ユンボを運転するには、車両総重量に応じた運転免許と専用の資格が必要です。大型特殊免許を保有していれば、最短2日で操縦資格を取得可能です。今回はユンボの操縦に必要な免許の取得期間を中心に、取得費用やあると便利なその他の資格を解説します。
目次
ユンボの運転に必要な免許や資格は?
ユンボとは土木掘削や建物の解体時に稼働する油圧ショベルを指し、ショベルカーやバックホウなどと呼ばれる場合もあります。さまざまな業態で利用できる建設機械なので、持っていると役に立つでしょう。
ただしユンボを運転するには、車両総重量に応じた運転免許に加えて、資格の取得が必要です。ユンボの資格とは「車両系建設機械運転技能講習」と「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」のことです。 ここではユンボの運転免許や資格の種類について詳しく解説します。
車両総重量に応じた運転免許
運転免許は車両の総重量に応じて、普通・準中型・中型・大型などの区分に分かれます。普通免許は車両の総重量が3.5トン未満、準中型免許は3.5トン以上7.5トン未満、中型免許は7.5トン以上11トン未満、大型免許は11トン以上の車両で必要です。 どの種類の免許が必要か知るには、あらかじめ操縦するユンボの重量を把握しておかねばなりません。
重量がt(トン)表記なら免許の種類を簡単に把握できますが、ユンボの場合、コンマで表されている場合があります。 コンマ1は3トンクラス、コンマ2は5トンクラス、コンマ2.5は7トンクラスに対応しています。
車両系建設機械運転技能講習
車両系建設機械運転技能講習はユンボの重量が3トン以上の場合に必要となる資格です。車両系建設機械とは動力によって自走可能な機械を指し、労働安全衛生法の施行例別表7において該当する機器が列挙されています。 ユンボも車両用建設機械の一種で、使用目的に応じて「整地・運搬・積込み用及び掘削用」「解体用」の区分に含まれます。
技能講習の内容は学科および実技です。保有資格による免除の適用を受けない限り、13時間の学科と25時間の実技講習を受けることになります。それぞれ講義の後に試験が設けられており、学科と実技のどちらも合格すれば修了証を受け取ることが可能です。
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育は、ユンボの重量が3トン以下の場合に必要な資格です。小型車両系建設機械とは労働安全衛生法の施行例別表7で列挙された建設機械のうち、重量が3トンに満たない建設機械です。 特別教育という名称からも分かる通り、講義を受けるだけで終了し、試験を通過する必要がありません。
特別教育の内容は、学科が7時間、実技が6時間です。学科で学ぶ内容は走行や作業に関する装置の構造および取扱い、運転に必要となる一般的な知識などです。実技では走行や作業に関する装置の操作方法を体で覚えます。
私有地で運転する場合は免許なしでも可
ユンボを私有地で運転する場合、免許の取得が免除されます。私有地というのは、端的に言えば、自分が所有している土地のことです。例えば自宅敷地内の駐車場や田畑でユンボを運転する際は、免許を持っていなくても構いません。 一方で公的な場所でユンボを動かす際は、必ず免許を持っている人が操作しなければなりません。
公的な場所とは、道路や公園、公的機関の駐車場などです。建設機械は事故を起こす危険が高いため、運転の条件として資格を設けることで、特別な制約を課しているのです。
公道で無免許で走行した時は罰則が課される
ユンボを公道で走らせたことが警察や通報によって発覚したら、作業者本人だけでなく事業主も処罰を受けます。道路交通法違反に対する罰則として、事業主は6ヵ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金に課せられます。 同時に作業者も50万円以下の罰金を命じられます。
単に免許を取得しただけでなく、運転時に保有していなくてはなりません。免許や資格を携帯していないと、業務上事故が生じても、労災認定が降りない可能性があります。
中型免許や大型免許の取得に要する期間の目安
普通免許を保有している人は多いと思われるため、ここでは中型免許と大型免許の取得に要する平均的な期間について紹介します。 中型免許や大型免許の取得期間は、現在保有している免許の種類によって異なります。なぜなら講習に必要な時間の内訳が異なるためです。 それぞれの免許における具体的な状況ごとに必要な期間を解説します。
中型免許の場合
すでに普通免許のマニュアルやオートマ限定を取得している場合、中型免許を取得するにはおおよそ4〜8週間が必要です。マニュアルでは技能講習15時間と学科1時間が必須です。オートマ限定の場合は1時間の学科に加え、19時間の技能講習が必要です。
さらに短期間で中型免許を取得したければ、合宿の利用を検討しても良いかもしれません。合宿の場合、普通免許の種類がマニュアルでもオートマ限定でも、おおよそ10日あれば取得可能です。
大型免許の場合
大型免許の取得者に対するニーズは高まっており、免許を持っていれば就職や転職に有利に働く可能性が高いです。単に大型車両を運転できるだけでなく、けん引免許や大型特殊免許を同時取得できることもメリットです。 普通免許を保有している場合、通学で大型免許を取得するにはおおよそ20日〜40日かかります。
一方、合宿で取るつもりなら13日程度で可能です。 中型免許を保有している場合、大型免許の取得に要する平均的な期間は2週間程度、合宿なら9日程度です。どちらにせよ普通免許の時より短くなる傾向があります。
資格取得に要する期間(時間)の目安
3トン以上のユンボの運転に必要な「車両系建設機械運転技能講習」と、3トン未満が対象の「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の資格取得に要する期間の目安を紹介します。 「車両系建設機械運転技能講習」の場合、保有している免許の種類や運転経験によって取得期間が変動するのが特徴です。また、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の場合は最短2日で取得可能です。資格取得に要する期間の詳細を見ていきましょう。
車両系建設機械運転技能講習の場合
まず免許や経験を何も持っていない場合、計38時間の講習を受ける必要があります。空き時間に受講するのではなく、指定された日程において、連続6日間確保しなくてはいけません。このため、1週間は取得に要する期間を見ておくべきでしょう。 大型特殊免許を取得している人は講習がいくつかカットされ、計14時間の受講で済みます。
他にも普通免許以上を取得した上で「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」修了後に、小型車両系建設機械を3ヵ月以上業務で運転している人も14時間に短縮化されます。 14時間ならば最短2日で取得することが可能です。
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育の場合
「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の場合、学科7時間と実技6時間の最短2日で取得可能です。「車両系建設機械運転技能講習」と比較して、大幅に取得期間が短くなります。 先に「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」を受けて業務経験を得た後に「車両系建設機械運転技能講習」を受講することで、上位資格の取得期間の短縮にもつながります。
実技講習は屋外で行いますが、雨でも構わず実施されるケースが少なくありません。当然ながら、雨の場合は視野が狭くなり、運転が難しくなります。初心者の人は天気予報をチェックして雨の日を避けて、講習日程を選択できると良いかもしれません。
【あると便利】ユンボの運転に役立つ資格
ここまで紹介したのはユンボの運転に最低限必要な資格です。その他の資格や免許を合わせて取得することで、できることが広がります。 ここではユンボを操作する人にとってプラスに働く可能性が高い「車両系建設機械(解体用)運転技能講習」と「大型特殊免許」の2つについて、取得によって生じる効果や取り方などを紹介します。
車両系建設機械(解体用)運転技能講習
車両系建設機械(解体用)運転技能講習を受けると、解体用アタッチメントを取り付けたユンボを操作できるようになります。解体用機械にはブレーカーや鉄骨切断機、解体用つかみ機、コンクリート圧砕機が含まれます。 車両系建設機械(解体用)運転技能講習は1日あれば終了することが可能です。
ただし1日で終わらせるには、「車両系建設機械運転技能講習」の取得が条件です。技能運転修了証を持参の上、専用の教習所へ向かいましょう。
大型特殊運転免許
クレーン車やブルドーザー、除雪車、大型のトラクターなど大型特殊車両の運転ができる免許です。大規模な建設・工事現場において、作業範囲が広がるため重宝される資格だと言えます。注意点としては、大型特殊免許を持っているだけでは普通自動車の運転はできないことです。
また大型特殊免許は公道での走行を許可するにとどまり、この免許のみで重機の作業が認められるわけではありません。例えば大型フォークリフトで作業を行いたいなら、フォークリフトの運転技能講習が必要です。
ユンボの免許や資格に関するFAQ
「ユンボの免許や資格の取得条件が分からない……」「取得のためにはどれくらいの費用が必要?」「ユンボの資格はどこに行けば取れる?」 これからユンボという特殊な機械を運転できるようになろうと目指す人は、多くの疑問に苛まれるでしょう。ここでは取得条件や必要な費用、資格や免許が取れる教習所について解説します。
免許や資格の取得条件は?
ユンボの操縦資格には2種類があります。1つ目は「車両系建設機械運転技能講習」で、取得すると車体3トン以上のユンボを操作できます。教習所で講習を受け、修了試験に合格する必要があります。2つ目は「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」で、車体3トン未満のユンボを運転できる資格です。こちらは講習を受けるだけで資格が取得できます。
公道でユンボを運転する際は、ユンボの総重量に応じて適切な自動車免許が必要です。3.5トン未満なら普通自動車免許、3.5トン以上7.5トン未満は準中型自動車免許、7.5トン以上11トン未満は中型自動車免許、11トン以上なら大型免許が必要です。これらの免許は技能検定と運転免許試験場での適性検査に合格することで取得できます。
免許や資格の取得費用は?
「車両系建設機械運転技能講習」の場合、最大で約10万5,000円の費用が必要です。免許の保有条件や業務経験を満たして受講コマ数が短くなれば、金額を抑えられます。「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」は2日間の講習で約1万7,000円です。 資格取得に要する費用は講義を受けるための金額にとどまりません。教習所への交通費、宿泊代、食費、テキスト代など付随費用も考慮する必要があります。
普通免許を持っている人が中型免許の取得を目指す場合、約17万円〜27万円の費用が必要です。技能講習のコマ数が多いオートマ限定の方が、マニュアルより高額になる傾向があります。 大型免許の取得を目指す時の費用は、普通免許の取得者であれば約35万円、中型免許の保有者は約20万円〜25万円です。中型免許を持っている場合、学科が免除されるため費用が抑えられます。
ユンボの資格が取れる教習所は?
ユンボの資格が取れる教習所はユンボメーカーが運営している場所に限定されます。メーカー運営の教習所はそこまで数が多くありません。ユンボの操縦資格を取得できる教習所と、運転免許を取った教習所が別々となる可能性は高いです。 住んでいる都道府県に教習所があっても、住まいの近くにない場合も多いです。その場合、教習所と提携のビジネスホテルを利用可能です。また教習所は車の運転がしやすいように駅から離れて設置されています。
ユンボの資格は最短2日で取得できる!
3トン未満のユンボの運転に必要な「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」の場合、最短2日で資格を取得できます。 ただし繰り返しになりますが、資格だけではユンボを業務で扱えるようにはなれません。公道を運転するための運転免許が別途、必要になります。
ユンボに関する資格と免許の双方に共通するのが、車両の重量によって取得すべき種類が異なることです。したがってどの免許を取得するか決める前に、業務で扱うユンボはどの程度の大きさなのか把握した方が好ましいです。