セミトレーラーとフルトレーラーの違いは2つ。両者のメリットも解説

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セミトレーラーとフルトレーラーの違いは、トレーラーの構造と運転操作です。セミトレーラーはタイヤが後方にしかなく自走が不可ですが、フルトレーラーは単体でも走行できます。また両者はバック時のハンドル操作が異なるのも特徴で、ハンドルを切る方向が真逆です。それぞれの車両の違いやメリットを解説します。

セミトレーラーとフルトレーラーの違い

後方の荷台を前方のトラクターが引っ張る構造を持つ特殊車両を、トレーラーと呼びます。トレーラーの主な種類は、荷台を有するフルトレーラーと荷台を持たないセミトレーラーの2つです。 構造が異なるだけでなく、車両の種類に応じてバック時のハンドル操作に違いが生じることも特徴です。まずはセミトレーラーとフルトレーラーの違いについて詳しく解説します。

まずトラクターとトレーラーの違いを知ろう

一般的にトレーラーと呼ばれる場合、トラクターとトレーラーが連結した状態を差すことが多いです。 トラクターは荷台(トレーラー)部分を引っ張って走行するけん引車で、トレーラーヘッドとも呼ばれます。積載するスペースを持たず、単体では運搬機能を有していません。 一方のトレーラーはトラクターの後方に連結する部分のことで、単体では自走できないのが特徴です。クリスマスに夜空を颯爽と駆け巡るトナカイに例えるなら、トナカイがトラクター、サンタを乗せたソリがトレーラーという関係があります。

違い①荷台の有無

フルトレーラーはトラクターが荷台を有しているのに対し、セミトレーラーには荷台がありません。荷台の有無はすなわち、トラクターが運搬機能を有しているかということです。 フルトレーラーはトレーラーを切り離しても、トラクターだけで、トラックのように貨物の運搬が可能です。一方セミトレーラーはトラクターと荷台が連結してはじめて、本来の役割を全うします。 またシンプルにフルトレーラーは全長が長いため、多くの貨物の積み込みに適しているのも特徴です。

違い②ハンドル操作

セミトレーラーはバック時に乗用車とは逆の動きでハンドルを切るのに対し、ドリー式のフルトレーラーは同じ方向にハンドルを切ります。 ドリー式のフルトレーラーは連結箇所が2つあるため、ハンドルを動かす方向が乗用車とは逆になります。 同じトレーラーだからといって油断していると、操作方法の違いに戸惑う可能性が高いです。両方の車種を運転するドライバーは、特に注意が必要です。

セミトレーラーとフルトレーラーの構造

セミトレーラーとフルトレーラーは連結方法にも違いがあります。簡単に言えば、セミトレーラーはカプラーとキングピンという部品を使うのに対して、フルトレーラーは車両の種類に応じて異なるのです。 ここでは、フルトレーラーの車両の種類や連結方法について解説します。

セミトレーラーはカプラーとキングピンで接続

円盤状で切り込み線が入り、中央に穴を持ったカプラーと、キングピンを使って連結させる仕組みです。 構成パーツはこの2つのみと非常にシンプルな構造ですが、大きな負荷に耐えうる強度と耐久性を備えています。カプラーは軸の数によって2つの種類に分かれ、1軸カプラーは前後方向の制御のみを行います。 衝撃緩和性や安定性、居住性に優れ、高速道路の走行にも適したタイプです。2軸カプラーは前後の制御に加え、左右のローリングにも対応し、悪路や高重心の走行の走行に適しています。

フルトレーラーの連結方法は車両の種類で異なる

フルトレーラーの連結方法は車両の構造によって異なります。ドリー式はトレーラーの車軸が前方と後方に分かれ、前輪はターンテーブル式で車両の回転に合わせて車軸も旋回するのが特徴です。 センターアクスル式はトレーラーの車軸が中央に寄せられた仕組みです。

ドリー式の場合

ドリー式はカプラーの付いた前輪台車と、トレーラーのキングピンを連結させます。またトラクターとの接続にはピントルやルネットといった部品を使用します。 ドリー式は、けん引車とドリー、ドリーとトレーラーの2箇所の連結点を有するため、バック時の操作が難しいのが特徴です。車体が2つに折れ曲がるジャックナイフ現象や、ハンドル操作が利かなくなるスネーキング現象が起こりやすく、事故を引き起こす危険が高い車両です。

センターアクスル式の場合

センターアクスル式は長いドローバーを、トラクターの後方部に差し込んで連携します。部品に使用されるのは、ベルマウスやルネットといったものです。 ドリー式と異なり、折れ曲がる部分が1箇所しかないため、バック時の操作はセミトレーラーと変わりません。トレーラーの後輪がロックしてしまい、野球のバックスイングのごとく、連結部を軸に荷台が回転するトレーラースイング現象が生じやすい車両でもあります。

フルトレーラーのメリット

車体が大きくて長いフルトレーラーは大量輸送を可能とし、作業の効率化や人件費の削減などの効果をもたらします。 ドライバー不足解消の観点でも、重要な存在となる可能性は高いです。トラクターを分離して単体でも運搬が可能なため、使い勝手に優れている車両だとも言えます。ここではフルトレーラーのメリットについて詳しく解説します。

大量輸送が可能で作業の効率化に適している

全長規制はセミトレーラーが18mであるのに対して、フルトレーラーは25mです。積める荷物の合計体積が大きく、またトラクターの荷台を活用した運搬も可能なため、大量輸送に適しています。 しかし同時に、運転操作の難易度の高さという弱点も有しています。後進時に後ろが見づらく、カーブ時の内輪差による巻き込み事故が生じるリスクが高いです。基本的には車体が長ければ長いほど、運転が難しくなると考えましょう。

人件費の削減に適している

作業の効率化と密接に関係しますが、大量運搬に適したフルトレーラーは人件費の削減にも寄与します。コスト削減の観点はもちろん、近年深刻な課題と化しているドライバー不足の改善にも役立ちます。 ドライバー不足は少子高齢化の他、低賃金や労働時間の長さなどが原因です。フルトレーラーを難なく運転できる、熟練のドライバーを確保できるかという問題もあります。また上述のように運転難易度が高い車両なので、一定の年数以上のドライバー経験が求められるでしょう。

単体でも運搬可能なので融通が利く

トラクター単体で貨物を運搬可能なフルトレーラーは、使い勝手に優れる車両だと言えます。近年では、トレーラーだけでなくドリーを分離できる構造を持った車両も登場しました。 ドリーはセミトレーラーにも流用できるので、さらに使い勝手が向上します。例えば大拠点への荷物はフルトレーラーで運び、そこから支店への輸送にはセミトレーラーを活用するといった柔軟な運搬スタイルも採用できます。

セミトレーラーのメリット

セミトレーラーは車体が小さい分、機動性に優れ、維持費を抑えられるのが利点です。屈折部位が複数に分かれるドリー式がないこともあり、運転の難易度は低めです。 コスト面では保険料や車検費用、駐車場の代金などを抑えられます。セミトレーラーの具体的なメリットは以下の通りです。

運転の難易度が低い

フルトレーラーと比較すれば、運転の難易度が低い車両だと言えます。比較的小回りが利き、後進時の操作性が高いことが特徴です。トレーラーの軸が一つしかないシングルタイプは車体が幾分短く、走り出し時の応答性も高いです。 セミトレーラーならバックで入っていける場所でも、フルトレーラーでは立ち入りできないところも存在します。特に屈曲部位が多いドリー式の場合、後進の難易度が跳ね上がるため注意が必要です。

金銭的な負担が軽い

維持費をはじめ、金銭的な負担が軽い傾向があります。保険は車両の重さに応じて保険料が異なるため、フルトレーラーの方が負担は増える可能性が高いです。 他にも車軸数を基準に算出する車検費用や、スペースに応じた駐車場代金など金銭的なメリットはセミトレーラーに軍配が上がります。コスト負担を抑えたいなら、セミトレーラーの方が適していると言えるでしょう。

いずれにせよ大型免許とけん引免許が必要

セミトレーラーとフルトレーラー、どちらの場合でも運転には大型免許とけん引免許が、基本的に必要になります。 大型免許は車両総重量11t以上、最大積載量6.5t以上の自動車の運転に必要な免許です。トレーラーは原則、この区分に当てはまります。 けん引免許は、けん引車両が750kgを超える場合に必要です。測定では車両本体の重さに加えて、積載物の重量も考慮されます。

セミトレーラーとフルトレーラーの違いは構造と運転操作

セミトレーラーとフルトレーラーは、荷台の有無、連結方法、運転操作などで異なります。セミトレーラーは荷台が存在しないため、運搬にはトラクターとトレーラーが一緒になる必要があります。 フルトレーラーと比較してセミトレーラーのほうが小さく、小回りが利き、バックの操縦も楽なため運転操作上は有利です。それぞれの車両の違いを把握して、自分たちの事業や会社にはどちらが必要かじっくりと考えてみてください。

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