パッカー車という車をご存じですか?「初めて聞いた!」と感じる方も多いかもしれません。しかし、パッカー車とはゴミ収集車のことです。。 では、パッカー車の運転には、どのような免許が必要なのでしょうか。本記事では、パッカー車の運転に必要な免許や車体の種類などを解説します。
目次
パッカー車の概要と必要な免許
パッカー車と聞くと、どのような車をイメージするでしょうか?あまり聞き慣れない名前ですが、実はパッカー車はとても身近な車両です。 パッカー車の正式名称は「塵芥車(じんかいしゃ)」と呼ばれています。パッカー車よりも、ますます聞き慣れない名称ですよね。 本章ではパッカー車(塵芥車)がどのような車なのか、また運転するにはどんな免許を取得しなければならないのか解説します。
パッカー車とはゴミ収集に使われる塵芥車
パッカー車を簡単に説明すると「ゴミ収集車のこと」です。パッカー車とゴミ収集車、塵芥車はいずれも同じ役割を担う車両のことをさしています。ではなぜ、呼び方が3種類もあるのでしょうか。3つの呼称は「どこで呼ばれるのか」によって、使い分けられています。 パッカー車は、ゴミ収集車の業界内での専門用語です。そして、ゴミ収集車とはごみ収集をおこなう専用車の社会的総称であり、塵芥車は国土交通省が使う正式名称なのです。
運転に必要な免許とは?
パッカー車は自動車免許を持っていれば、誰でも運転できるわけではありません。普通自動免許でも運転が可能であるケースもありますが、多くの場合はパッカー車のサイズに応じた免許の取得が必要です。 パッカー車のサイズは「2トン」「4トン」「それ以上」の3種類に分類されますが、それぞれのパッカー車を運転するために必要となる免許の種類を解説します。
2tの場合は準中型免許
以前はパッカー車のなかでも、2トン車のみ「普通自動車免許」を保有していれば運転ができました。しかし、現在では免許制度が改正され、2トンのパッカー車を運転するには「準中型免許」の取得が必要とされています。 2トン車とは、車両の寸法が全長522cm、幅184cm、高さ232cmで、最大積載量が2トンのパッカー車のことです。このサイズのパッカー車を運転する場合は「準中型免許」を取得しましょう。
4tの場合は中型免許
4トン車以上のパッカー車を運転するためには「大型免許」の取得が不可欠です。そして、大型免許を取得するための条件は以下のとおり。
- 21歳以上であること
- 普通免許(MT)を取得してから、3年以上経過していること
- 視力が両目で0.8以上、片目で0.5以上あること
上記の条件をクリアしたうえで、専用過程をクリアすれば大型免許を取得できます。大型のパッカー車は、全長930cm、幅249cm、高さ286cmであり、最大積載量は7.4トンです。2トン、4トン車と比べてもかなり大型であるため、相応の運転技術が必要となります。
取得時期によっては普通免許でもOK
先ほど、以前ならば2トン車は、普通自動車免許を保有していることで運転できたと説明しました。実は、4トン車も同様です。 平成19年6月1日までに普通自動車の免許を取得している場合は、2トンと4トン車の運転が可能です。6月2日以降に普通自動車免許を取得している方は、2トン車のみ運転できます。 そして、平成29年3月12日以降に普通自動車免許を取得した方は、残念ながら一般的な自動車だけしか運転できません。2トン車であっても、準中型免許の取得が必要です。
産業廃棄物運搬業に就く場合は?
ゴミ収集車には「一般産業廃棄物運搬業」と「産業廃棄物運搬業」といった、2つの業種があります。前者の場合は、主に家庭から出るゴミを収集するため、2トン車の運転がメインです。 しかし、後者の仕事に就く場合には事業所から出るゴミを運搬するため、大型車をメインに扱います。当然、免許も「大型免許」を取得しなければならないということです。
パッカー車の種類は3つ
ひと口にパッカー車といっても、その種類はいくつかあります。そして、パッカー車の種類は、主に回収の仕組みや排出形式によって分類されます。 本章ではゴミ回収の仕組みごとに「プレス式」「ロータリー式」「回転式」という3つ種類と、排出方法について説明します。それぞれの特徴を理解したうえで、パッカー車を運転してください。
プレス式
プレス式は、強力な圧縮機構を用いて、ゴミを小さくしながらタンクに押し込んでいくパッカー車です。ゴミの挿入口から、さらに奥と二段階で圧縮しておくため、硬いものでも問題なく粉砕することができます。 一般的なゴミだけでなく、家具や家電といった粗大ゴミや自転車など、幅広くゴミを回収できることがプレス式パッカー車の特徴です。
ロータリー式
荷台に円形のドラムがつけられたパッカー車は、ロータリー式に分類されます。ドラムが回りながらゴミを巻き込んでいく仕組みです。作業中は、常にドラムが回転しているため、続けざまにゴミを入れ続けても問題ありません。 また、構造自体がシンプルであるため、メンテナンスがしやすいうえに、そもそも汚れにくいといった魅力もあります。しかし、プレス式と比較すると圧縮する力が弱いといった欠点があるため、現在ではあまり見かけなくなっています。
回転式
ゴミの入り口に板が設置されているパッカー車は「回転式」に分類されます。この板が回転することで、ゴミをタンクに放り込む仕組みです。 回収されたゴミはタンク内で圧縮されますが、このときの力がプレス式よりも弱いという特徴があります。粗大ゴミなどを粉砕できないため、主に一般家庭のゴミを収集する際に使われています。
排出形式も3種類ある
パッカー車は、種類によって排出形式にも違いがあります。パッカー車の排出形式は、以下3種類のいずれかです。
- ロータリー式
- 押し出し式
- ダンプ式
ロータリー式は、円形のドラムを逆回転させることで、回収したゴミを排出します。押し出し式は名前のとおり、排出板が奥からゴミを押し出すことで排出できます。排出力が強いため、ボックスにゴミが残りにくいことが魅力です。 ダンプ式は、ボックス自体をダンプアップさせることで、一気にゴミを排出します。
ゴミ収集の仕事とは?
みなさんはゴミ収集の仕事について、どれほどご存じでしょうか?なんとなく「ゴミを回収する仕事」ということはお分かりかもしれません。しかし、その詳細までは知らないという方が多いのではないでしょうか。 本章ではゴミ収集の仕事について、業務流れや働くことのメリット、デメリットを解説します。ゴミ収集の仕事に就きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
業務の流れ
ゴミ収集の業務は、次の流れで進みます。まずは出社後、体調チェックやミーティングをおこないます。ミーティングの内容は、ルートの確認や担当の割り振りなどが主です。粗大ゴミの回収依頼がある場合には、効率的なルートを考える必要があります。 ゴミ収集へ向かう際は、運転手がリーダーを努め、そのほかの作業員のまとめ役となることが一般的です。基本的には、リーダー以外の作業員がゴミを回収しますが、人手が少ないときには、運転手も回収作業に加わります。 巡回予定のルートを全て回るもしくは、積載量がいっぱいになったらゴミ処理施設へ向かいます。ゴミを排出したあとは、パッカー車の清掃をし、活動報告が済むと業務終了です。
働くメリット・デメリット
ゴミ収集の仕事をする際は、メリットとデメリットがあります。まずメリットから紹介します。
- 規則正しい生活が送れる
- 急な残業は少ない
- 業務内容がシンプル
- コミュニケーションが少なく済む
- 仕事がなくなる心配がない
一方、ゴミ収集の仕事には以下のようなデメリットもあります。
- 体力が必要
- 運転に集中力が必要
- 回収機構の扱いに気を遣う
免許を取得して、パッカー車を運転しよう
パッカー車の免許について、必要な免許や車両の種類を解説しました。ゴミ収集の仕事について、具体的な業務の流れやメリット、デメリットもお分かりいただけたでしょう。 パッカー車は車両のサイズによって、準中型、中型、大型免許の取得が必要となります。一般的な家庭ゴミを収集する場合は、準中型、もしくは中型免許で構いません。ゴミ収集の仕事に就こうと考えている方は、まずは準中型(中型)の免許取得を目指しましょう。