フルトレーラーは非常に大きな車体や独自の機構の影響によって、他の車両にはないリスクがいくつか存在します。フルトレーラーを運転する際の注意点は次の3つです。

  • スネーキング現象
  • ジャックナイフ現象
  • 突風による横転

安全運転につなげるためにも、ここではフルトレーラーの性質によって起こる現象や注意点について詳しく解説します。

ハンドルが効かなくなる「スネーキング現象」

フルトレーラーを運転する際、ハンドル操作が効かなくなる「スネーキング現象」に注意が必要です。スネーキング現象とは、車体が大きく左右に揺さ振られる現象をさします。 スネーキング現象が発生すると車体後方が振られ、次第にその状態が大きくなっていくので注意しなくてはいけません。ちなみに、上空から見ると蛇のように動くことから、スネーキング現象と呼ばれています。

最悪の場合、運転操作不能に陥り、重大交通事故にもつながりかねません。一旦症状が出ると体勢の立て直しが非常に難しいです。急ブレーキやスピードの出し過ぎなどによって起こる現象のため、車体の振れを感じた際はすぐに減速し、スネーキング現象の発生を防ぎましょう。

二つ折りの状態になる「ジャックナイフ現象」

ジャックナイフ現象とは、トレーラー連結部分が二つ折りの状態になる現象です。運転時に、急ブレーキ・急ハンドルなどの操作をすると、トレーラー部分とトラクター部分が「くの字」に折れ曲がります。

ジャックナイフ現象は急な動作をした際、後ろのトレーラー部分が慣性の法則で前に進もうとすることによって発生します。後続車がトレーラー部分にぶつかるおそれもあり、ジャックナイフ現象は非常に危険です。

突風に煽られる「横転」

フルトレーラーは、20mを超えるものがほとんどです。そのため、風の影響を受けやすくなります。特に、横からの風には注意が必要です。 風を受ける面積が広く、高速道路や橋などの突風が吹きやすい場所では、横転するリスクが高まります。

よくあるトレーラーの横転事故は、高速道路のトンネルを出た際、突風に煽られて横転するケースです。 トレーラーが横転すると後続車だけでなく、対向車などを巻き込んだ大事故にもつながりかねません。突風が吹きやすい場所で走行する際は、十分に注意しましょう。

フルトレーラーを運転する際の3つのポイント

フルトレーラーを運転する際のポイントは次の3つです。

  • 車庫入れ時
  • 直進バック時
  • カーブ時

車庫入れ時には「連結部分を固定する」、直進バック時には「細やかなハンドル操作をする」ことなどが重要になります。 また、路上ではカーブする際にも操作のコツがあります。ここでは、フルトレーラーを運転する際のポイントついて詳しくみていきましょう。

車庫入れ時

フルトレーラーを車庫入れする際のポイントは、連結部が1つのセンターアクスル式であれば、セミトレーラーと同じ要領です。 まず「くの字」状態にしてからバックし、角度がついたら一定になるよう保ちながらバックします。イン側を接触させないように注意しながらドアミラーを確認し、ハンドルを微調整して車庫入れしましょう。

右バックの場合は、トレーラーの最後軸が駐車したいスペースの入り口を過ぎたあたりで停車します。このとき、直接目視できるように窓は全開にしておいてください。 ハンドルを左に切ってバックを開始し、トレーラーがくの字になるまでハンドルを切り続けます。トレーラーがくの字になり、駐車スペースに入れば、ハンドルをまっすぐに戻しましょう。ただし、ハンドルを切り続けると折れ角が狭くなるため注意が必要です。

そして、トレーラーの折れ角をキープしたままバックを続け、スペースにある程度入ったら、ハンドルを右に切って角度を調整してください。折れ角が大きく、バックしながらトレーラーを伸ばせない場合は、一旦前進して修正しましょう。 最後に、トレーラーがまっすぐになるようにバックし、駐車スペースに収まれば完了です。

直進バック時

フルトレーラーの直進バック時は前述の車庫入れでも解説したように、連結部を1つにするしかありません。連結部が2ヶ所あるドリー式の場合、ターンテーブル側の回転動作を固定してください。 連結部を1ヶ所にすれば、セミトレーラーと同じ動作で直進バックできます。ハンドル操作はトレーラーが「右にブレたらハンドルも右」「左にブレ出したらハンドルを左」と覚えておきましょう。このとき、ハンドル操作は小刻みに行い、ブレが小さいうちに修正を繰り返すのがコツです。

また、運転席から連結部分までが遠く離れており、ハンドル操作が反映されるまでに時間差があります。直進バック時には、この性質も覚えておきましょう。 直進バックは、フルトレーラーを運転する際の基本です。前述したように、最後尾が曲がっていく方向と同方向にハンドルを操作すれば、全体がまっすぐに近づきます。逆に操作すれば、より大きく曲がっていく仕組みです。 トレーラーを右に進ませたいときはハンドルを左に、左に進ませたいときは右に切る感覚を掴なければなりません。この感覚が身につくと、ハンドル操作でこまやかな修正をする際に役立ちます。

カーブ時

カーブ時には内輪差が大きくなる点にも注意しましょう。特に左折時は、トレーラーが車線を大きくはみ出してしまうケースもあります。 道路の左側には縁石がある場合が多く、乗り上げてしまうと歩行者や自転車と接触する危険性があるため注意が必要です。乗り上げを防ぐには、一旦頭を右側に振ってから内輪差に注意しながら左折しましょう。また、頭を右側に振る際は対向車が来ていないかを確認した上で、慎重に運転しなければなりません。左折時のポイントとしては交差点の中心付近でハンドルを切り、大きな円を描くイメージで曲がることです。

さらに、対向車や後続車の確認も忘れずに行いましょう。ヘッドからトレーラーまで一直線にならないため、トレーラー部分の右側を対向車にぶつけてしまう可能性も考えられます。 衝突を避けるためも、トレーラー右後方に追い越し車両がいないかを確認してから左折してください。

フルトレーラーで車庫入れをする際の4つのコツ

フルトレーラーの運転において最も難しい操作である車庫入れは、上級者でも苦手とする方が多くいます。フルトレーラーでうまく車庫入れをするコツは次の4つです。

  • 頭の中でイメージを作る
  • 一気にハンドルを切りすぎない
  • 見える範囲を確実に見る
  • 何度か切り返す前提で運転する

ここでは、フルトレーラーでうまく車庫入れをするコツについて、その内容を詳しく解説します。

頭の中でイメージを作る

頭の中で先にイメージを作ると、スムーズな車庫入れにつながります。まずは前提として「トレーラーでバックする場合はハンドル操作が逆になる」「フルトレーラーはその逆になる」ことを頭に入れておきましょう。 そして、ハンドルとタイヤの動きを頭の中で一緒にイメージし、車体がまっすぐになるように意識してみてください。初心者はもちろん、上級者も事前に頭の中でイメージすることが重要です。

また「まっすぐ入れるイメージ」を作るためには、フルトレーラーの模型利用もおすすめします。模型を用いることで、どのような挙動でトレーラーが車庫入れされていくのかを感覚的に掴めます。 テーブルに壁となるものを置き、模型を動かしながらハンドルを切るタイミングや切り具合などをシミュレートしてみてください。

一気にハンドルを切りすぎない

フルトレーラーを運転する際、一気にハンドルを切りすぎないことも重要なポイントです。ハンドルを一気に切りすぎてしまうと、連結部分も大きく動いてしまうため、次に切り返すのが非常に困難となります。 ハンドルを少しずつ切るようにして、様子をチェックしながら車庫入れするとよいでしょう。多少のズレであれば、切り返しや戻す回数も少なくて済みます。 一度、大きくズレてしまうと修正するために多くの時間が必要です。慣れないうちは時間がかかっても「少しズレたら直す」といった細かい操作が求められます。

見える範囲を確実に見る

フルトレーラーの車庫入れでは「見える範囲を確実に見ること」が重要です。前述の通り、フルトレーラーは全長がとても長く、最後尾まで目視では確認できません。さらに、一般的な車両よりも死角が多く、運転席側は目視できても前方や助手席側はほとんど見えません。よって、バック時や車庫入れ時は見える範囲を確実に見てバックできる操作技術が必要です。 このほかにも「サイドミラーをチェックする」「助手席側の窓を開ける」「バック用のカメラを確認する」といった工夫によっても、バックの精度を大きく高められます。

何度か切り返す前提で運転する

フルトレーラーの車庫入れは前提として、何度か切り返すつもりで操作しましょう。フルトレーラーの運転は、直進だけでも簡単ではありません。操作が難しいフルトレーラーの車庫入れは、上級者でも苦手な方が多い操作といえます。ほかの大型車両ではスムーズに車庫入れができる方でも、フルトレーラーを車庫に一発で入れられるとは限りません。 たとえ上級者であっても車両の動きをイメージし、目視できる範囲をチェックしながら何度が切り返して、確実な操作を心掛けましょう。

フルトレーラーは運転スキルが求められる

フルトレーラーは、非常に高い運転スキルが求められる車両です。上級者であっても「後方が目視できない」「内輪差が大きい」「直進のままバックができない」といった特徴を持つフルトレーラーの運転は、慎重な操作が求められます。 また「スネーキング現象」「ジャックナイフ現象」といったフルトレーラー特有のリスクもあり、場合によって大きな事故にもつながりかねません。さらに、バック駐車に関して 難易度が高く、模型を使用した練習などによって徹底して感覚を掴むことが重要です。

今回紹介した「見える範囲を確実に見る」「一気にハンドルを切りすぎない」といったフルトレーラーを運転する際のポイントやコツなどをしっかりと押さえて、安全運転を心がけましょう。 高い運転技術を要するフルトレーラーを運転できるドライバーの需要は業界でも高く、運送業界からのオファーも数多くあります。フルトレーラーの運転スキルを身に付け、売上や年収のアップをぜひ目指してみてください。

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