高所作業車の種類を構成する3つの装置とは?装置ごとの特徴も紹介

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高所作業車の種類は「動力装置」「走行装置」「作業装置」の組み合わせによって異なります。よって、作業場所や用途、高さなどに合わせて使い分ける必要があります。本記事では、高所作業車の種類における概要や、装置ごとの種類などについて解説するので参考にしてみてください。

高所作業車の種類を構成する3つの装置

高所作業車の種類を構成する装置は、次の3つが一般的です。

  • 動力装置
  • 走行装置
  • 昇降装置

いずれも、高所作業車には欠かせない装置ばかりです。また、一口に装置といってもさまざまな種類があり、それぞれの特徴も大きく異なります。装置ごとの特徴について確認しておきましょう。 高所作業車を動作させる「動力装置」 「動力装置」は高所作業車を動作させるための原動機のことです。原動機は次の3つに分類されます。

  • エンジン式
  • バッテリー式
  • バイエナジー式

「エンジン式」とはエンジン、もしくはディーゼルエンジンを燃料として使用するタイプの原動機です。高所作業車の場合、おもにディーゼルエンジンが使用されています。 「バッテリー式」はバッテリーに貯めた電気を使用し、モーターを動かすタイプの原動機です。排気ガスや騒音が発生しないことから、高所作業車を屋内で使用する場合に適しています。 「バイエナジー方式」とは、エンジン式とバッテリー式の両方を搭載しているタイプの原動機です。自動車でいうハイブリッドのことで、屋外走行時はエンジン、屋内作業時はバッテリーというように、状況に応じて切り替えられます。 高所作業車を移動させる「走行装置」 「走行装置」は高所作業車を移動させるために必要な装置です。走行装置も次の3つに分類されます。

  • ホイール式
  • トラック式
  • クローラ式

上記3つのうち、ナンバープレートが付いているのは、トラック式のみです。したがって、ナンバープレートが付いていないホイール式とクローラ式は公道を走行できないため注意しましょう。各走行装置の特徴などについては、後で詳しく解説します。 高所作業車を上下させる「昇降装置」 「昇降装置」は高所作業車を上下させるための装置です。装置によっては、前後左右に動くものもあるなど、用途に合わせてさまざまな種類があります。昇降装置は、次の4つが代表的です。

  • 伸縮ブーム型
  • 屈折ブーム型
  • 混合ブーム型
  • 垂直昇降型

上記のうち、垂直昇降型はさらに「シザース型」「タワー型」「シグマ型」「エックス型」の4種類に分類され、用途が細かく分けられているのが特徴です。

高所作業車における走行装置の種類

高所作業車における走行装置は、次の3つが挙げられます。

  • トラック式
  • クローラ式
  • ホイール式

各走行装置によって特徴が異なるため、作業内容に適さないものを選択してしまうと、作業が行えない事態に陥りかねません。作業内容に最適な走行装置を選択するためにも、各種類の特徴について確認しておきましょう。

一般的なトラックを用いた「トラック式」

「トラック式」は一般的なトラックを走行装置として活用したタイプです。貨物トラックの荷台に昇降装置が取り付けられており、公道走行が可能なため、作業場所までスムーズに移動させられます。 そのため、街路灯や樹木、信号機、看板設置など作業場所が公道である場合や、短時間で作業や点検をしなければならない現場に最適です。

クローラベルトを用いた「クローラ式」

「クローラ式」は一般的には「キャタピラ」とも呼ばれ、ホイールの代わりにクローラが備えられ、2つのクローラベルトで駆動・走行するタイプです。ホイール式と同じく、作業範囲内をゆっくりと移動させられます。 凹凸な地盤や軟弱な地盤など、不安定な場所を走行する場合や、建物内における設備工事の仕上げに適しているタイプです。ただし、高所作業は水平堅土で実施する必要があります。

専用台車を用いた「ホイール式」

「ホイール式」とは、4つのタイヤがついた専用台車に作業装置を取り付けたタイプです。公道走行ができないため、作業現場は限られます。 ホイール式はラジコン感覚で操作しやすい点が特徴で、現場範囲内をゆっくり移動して作業する場合などに適しているでしょう。 ホイールのため路面を傷つけにくいことから、造船所など公道以外の現場や、施設内での保守点検、建設工事の仕上げなどに適しています。

高所作業車における昇降装置の種類

高所作業車における昇降装置の種類としては、次の4つが挙げられます。

  • 伸縮ブーム型
  • 屈折ブーム型
  • 混合ブーム型
  • 垂直昇降型

こちらも種類によって特徴が異なるため、作業現場の状況に適したものを選択しなければなりません。 また、垂直昇降型はさらに4種類の形状に分かれます。適した昇降装置を選択するためにも、ここでは各種類の特徴について詳しくみていきましょう。

位置を決めやすい「伸縮ブーム型」

「伸縮ブーム型」とは、ブームと呼ばれる柱状の装置が伸び縮みして昇降するタイプです。作業位置に向かって直線的に接近できるため、作業床の位置が決めやすく、広い場所での作業に最適です。 電気工事や造園など、業種を問わず幅広い作業現場で活用できるため、伸縮ムーブ型は作業装置の中でもっとも普及率が高いタイプといわれています。

障害物をかわせる「屈折ブーム型」

「屈折ブーム型」とは、ブームの中間が折り曲がるタイプの昇降装置です。ブームを折り曲げることによって、地面と平行に動かせます。 そのため、作業床の位置から作業位置までの間に障害物があり、障害物をかわして作業位置に接近しなければならない現場などに適しています。また、設備の保守点検や隙間に入って作業しなければならない現場との相性もよいです。

移動の可能範囲が広い「混合ブーム型」

「混合ブーム型」とは、伸縮ブームと屈折ブーム両方の機能を持ったタイプの昇降装置です。上下左右自由に動かせるため、作業床の移動可能範囲が幅広く、状況に応じて使い分けられることから、広い範囲で作業しなければならない建設現場や保守点検作業に適しています。 トラックに装備されているケースが多く、日常的に見かけるタイプといえるでしょう。

狭小現場でも使いやすい「垂直昇降型」

「垂直昇降型」とは、作業床を垂直に上下させられるタイプの昇降装置です。小さな高所作業所のため、内装工事や倉庫など狭小現場での使用が適しています。垂直昇降型は、さらに以下4種類に分類されます。

  • シザース型
  • タワー型
  • シグマ型
  • エックス型

同じ垂直昇降型といってもそれぞれ形状や特徴が異なるため、すべてが同じ現場で使用できるわけではありません。各種類の特徴について詳しくみていきましょう。

シザース型

「シザース型」はシザーズリフトとも呼ばれ、伸縮する部分がハサミ状の支柱となっている点が特徴です。ハサミが開閉していくように上下に動き、全伸長で走行も行えます。 充電はコンセントが一般的ですが、種類によってはパワーパックでも可能です。電球交換やテントの設営、在庫確認、配管などの作業に適しています。

タワー型

「タワー型」は「マスト式」とも呼ばれ、ブームが伸び縮みすることで作業床を上下させるタイプです。したがって、仕組みとしては「伸縮ブーム型」と同型になります。 伸縮ブーム型と同様、作業位置に向かって直線的に接近できるため、作業床の位置が決めやすい点がメリットです。また、狭小現場で使用しやすいといった性質上、コンパクトな車体サイズのため、操作・保管がしやすいといった特徴があります。

シグマ型

「シグマ型」は記号のシグマ(Σ)に似た形状であることから、この名称がつけられました。シグマ型の仕組みは屈折ブーム型と同じのため、ブームの中間で折り曲げられます。 ただし、ブームは折り曲げられるものの、屈折ブーム型のように地面に対して平行には動かせません。したがって、移動は垂直方向のみであり、障害物をかわすことは不可能です。

エックス型

「エックス型」はアルファベットのエックス(X)に似た形状であることから、この名称がつけられました。シザース型とよく似た形状ですが、エックス型は交差する支柱が伸び縮みするように設計されています。 そのため、作業床が上昇しても支柱同士の間隔が狭くならず、シザース型よりも安定を確保した状態で高所作業が可能です。

高所作業車の種類を使い分けて安全を確保しよう

高所作業車には大きく「動力装置」「走行装置」「昇降装置」の3つの装置があります。 しかし、動力装置には「エンジン式」や「バッテリー式」などの種類、走行装置には「トラック式」や「ホイール式」などの種類、昇降装置には「伸縮ブーム型」や「屈折ブーム型」など、装置ごとに種類が豊富です。 そのため、装置の構成次第でさまざまな種類の高所作業車があります。安全を確保するためにはそれぞれの特徴を理解し、上手に使い分けることが大切です。

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