フルトレーラーって!?ダブル連結トラックとの違いなどを解説

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連結することによって、より多くの荷物を運ぶフルトレーラー。しかし、似た名称のトラックに「ダブル連結トラック」と呼ばれる車両もあります。両車の違いは、どのような部分にあるのでしょうか?本記事では、フルトレーラーについて、ダブル連結トラックの違いをはじめ、構造や魅力を紹介します。フルトレーラーの導入を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

フルトレーラーとダブル連結トラックの違い

トレーラーとは、1台より多くの荷物を運ぶために用いられる、大型トラックのことです。なかでも電車のように、2つ以上の荷台が連結しているものをフルトレーラーと呼びます。 しかし、フルトレーラーと似た車両に「ダブル連結トラック」と呼ばれるものもあります。名前からも、両車がよく似たものであることが推測できるでしょう。では、フルトレーラーとダブル連結トラックの違いとは何なのでしょうか?本章で2つの違いを説明します。

フルトレーラーは牽引貨物自動車の一種

フルトレーラーを用いることで、一度により多くの荷物を運べます。貨物牽引自動車であるフルトレーラーは、運転席の部分にあたる「トラクタ」と、貨物を積み込む「トレーラー」部分が分かれた構造になっています。トラクタ部分は、電車のように連結部分を介して2つに分かれています。つまり、全部で3つのパーツから作られた自動車だということです。 トラクタと前方のトレーラーが一体となっていることから、2つを合わせて「トラクタ」と呼ぶこともあります。この場合、トラックの前方部分が「単車」として扱われる点を覚えておきましょう。

ダブル連結トラックの通称がフルトレーラー

一方、ダブル連結トラックとはどのような車両をさすのでしょうか。実はフルトレーラーもダブル連結トラックも、構造はほとんど同じなのです。フルトレーラーが2つのトレーラーを連結した車両であるため、ダブル連結トラックとも呼ばれるようになったということです。つまり、ダブル連結トラックは、フルトレーラーの通称(または別名)と認識しておけばよいでしょう。 しかし以前までは、フルトレーラーとダブル連結トラックのイメージに多少の差がありました。一般的だった21mフルトレーラーは前方部分が長く、後方のトレーラーは少しサイズダウンした形となっています。フルトレーラーが21mだった理由は、以前まで特殊車両通行許可が認められていた車両の最長が21mまでとされていたためです。 その後、国土交通省によって規制が緩和され、現在では25mのフルトレーラーも走行可能となっています。25mのフルトレーラーは、前方と後方どちらのトレーラーも、10トントラックと同様のサイズになります。こうなると、フルトレーラーとダブル連結トラックとの間には、もうほとんど差がないといえるでしょう。

牽引貨物自動車には2種類ある

フルトレーラーは、牽引貨物自動車の一種だと説明しました。また、牽引貨物自動車にはフルトレーラーに加えて「セミトレーラー」と呼ばれる車種もあります。両者の違いはその構造です。 本章では、フルトレーラーとセミトレーラーについて、それぞれ解説していきます。各トレーラーの特徴や構造上のメリットなどを把握しておきましょう。

フルトレーラー

フルトレーラーとは、ひとつのシャーシにトラクタ部分と前方のトレーラーが搭載された車両を指します。シャーシとはトラックの枠組み(フレーム)のことです。 前方部分だけを見ると、一般的なトラックと同様の形状をしており、その後ろに2つ目のトレーラーが連結されています。大まかな構造を図で表すと、以下のようになります。 トレーラー1とトレーラー2の間にある太線が、連結箇所です。荷物の量に応じて、トレーラー1のみでも走行できるため、使い勝手がよくなっています。

セミトレーラー

フルトレーラーに対して、セミトレーラーは以下のような構造となっています。こちらも太線が連結箇所です。 図からもわかるように、セミトレーラーはひとつのシャーシにトラクタのみが搭載されています。見た目は一般的なトラックと同様です。 トラクタ後方には、カプラーと呼ばれる連結装置が搭載されています。セミトレーラーの場合、連結を解除すれば荷物を運搬できません。 国内ではセミトレーラーの方が一般的となっていますが、その理由は連結の全長が規制されていたためです。前述したように、25mまで規制が緩和されましたが、まだまだ普及率は低く、セミトレーラーのほうが日常的に目にするタイプの貨物牽引自動車といえるでしょう。

フルトレーラーには2タイプある

フルトレーラーのタイプには「ドーリー式」と「センターアクスル式」の2種類があります。両者の違いは、連結を解除した後も、後方のトレーラー部分が自立できるか否かという点です。 本章では「ドーリー式」と「センターアクスル式」、それぞれの特徴について解説していきます。フルトレーラーの導入を考えている方は、どちらの形状がより適しているのか検討しましょう。

ドーリー式

ドーリー式のフルトレーラーは、名前のとおり「ドーリー」と呼ばれる回転軸がついた車両です。 ドーリー式フルトレーラーに連結されている後方のトレーラー部分は、連結解除後も自立します。これはトレーラー部分の前方と後方に、それぞれ車輪がついているためです。しかし、自走機能は搭載されていないので、後方トレーラー単体では走れません。ドーリー式には、セミトレーラーに連結することを前提としたタイプと、ドーリーがついた状態で製造されるタイプの2種類があります。 ドーリー式のフルトレーラーを運転する際は、前輪と降臨の間が離れている点に注意が必要です。バックするのに運転技術を要する点や、ジャックナイフ現象のリスクが高まる点に考慮してください。

センターアクスル式

センターアクスル式フルトレーラーに連結される、後方トレーラーは車輪が、中央部分のみに付けられています。こちらもドローバーと呼ばれる、棒状の連結装置を用いて自立しますが、装置を用いなければタイヤのみで自立はできません。 ドローバーの働きによって、ドーリー式のフルトレーラーよりも、比較的運転がしやすくなっています。バッグするときにも、接続部分から折れ曲がる心配はありません。また、走行時の感覚もセミトレーラーに近いでしょう。 しかし、危険がまったくないというわけではありません。センターアクスル式のフルトレーラーは、トレーラースイング現象が起こりやすいという欠点があります。どんな形式の車両を運転するときでも安全運転を心がけましょう。

トレーラーの種類は?

フルトレーラーにおける後方トレーラーの形式だけでなく、トレーラー自体にもさまざまな種類があります。種類によって見た目や強み、弱みが異なります。仕事でトレーラーを使いこなすには、種類ごとの特性を熟知していなければなりません。ここではトレーラーの種類はどのくらいあるのか、また各種の特徴は何なのかといった点について解説していきます。

トレーラーには3種類ある

トレーラーは以下の3種類に分けられます。 ・ダンプトレーラー ・ライトトレーラー ・平ボディ ダンプトレーラーは原料を運ぶ際に使われています。ライトトレーラーは会社よりも、個人利用されることが多いトレーラーです。平ボディのトレーラーは、架装の重量が軽いうえに、運搬する荷物を選びません。それぞれの特徴について、もう少し詳しく説明します。

ダンプトレーラーの特徴

ダンプトレーラーは、土石採取場とコンクリートプラント間で、原料を運ぶ際に多く使われるトレーラーです。以前までは、土砂を積み、工事現場までの運搬がメインとされていました。現在でも、そのような用途にダンプトレーラーを用いることはあります。しかし、原料の運搬のほうが、ダンプの用途として目立つようになっています。 ダンプが土砂よりも原料を多く運ぶようになった理由は、転倒するリスクを考慮しているためです。建設現場は、足場が緩くなっているケースも多く、ダンプアップをした際に、車両が転倒するといったリスクがありました。そのため、前述した用途で利用されることが増えたといわれています。

ライトトレーラーの特徴

ライトトレーラーと聞くと、あまり馴染みがなくイメージしにくいかもしれません。しかし「キャンピングトレーラー」と言い換えてみると、どうでしょう?車両の形状や用途がなんとなくイメージできると思います。 ライトトレーラーは、トレーラーのなかでも車両が軽量な車種です。もともとライトトレーラーは、自動車に牽引されることを想定して作られています。自動車との連結装置もまた軽量でコンパクトです。その分、あまり重い荷物を運ぶことはできません。 会社よりも個人向けのトレーラーであり、キャンピングカーとしてや家財を運搬することを目的に購入されています。原料や木材、土砂などを運ぶために用いられる、ダンプや平ボディとは、別物と考えてよいでしょう。

平ボディの特徴

平ボディもダンプトレーラーと比べると、架装が軽量なトレーラーです。荷台に屋根や高い壁がないため、さまざまな形状の荷を運搬できます。ただし、雨を防ぐことができないので、運搬する荷物は、水に濡れても問題のないものに限られるでしょう。 平ボディの荷台は、「アオリ」と呼ばれる3枚の板で囲まれており、このアオリにもまた、いくつかの種類があります。平ボディは、軽トラックから大型トラックまで、幅広く普及しているタイプです。車両価格が安価であることも、人気が高い理由です。

フルトレーラーを導入する3つのメリット

フルトレーラーを導入することには、いくつかのメリットがあります。一度により多くの荷物を運べることも、そのひとつ。他にもフルトレーラーを導入することで、輸送コストの削減や自動車重量税の節約といったことが可能です。本章ではこれらの点を、フルトレーラー導入のメリットとしてより詳しく紹介していきます。

輸送コストを削減できる

前述したようにフルトレーラーは、トラクタ部分とトレーラー部分とが分かれています。これによって、1台のトラックと同じ量の燃料で、より多くの荷物を運搬できるようになります。大量の燃料を必要としなくなることで、CO2の排出量を抑えることが可能です。 また、フェリーなどで荷物を輸送する場合でも、トレーラーのみを下ろせばよいため、海上のルートを手軽に利用できます。陸上を迂回することで荷物を届けるよりも、コストを削減できる点は、フルトレーラーを導入する大きなメリットだといえるでしょう

1人のドライバーがより多くの荷を運べる

前述したようにフルトレーラーは、トラクタ部分とトレーラー部分とが分かれています。これによって、1台のトラックと同じ量の燃料で、より多くの荷物を運搬できるようになります。大量の燃料を必要としなくなることで、CO2の排出量を抑えることが可能です。 また、フェリーなどで荷物を輸送する場合でも、トレーラーのみを下ろせばよいため、海上のルートを手軽に利用できます。陸上を迂回することで荷物を届けるよりも、コストを削減できる点は、フルトレーラーを導入する大きなメリットだといえるでしょう

自動車重量税が非課税になる

フルトレーラーのトレーラー部分には、自動車重量税がかからないことも大きなメリットといえます。1台のトラックであれば、車両の重量に応じた自動車重量税が課されるでしょう。しかし、トレーラー部分だけでも「非課税」となることで、大幅な税金の節約が可能となります。 人件費や税金は、会社にとって大きな負担となる経費です。削減できるところは削減しておきましょう。

フルトレーラーを運転するコツ

フルトレーラーの全長は、通常のトラックとは全く異なります。通常のトラックと同じ感覚で運転していれば、転倒や巻き込み事故を引き起こしてしまうかもしれません。本章では、フルトレーラーを運転する際のコツとして、バック・車庫入れ・カーブ時の注意点を解説します。

バックのコツ

フルトレーラーをバックさせるときには、ハンドルを通常とは反対側にきります。トレーラーの向きを変える際には、トラクタの頭を振る向きと反対方向に、ハンドルを回さなければなりません。しかし、関節箇所が2つあるタイプのフルトレーラーは、逆ハンドルではなく、普通ハンドルとなるので混合しないように注意しましょう。 また、フルトレーラーでバックをするときには、トラクタのおしりを押すことをイメージするのがコツです。

車庫入れのコツ

フルトレーラーほど、車体の長さがあると、車庫入れもなかなか難しいですよね。「まっすぐ下がったのに、なぜか左右どちらかにずれている……」なんてこともあり得るでしょう。トレーラーの車庫入れで、左にズレてしまった場合は、以下の方法で修正できます。

  1. ハンドルを左にきる
  2. その後、右にきる
  3. ハンドルを左に戻し、再び右へきる
  4. 微調整し、ハンドルを真っ直ぐにする

車体が右にズレた場合は、左右を逆にして修正しましょう。

カーブのコツ

最後に、フルトレーラーでカーブをする際のコツを紹介します。フルトレーラーで右カーブをする場合は後輪が道路の内側へ、左カーブの場合は前部分がトラクタ部分よりも外側へ出てしまう可能性があります。 しかし、左右、どちらにカーブをする場合でも、十分な減速をしておけば、このような問題は生じません。また、フルトレーラーがカーブするときに、どのような動きをするのかもよく確認しておきましょう。

フルトレーラー(ダブル連結トラック)を効率的に使おう!

フルトレーラーについて、ダブル連結トラックとの違いや、形式、種類などを解説しました。フルトレーラーを導入することで得られるメリットについても、お分かりいただけたでしょう。1人のドライバーがより多くの荷物を運搬できるうえに、税金の節約にもなります。フルトレーラーの導入を考えている方は、ぜひ前向きに検討してみてください。

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