ポールトレーラーを支える5つの仕組みとは?トラクターの種類も紹介

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ポールトレーラーにおける仕組みは、通常のトレーラーでは運搬が難しい長さのあるものを運べるよう工夫されています。さらに荷台の長さは変更でき、40mを超えるような積荷でも運搬が可能です。 本記事では、ポールトレーラーを支える仕組みやトラクターの種類を解説します。

ポールトレーラーのサイズ

ポールトレーラーのサイズについて、次の2つをご紹介します。

  • 長さと寸法
  • 連結部分の数と位置

資格取得の前にポールトレーラーのサイズ感を把握することで、実際に乗ったときのイメージもしやすいでしょう。ここでは、項目ごとの詳しい内容について解説します。

長さと寸法

ポールトレーラーの長さと寸法は、法律で定められています。現在、ポールトレーラーのようなセミトレーラーにおける連結時の全長は「21m」が限度です。しかし、今後は「25メートル」まで可能になる予定があります。 また、ポールトレーラーは通行許可を申請する必要がありますが、ポールトレーラーの長さによっては申請しなくても通行が可能です。許可を出さずに道路を走行できるのは、高速道路であれば「15m〜16m」、一般道路であれば「12m」までです。

連結部分の数と位置

ポールトレーラーの連結部分は1つです。そして連結部分の位置は、荷台の有無によって異なります。 荷台がある場合、トラクターヘッドの後部に連結部分(ピントルフック)が備えられており、それをトレーラーの連結部分(ステアリングドローバー)とつなげることが可能です。 トレーラーのステアリングドローバーにつなぐためのピントルフックはフック状になっており、簡単に掛けたり外したりできます。 荷台がないタイプも、荷台があるタイプと同様につなげることは可能です。ただし、荷台がないため積載ができず、常にけん引しなければなりません。

ポールトレーラーを支える5つの仕組み

ポールトレーラーを支える仕組みとして、次の5つが挙げられます。

  • トラクター
  • トレーラー
  • ターンテーブルステアリング
  • ドローバー
  • 架台

ヘッド部分であるトラクターとトレーラー以外にも、ポールトレーラーはいくつかの仕組みによって成り立っています。ポールトレーラーへの理解を深めるためにも、ここでは仕組みごとの詳しい内容についてみていきましょう。

トラクター

「トラクター」は、自走できないトレーラーを引っ張るための車両です。用途に合わせてトレーラーの種類を変えることで、さまざまな大きさの荷物を運搬できるでしょう。 トラクターに荷台がある場合とない場合で、トレーラーと連結する方法が変わります。また、大型の荷物を載せるために、法令で定められた範囲内の長さに変更することも可能です。国土交通省から許可をもらえれば、さらに大型で全長の長い積荷でも運搬できます。

トレーラー

積荷を運搬する車両を「トレーラー」と呼び、けん引するトラクターと連結して走行します。トレーラーはエンジンを搭載しておらず、けん引するトラクターがないと動きません。 また、トレーラーは乗用車や作業用に使う鉄骨、長い木材など分解できない巨大な積荷を運搬するために利用されます。荷台はドローバーによって伸縮可能な構造であり、積荷の大きさに合わせて長さの調整が可能です。

ターンテーブル

「ターンテーブル」は、トラクターとトレーラーを連結させ積荷を置くスペースのことです。このターンテーブルがあることで、右左折時に積載物に無理な力がかからない仕組みになっています。また内輪差も減らせるため、スムーズな運転にも効果を発揮します。 ただし、荷台がないトラクターにはターンテーブルを取り付けるスペースがありません。そのため、トレーラーの第5輪にターンテーブルを取り付けます。

ステアリングドローバー

トラクターとトレーラーを連結させる棒型のパーツが、ステアリングドローバーです。ステアリングドローバー付近には、エアブレーキ用のエアロホースやブレーキ、ウィンカーなどの電源用ケーブルがあります。 ステアリングドローバーの長さが足らない場合は、ターンテーブルの大きさを変更して延長することで、大きな荷物の運搬も可能です。また、ターンテーブルを回らないよう固定すれば積荷は引っ張られるようになり、安定した走行にもつながるでしょう。

架台

架台とは、トレーラーに備わっている台のことです。架台によって、長い材木や鋼管など大型かつ重量のある積荷が運搬できます。 架台には「トラクターの動きを感知して、トレーラーのステアリングを作動させるタイプ」と「リモートコントロールでステアリングを作動させ、狭い道でも進入できるタイプ」があります。 また、架台よりも大型な荷物を運ぶ際には、伸縮調整できる架台を用いれば大型かつ安定感に乏しい積荷でも運搬が可能です。 さらに、架台には積載物を固定する部品である「スタンション」が取り付けられます。スタンションとは荷台の端に設置する荷崩れ防止用の棒を意味し、木材や鋼材をまとめて輸送する際に多く使用されるパーツです。

ポールトレーラーにおけるトラクターの種類

自走できないトレーラーを引っ張るための車両を意味するトラクター。ポールトレーラーにおけるトラクターの種類として、次の2つが挙げられます。

  • 荷台あり
  • 荷台なし

荷台のあるなしで、ターンテーブルの設置場所や車両同士の連結方法が大きく変わります。 備える機能も変わるため注意が必要です。ここでは、それぞれの詳しい特徴について確認していきましょう。

荷台あり

荷台ありタイプは、荷台の前方部分にターンテーブルを載せた構造になっています。ターンテーブルは荷台の役割がありつつ、連結も担う重要なパーツです。連結する部分は切り離しができず、積荷を降ろし終えた際に切り離せるようになります。 また、連結時に使用するピントルフックは、ステアリングドローバーと連結させることも可能です。ピントルフックはけん引時に接続するもので、簡単にフックの掛け外しを行えます。 さらに、エンジンの出力は通常の大型トラックと比較して高く、ラジエーターも備えているのが特徴です。

荷台なし

荷台なしのタイプは、車両の後方部分にピントルフックの連結部があります。これは、セミトレーラーと同様の車両構造です。 トラクターとトレーラーを連結させて積荷を置くターンテーブルは第5輪に載せるため、セミトレーラーによく似た姿をしています。しかし、ステアリングドローバーの機能により、内輪差はセミトレーラーよりも少なくできているのが特徴です。 また、回送の際は荷台がないためポールトレーラーを積めません。そのため、トレーラー側にあるステアリングドローバーとトラクターを接続して運搬します。

ポールトレーラー以外の仕組み

ポールトレーラー以外の仕組みとして、次の3つが挙げられます。

  • マルチトレーラーの仕組み
  • フルトレーラーの仕組み
  • セミトレーラーの仕組み

構造によって、積荷の載せ方や操作の難易度が大きく変わります。いずれのトレーラーも運転をする前に、注意点や構造を把握することが必要です。トレーラーに関する理解を深めるためにも、それぞれの詳しい特徴について確認していきましょう。

マルチトレーラーの仕組み

マルチトレーラーは荷台であり、トラクターの後方に取り付けられたものです。「カーゴトレーラー」や「ライトトレーラー」とも呼ばれます。また、低床式のポールトレーラーを「マルチトレーラー」と呼ぶケースが多いです。 マルチトレーラーは主に、ジェットスキーやスノーモービル、バギーなどの小型の乗り物を運搬する際に活用されます。また、3輪タイプのマルチトレーラーは最大積載量「100t程度」まで対応でき、超大型の荷物(火力発電に用いられる炉など)を運搬できます。 さらに、5輪タイプのマルチトレーラーは最大積載量「50t」まで対応でき、伸縮可能な荷台に電車などを載せることが可能です。 特に大型な車両であるため、バック時にコツが必要だったり、カーブでハンドルが重くなったりする注意点もあります。運転に慣れるまでは安全な環境で練習するようにしましょう。

フルトレーラーの仕組み

前輪と後輪がついていて、単独でも走行できる点がフルトレーラーの特徴です。フルトレーラーはトラクターの後部にある連結部分と接続します。 トラクターの上部に覆いかぶさるように連結するわけではないため、運転時に揺れを感じるケースも少なくありません。そのため、セミトレーラーでの運転に慣れているとカーブなどで車体が普段よりも揺れた際に、運転感覚に違和感を覚える方もいるでしょう。 また、フルトレーラーはセミトレーラーよりも全長規制が曖昧であり、一度に相当量の積荷を運搬するために全長が長くなりやすい傾向にあります。その大きな構造が影響し、運転操作の難易度は上がるでしょう。 特に、折れ曲がる箇所が2つにあるドリー式フルトレーラーではその影響が顕著です。セミトレーラーならバックできる場所でも、フルトレーラーではバックが難しい場合があるので注意しましょう。 フルトレーラーを運転する際は仕組みについて正しく理解し、長く経験を積む必要があります。

ドリー式フルトレーラー

セミトレーラーと同様に、カプラーを備えた前軸台車(ドリー)を連結させた車両です。ドリーがはじめから付いているタイプとセミトレーラーと連結させるタイプの2種類があります。 セミトレーラーを連結する形式のトレーラーでは、ランディングギア(降着装置)が装備されているのが特徴です。そのため、セミトラクターでけん引する場合はドリーを取り外す必要があります。 また「トラクターとカプラーの間」と「前軸台車とトレーラーの間」の2か所で折れ曲がる構造になっています。そのため、複数回に分けて切り返さないと方向転換ができません。 さらに、事故につながるスネーキング現象やジャックナイフ現象が見られやすいため、運転時には注意が必要です。

センターアクスル式フルトレーラー

センターアクスル式フルトレーラーは、トレーラーの中央にアクスル(車軸)が集中している構造をしており、ドローバーといわれる長い連結棒がトラクターの後軸に連結している特徴があります。 構造上、折れ曲がる部分がないため、ドリー式と比べるとバックが比較的簡単です。とはいえ、折れ曲がる部分がないために、事故につながりやすいトレーラースイング現象が起きやすい点には注意が必要です。

セミトレーラーの仕組み

トラクターヘッドと荷台のトレーラーを連結した車両のことを、一般的にセミトレーラーと呼びます。連結時の全長を「16m以上」とする車両が多く、海上コンテナ輸送トレーラーなどが代表的です。 その他にも、ガソリンスタンドで目にするタンクローリーや車を複数台運べるキャリアカー、クレーンを搭載する重機トレーラーなど、さまざまな種類があります。 また、セミトレーラーには前輪がついておらず、連結していないと走行はできません。トラクターとトレーラーを連結させて走行することを前提に設計しており、積荷を置くスペースもありません。そのため、トラクターと容易に連結できる点が大きな特徴です。 車両総重量は最遠軸距(最前部の車軸中心から最後部の車軸中心までの水平距離のこと)に応じて、トラクターが「25t」、トレーラーは「28 t」までにする必要があります。また、トラクター側の第5輪荷重の表示が義務付けられているため、確実に表示しましょう。

ポールトレーラーの仕組みを正しく理解しよう

通常のトレーラーでは運搬が難しい長さのあるものを運べるポールトレーラーは、40mを超えるような積荷でも運搬が可能です。その仕組みを支えるパーツとして、ターンテーブルや架台、ステアリングドローバーなどが挙げられます。 また、トレーラーを引っ張るためのトラクターは、荷台のあるなしでもトレーラーの取り付け方法が変わり、ポールトレーラーを運転するうえで必ず理解しておく必要があるでしょう。 ポールトレーラー以外にも、マルチトレーラーやフルトレーラーといった種類があり、バックやカーブの操作性が大きく異なります。それぞれの仕組みや構造について理解を深め、正しい知識を持って運転することが大切です。

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