高所作業車の運転に必要な資格は2種類!取得に必要なものと手続き

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高所作業車の資格を取得するためには「運転技能講習」か「特別教育」のいずれかを受けなくてはいけません。ただし、作業床の高さによって必要な資格が異なります。そのため、正しい知識を身につけ、自分に必要な資格を取得することが必須です。 そこで本記事では、高所作業車の運転に必要な資格の概要や取得に必要なもの、手続き、よくあるQ&Aなどについて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

高所作業車の運転に必要な資格は作業床の高さで異なる

高所作業車の運転に必要な資格は2種類ありますが、各資格は作業床の高さを最大まで上昇させた際、地面から作業床の床面までの高さによって分けられます。基準となる高さは「10m」です。 作業床の高さが10m未満か10mを超えるかによって必要な資格は変わります。したがって、すべてのタイプを操作したいという場合は次項で説明する「特別教育」ではなく「技能講習」を受講するようにしましょう。

高所作業車の運転に必要な2つの資格

高所作業車の運転に必要な資格として次の2つが挙げられます。

  • 高所作業車運転技能講習
  • 高所作業車運転特別教育

いずれの資格も高所作業車の運転に欠かせません。作業床の高さによって取得しておくべき資格は異なるため、作業床の高さを確認して自身に適したものを選ぶ必要があります。 取得した免許が違ったということがないよう、本章では免許ごとの詳しい内容について確認しておきましょう。

高所作業車運転技能講習

「高所作業車運転技能講習」を受講し資格取得できれば、作業床の高さが10m以上の高所作業車を操作できます。資格を取得するためには、学科ならびに実技試験に合格しなくてはいけません。 高所作業車運転技能講習の受講時間は、通常17時間です。ただし、受講時に保有している資格によって、受講時間は12時間もしくは14時間に短縮されます。 また、講習費用は受講する機関によって多少の違いはあるものの、講習の構成・内容や資格効力に違いはありません。したがって、事前に最寄り機関の講習費用などを確認しておくとよいでしょう。

高所作業車運転特別教育

「高所作業車運転特別教育」を受講し資格取得できれば、作業床の高さが最大10m未満の高所作業車を操作できます。受講条件もなく試験もないため、学科・実技の講習を受ければ、修了証が交付され操作が可能です。 また「高所作業車運転技能講習」と同様、受講時に保有している資格によっては講習の1部が免除されるため、保有資格が該当するかどうか確認することをおすすめします。 高所作業車運転特別教育は、高所作業車運転技能講習と違い比較的簡単に取得できる資格のため、作業床の高さが最大10m未満であれば、とりあえず受講しておくのもよいでしょう。 ただし、作業主任者を目指している場合は注意が必要です。高所作業は労働災害が発生する確率が高い作業のため、作業主任者を選任して労働災害が起きないように指揮・管理を行わなければなりません。 しかし作業主任者は、高所作業車運転技能講習の修了者から選任しなくてはいけないため、高所作業車運転特別教育は作業主任者にはなりません。したがって、作業主任者を目指している場合や求められている仕事内容によっては、高所作業車運転技能講習を修了する必要があります。 さらに、作業する高さが10m未満の場合でも、操作する高所作業車が10m以上の高さになるタイプであれば、特別教育修了者は操作できないため注意が必要です。受講前に高所作業車運転特別教育で問題ないか、しっかりと把握しておきましょう。

高所作業車運転技能講習の概要

高所作業車運転技能講習の概要を次の2項目に分けて紹介します。

  • 講習科目と時間
  • 受講費用と資格

高所作業車運転技能講習の受講時間は免除内容によって「17時間コース」「14時間コース」「12時間コース」に分かれ、それぞれ費用も異なる点が特徴です。本章では、基本となる17時間コースを中心に、講習の概要をみていきます。

講習科目と時間

「技能講習」の構成内容は次のとおりです。

  1. 学科講習
  2. 学科試験
  3. 実技講習
  4. 実技試験

次に17時間コースの学科と実技の講習科目と時間についてみていきましょう。 【学科:合計11時間(試験時間は除く)】

  1. 高所作業車の作業に関わる装置の構造と取扱い方法の知識(5時間)
  2. 原動機の知識(3時間)
  3. 高所作業車の運転で欠かせない一般的事項に関わる知識(2時間)
  4. 関係法令(1時間)
  5. 学科試験

【実技:合計6時間(試験時間は除く)】

  • 高所作業車の作業に必要な装置の操作(6時間)
  • 実技試験

17時間コースの場合、上記講習内容を3日間に分けて受講しなければなりません。しかし、保有している免許・資格によって講習科目が一部免除され、時間の短縮が可能です。 14時間コースの場合は学科8時間と実技6時間となり、2日間に分けて受講していきます。 12時間コースの場合は学科6時間、実技6時間となり、こちらも2日間に分けて受講しなければなりません。

受講費用と資格

受講資格は満18歳以上で、費用は受講するコースによって異なります。コース別受講費用は、以下のとおりです。

  • 17時間:4~5万円
  • 14時間:3万5,000~4万5,000円
  • 12時間:3万5,000~4万円

ただし、上記はあくまでも参考なので、受講先によって費用は異なります。申し込み前に確認しておくとよいでしょう。

高所作業車運転特別教育の概要

「高所作業車運転特別教育」の概要を次の2項目に分けて紹介します。

  • 講習科目と時間
  • 受講費用と資格

「高所作業車運転技能講習」に比べ、費用もそこまで高くなく講習時間も長くありません。したがって、高所作業車運転特別教育のほうが受講しやすいです。 ただし受講しやすい分、技能講習と比べると業務内容が限られます。そのため、高所作業車運転特別教育で問題ないか、しっかりと確認してから受講しましょう。

講習科目と時間

    • 高所作業車運転特別教育の講習科目と時間は以下のとおりです。 【学科:合計6時間】

      • 高所作業車の作業に関わる装置の構造と取扱い方法の知識(3時間)
      • 原動機の知識(1時間)
      • 高所作業車の運転で欠かせない一般的事項に関わる知識(1時間)
      • 関係法令(1時間)
    • 【実技:合計3時間】

      • 高所作業車の作業に必要な装置の操作(3時間)
    • 高所作業車運転特別教育に試験はありません。したがって、真面目に受講していれば問題なく資格取得が可能です。 高所作業車運転技能講習と同様に保有している免許・資格によって講習科目が一部免除されるため、時間の短縮が可能です。

受講費用と資格

    • 受講資格は満18歳以上で、受講費用は約1万5,000~2万円です。 ただし、ここで紹介した受講費用はあくまでも参考であり、受講先によって費用は異なります。必ず申し込み前に確認しておきましょう。 また、受講先によっては学科のみや実技のみで行っているケースや、ベトナム語コースなどを実施している場合もあります。この場合は、費用が通常と違う可能性もあるため注意が必要です。

講習の一部が免除となる資格や免許

    • 「高所作業車運転技能講習」と「高所作業車運転特別教育」は前述のとおり、保有している免許によっては講習の一部が免除されます。免除されれば受講費用も安くなるため、申し込みをする前に問い合わせておくとよいでしょう。 講習の一部が免除となる資格・免許は以下が挙げられます。

      • 普通・準中型・中型・大型・大型特殊自動車免許
      • 移動式クレーン運転士免許
      • 車両系建設機械運転技能講習
      • フォークリフト運転技能講習
      • 小型移動式クレーン運転技能講習
      • ショベルローダー等運転技能講習
    • また、トラック式高所作業車を公道で運転する場合、車両サイズに合った運転免許を取得しておかなければなりません。

高所作業車の資格取得に必要なものと手続き

    • 高所作業車の資格取得に必要なものと手続きを次の3項目に分けて紹介します。

      • 必要書類と道具
      • 手続きの方法
      • 再交付の場合の手続きと流れ
    • いずれも、資格取得ならびに再交付に際して理解しておかなければならないポイントばかりです。企業によっては受講の申し込み時に、必要な書類・道具のリストを準備してくれる場合もあります。 内訳を知っておくとスムーズに準備できるため、ここで確認しておきましょう。

必要書類と道具

    • 必要な書類・道具は次のとおりです。

      • 受講票
      • 本人確認書類
      • 受講コース条件にかかわる事業主の証明書・資格証
      • FAXで送付した場合は送信した受講申込書の原本
      • 受講申込書に貼り付ける証明写真1枚
      • 印鑑
      • 筆記用具
      • 軍手
      • ヘルメット
    • 本人確認書類としては、自動車運転免許証か発行から6ヶ月以内の住民票、公的機関が発行した証明書です。住民票を提出する場合、マイナンバーが記載されていないもので問題ありません。 資格証としては、免許証や技能講習修了証、特別教育修了証の原本となります。受講申込書に貼り付ける証明写真は、30mm×24mmサイズで6ヶ月以内に撮影したものとなり、三分身で無帽、無背景でなければなりません。 ヘルメットは教習所で貸し出しているようですが、念のため受講先に確認しておくとよいでしょう。 また、必要書類が揃っていない場合は受講ができません。必要書類は人によって異なるため、ここで紹介したものを参考にしながら確実に準備しておきましょう。

手続きの方法

    • 手続きの方法は以下のとおりです。

      1. 電話で入校日を予約
      2. 予約完了後、指定の受講申込書を記入
      3. 本人確認書類と受講コース条件に関わる証明書、資格書をコピー
      4. 3で準備したコピーを含む必要書類を受講日の10日前までに郵送
      5. 受講料を受講日の10日前までに、銀行振込か現金書留、窓口支払いのいずれかで支払い
    • 上記の流れは、あくまでも一例です。受講先によっては多少手続きの方法が違う可能性もあるため、しっかりと確認しておきましょう。

再交付の場合の手続きと流れ

    • 修了証を喪失したり、損傷したりした際や本籍もしくは氏名を変更した場合は、修了証の再交付を行わなければなりません。再交付の手続きは修了証の写しがあるかないか、取得場所を知っているかどうかによって変わります。 【修了証の写しがある、または取得場所がわかる場合】

      1. 取得場所つまり受講先の公式ホームページから申請書を印刷する(受講先に連絡し申請書をFAXか郵送してもらう)
      2. 必要事項を入力し郵送にて発送
      3. 申請書をもとに受講先が修了証の作成
      4. 1週間程度で修了証が手元に届く
    • 【修了証の写しがない、または取得場所がわからない場合】

      1. 資格の種類が技能講習の場合、中央労働災害防止協会安全衛星情報センターへ連絡し取得した団体を確認
      2. 取得した団体に再交付の申請を行う
    • 特別教育の場合は、一緒に受講した方に聞く程度しか、取得団体を探す方法がありません。したがって、取得団体を忘れないようメモなどに控えておく必要があります。 また、ここで紹介した再交付の流れはあくまでも一例です。団体によって再交付の方法が異なるため、問い合わせなどを行って確認しておくことをおすすめします。

高所作業車の資格を取得できる3つの受講先

    • 高所作業者の資格を取得できる受講先としては、次の3つが挙げられます。

      • コベルコ教習所
      • 一般社団法人全国登録教習機関協会
      • 建設業労働災害防止協会/li
    • いずれも、高所作業車の資格を取得できる機関です。ただ、機関ごとに特徴があるため、申し込み前には技能講習を行っているかどうかしっかりと確認しなければなりません。ここでは、受講先ごとの詳しい内容をみていきましょう。

受講先1.コベルコ教習所

    • 油圧ショベルなどを製造している建機メーカーであるコベルコが、事業の1つとして運営している教習所が「コベルコ教習所」です。高所作業車はもちろん、多くの技能講習や特別教育を行っており、別の資格も同時に取得したいときは併せて講習を受けられます。 土日にも講習を行っているため、平日に講習を受けられない方でも日程を調整しやすくおすすめです。

参考:コベルコ教習所 HP

受講先2.一般社団法人全国登録教習機関協会

    • 「一般社団法人全国登録教習機関協会」は、技能講習内容の充実を図り、労働災害の防止を目的に設立された団体です。登録教習機関が全国各地にあるため、どの地域に住んでいても講習を受けられます。 勤務先の企業が会員となっていれば、通常の受講料よりも安い料金で講習を受けられるので、申し込み前に会員かどうか確認しておくとよいでしょう。

参考:一般社団法人全国登録教習機関協会 HP

受講先3.建設業労働災害防止協会

    • 「建設業労働災害防止協会」は、おもに建設業を生業にしている事業主などが会員の組織です。一般社団法人全国登録教習機関協会と同様、建設業で多発する労働災害の防止を目的に設立されました。 全国各地に拠点があり、高所作業者以外の技能講習や特別教育も受講できます。ただし、地域によって実施している講習が異なるため、申し込みをする場合は高所作業車の技能講習を行っているか事前に確認しましょう。

参考:建設業労働災害防止協会(建災防) HP

高所作業車の資格に関する4つのQ&A

    • 高所作業者の資格に関するQ&Aとして次の4つが挙げられます。

      • 高所作業車を操作しなければ、資格は不要?
      • 特別教育や技能講習は難しい?
      • 普通免許があると受講時間を短縮できる?
      • 高所作業車の資格取得は助成金の対象?
    • いずれも高所作業車の資格取得検討者からよく質問される内容ばかりです。どれも資格取得の際に理解しておくべきポイントだといえるでしょう。申し込み後の不安を減らすためにも、各Q&Aについて詳しくみていきましょう。

Q1.高所作業車を操作しなければ、資格は不要?

    • 高所作業車の操作をしなければ、高所作業車関連の資格は不要です。しかし、高所作業は非常に危険であり、安全に関する知識の有無が大きな差となります。 もし、無資格者が作業床の作業中に転落事故などを起こしてしまった場合、責任を負うのは無資格者ではなく、技能講習を受け資格を取得している作業主任者です。資格が不要だとしても、高所作業を行う場合には、安全面の観点から講習を受けて資格を取得しておいたほうがよいでしょう。

Q2.特別教育や技能講習は難しい?

    • 「高所作業車運転特別教育」や「高所作業車運転技能講習」の合格率は99%のため、難しい試験ではありません。不合格者となる主な理由は居眠りや、そもそも講習を受ける気がなかったことなどが挙げられます。 したがって、真面目に講習を受けていれば、不合格になることはないでしょう。高所作業車による作業では、自分の命だけではなく、他人の命を危険にさらしてしまう恐れがあります。講習だからといって油断せず、自覚を持って講習を受けることが大切です。

Q3.普通免許があると受講時間を短縮できる?

    • 自動車の普通免許を所持している場合、受講時間は17時間コースから14時間コースと3時間に短縮され、2日間で資格を取得できます。ただし、トラック式高所作業車の運転席に座って公道で高所作業車を運転する場合は、準中型免許以上を取得しておかなければなりません。 準中型免許を取得する場合は、それなりに時間をかける必要があります。ただし、普通免許を取得していれば、準中型免許の取得時間を大幅に短縮することが可能です。

Q4.高所作業車の資格取得は助成金の対象?

    • 「高所作業車運転技能講習」や「高所作業車運転特別教育」は「建設事業主などに対する助成金」の対象です。業務に必要な資格であり、助成金の対象になっていることから、資格取得費用を負担してくれる企業は多いしょう。 ただし企業によっては、資格取得後にすぐ退社した場合、負担した費用を返却しなければならない場合もあります。そのため、勤務先の福利厚生などをしっかりと確認し、納得いく形で資格を取得するようにしましょう。

高所作業車の資格取得で仕事の幅を広げよう

    高所作業車の資格は比較的簡単に取得できます。取得が容易にもかかわらず、高所作業には必要不可欠なため、作業現場では非常に重要なものです。 したがって、高所作業者の資格を持っている方は、多くの現場で重宝されることでしょう。スキルアップや、仕事の幅を広げたい方は、高所作業車の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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