ユニック車の吊り上げ荷重とは?サイズやメーカーごとの違いを解説

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ユニック車の吊り上げ荷重は、どれだけ重い物を持ち上げることができるかを数値で示したものです。サイズによって吊り上げられる荷重が異なり、多くは「3t未満」となっています。本記事では、ユニック車におけるサイズごとの吊り上げ荷重や関連する用語などを解説します。

ユニック車の吊り上げ荷重とは「最大荷重の数値」

荷物を積載して運搬するだけでなく、クレーンで重いものを吊り上げられるユニック車には、吊り上げ荷重が定められています。吊り上げ荷重とは、クレーンが持ち上げられる最大の荷重を意味します。 この荷重は吊り上げる物体だけでなく、フックなどの吊具の重量を含む数値です。例えば、吊り上げ荷重が「2.43t」の場合、フックなどの重さも含めて2.43t分まで吊り上げられることを表し、別名「吊りトン」とも呼ばれる場合もあります。 ここでは、最大荷重の数値に関連する「クレーン等安全規則」と関係性についてみていきましょう。

吊り上げ荷重に関係する「クレーン等安全規則」とは

吊り上げ荷重について規定する「クレーン等安全規則」とは、労働安全衛生法に基づき厚生労働省が定めているものです。クレーン等安全規則の対象となる例は次のとおりです。

  • クレーン
  • 移動式クレーン
  • デリック
  • エレベーター
  • 簡易リフト
  • 床上操作式クレーン
  • 小型移動式クレーン
  • 玉掛け技能講習

これらの車両について安全に業務を執り行うための基準をクレーン等安全規則によって定めています。

吊り上げ荷重とクレーン等安全規則の関係性

「クレーン等安全規則」は、吊り上げ荷重に応じてさまざまな規定を設けています。特に、危険度が高まる吊り上げ荷重が3tを超えると、必要な手続きや書類が増えます。 製造者には「製造許可・申請・審査・許可」を、使用者には「設置届け・落成検査・検査証の受け取り」が定められ、手続きが煩雑となるのが現状です。これらの理由から日本国内における多くのユニック車は、吊り上げ荷重を3t未満とする仕様になっています。

ユニック車におけるサイズごとの吊り上げ荷重

ユニック車は車両のサイズごとに吊り上げ荷重が異なり、業務によって使い分ける必要があります。ここでは次の3サイズに分け、荷重に関する内容を解説します。

  • 2tユニック車
  • 4tユニック車
  • 10tユニック車

前述の通り、吊り上げ荷重が3tを超えると煩雑な作業が増えるため、3t以内の車両が多くなることがほとんどです。吊り上げ荷重ごとの違いについて確認しましょう。

2tユニック車

2tユニック車は車両総重量が「5t未満」、最大積載量が「3t未満」の小型トラックにクレーンを載せた車両です。主な吊り上げ荷重は「2.2t〜2.6t」となります。 ただし、吊り上げ荷重が2t未満の簡易クレーンもあり、走行のみであれば普通自動車免許で可能です。もちろん、クレーンの操作などには別途資格や講習の受講が欠かせません。 ユニック車の中ではかなりコンパクトなタイプで小回りがきくため、主に狭小住宅などの建設現場で活躍します。

4tユニック車

4トンユニック車は車両総重量が「8t未満」、最大積載量が「3t〜5t」の中型トラックにクレーンを搭載した車両です。主な吊り上げ荷重は「2.63t〜2.93t」となります。 吊り上げ荷重が2tのユニック車とそこまで変わらないのが特徴です。そのため、車体サイズと吊り上げ荷重のバランスがとれ、広域で活躍しています。 例えば、土木や建築業界や造園、水道業界などでもよく見かけます。使い勝手がよいことから、中古市場でも値が付きやすいサイズです。 こちらも、運転には中型自動車免許、クレーンやフックの操作には別途講習の受講と資格が必要になります。

10tユニック車

10tユニック車は車両総重量が「20t〜25t」、最大積載量が「10tクラス」の大型トラックにクレーンを搭載した車両です。 主な吊り上げ荷重は「2.63t〜2.93t」となっています。車体はかなり大きいものの、クレーン自体はもう少し軽いサイズの車両と同じ3t以下のものを載せているケースもあります。 これは、4tユニック車が乗せるクレーンサイズ以上のものを求められることが少ないことが理由で、ビルやマンションなどの大型現場で活躍しています。運転には大型自動車免許、クレーンやフックの操作には別途講習の受講と資格が必要です。

ユニック車の吊り上げ荷重に関係する3つの用語

ユニック車の吊り上げ荷重に関係する主な用語として、次の3つが挙げられます。

  • クレーンの竿の部分を意味する「ブーム」
  • フックなどの吊り具の重さを差し引く「定格荷重」
  • ユニック車の転倒を防ぐ「アウトリガー」

荷重に関係する用語を理解すると、実際の業務にも活かせます。ここでは、用語ごとの詳しい内容についてみていきましょう。

クレーンの竿の部分を意味する「ブーム」

「ブーム」とは、クレーンの竿の部分を指す言葉です。種類によっては何段階にも伸びるのが特徴で、3段ブームや4段ブームなどさまざまなタイプがあります。また、ブームは法令上「ジブ」と呼ばれることもあります。 ブームが長いほうが遠くにある荷物を吊り上げられますが、吊り上げ荷重はその分下がります。そのため、実際に吊り上げる荷重に合わせた適切なブームを選ばなければなりません。

フックなどの吊り具の重さを差し引く「定格荷重」

フックなどの吊り具の重さを差し引く「定格荷重」は、吊り上げ荷重からフックなどの吊具自体の重さを除いた値です。 クレーンの傾斜角やブームの長さの組み合わせから定格荷重が求められます。クレーン本体には必ず空車時の定格荷重の記載がありますので、その数字に従って吊り上げるものの重量を計算したうえで作業するようにしましょう。

ユニック車の転倒を防ぐ「アウトリガー」

「アウトリガー」は、ユニック車が転倒しないように車体から両サイドに張り出す棒の部分を指します。車体の安定性を高めるうえで、非常に重要度の高いパーツの1つです。 同パーツは車体を必要に応じて傾斜させることもできます。また、サスペンションの歪みやタイヤのパンクを防ぐなどの役割も担っており、安全なクレーン作業に欠かせません。

ユニック車におけるメーカーごとの吊り上げ荷重

一般的なカーブランドと異なり、ユニック車は2つのメーカーが国内シェアのほとんどを占めています。多くのシェアを占めているメーカーは次のとおりです。

  • タダノ
  • 古河ユニック

ユニック車について理解を深めるためにも、各メーカーが製造するユニック車の吊り上げ荷重について解説します。それぞれの違いを理解し、導入の検討に役立ててみてください。

タダノのユニック車

タダノのユニック車の正式名称としては「カーゴクレーン」と呼ばれている車種です。ユニック車のなかで世界最大手の同メーカーは、4tトラックのユニック車をメインラインとして扱っています。 その場合の吊り上げ荷重を例にすると「2.93t」「4段クレーン」が搭載されている車種のラインナップが主流です。

古河ユニックのユニック車

「古河ユニック株式会社」という名前からユニック車の呼称が発祥したとされているくらい、業界では有名なメーカーです。タダノと同様に、4tトラックのユニック車をメインに扱っています。 主に取り扱うユニック車の吊り上げ荷重では「2.63t〜2.93t」です。ユニック車のメーカーとして広く知られており、業界では赤いクレーンの「古河ユニック」と知らない人はいないほどです。

ユニック車の吊り上げ荷重は3t未満が一般的

「古河ユニック」ならびに「タダノ」の両メーカーともに、吊り上げ荷重は「2.63t〜2.93t」の間に集まっています。 これは、安全規制から大きな影響を受けたものです。吊り上げ荷重が3tを超えるとクレーン安全規制がより厳しくなることから、そのエリアを避けたいことが理由とされています。 荷重が3tを超えると煩雑な手続きや申請が必要になるにも関わらず、実際の現場での需要が少ないのが現状です。そのため、3tを超えると中古市場での流動性も落ちます。 これから導入を検討する場合は、3t未満のユニック車をメインにぜひ検討してみてください。

 

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