トレーラーの運転免許は何が必要?運転のコツや取得方法、費用を解説 

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大型トレーラーを操縦する場合は、一部の例外を除いて特定の免許が必要となります。トレーラーの運転に必要な免許は「けん引免許」です。そこで本記事では、トレーラーを運転するコツや運転免許の取得方法、必要な費用などについて解説します。

そもそもトレーラーってどんな車両?

多くの方が普段目にしている「荷物を運搬する車」の多くは、大型トラックであり、トレーラーではありません。ではトレーラーとはどのような車両なのでしょうか。本章では、トレーラーという貨物運搬車両について解説します。

荷物の運搬に不可欠なトレーラー

トレーラーとは、さまざまな荷物を運搬する際に使われる「貨物車両」のことです。
トラクター(またはヘッド)と呼ばれる車両部分が、トレーラーという荷台部分をけん引することで、荷物を運搬します。つまり厳密にいえば「トレーラー」とは、荷台のことであり、車両そのものではありません。

しかし、一般的には「トレーラー=トラクター」のように、トレーラーが連結している状態と認識されているので、両者を合わせて「トレーラー」と呼んでも差し支えないでしょう。 トレーラーには「セミトレーラー」と「フルトレーラー」の2種類があります。どちらも荷物を運ぶための車両ですが、車体のサイズや連結部分が異なります。

大型トラックとは車体の構造が違う

荷物を運搬する車両として、多くの方がまず思い浮かべるのは「大型トラック」ではないでしょうか。そして「トレーラーは大型トラックの1種」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、トレーラーと大型トラックとでは、車体の仕組みが異なります。

トレーラーがけん引車であるのに対して、大型トラックは「貨物自動車」に分類されます。 全長についても、大型トラックよりもトレーラーのほうが、4.5〜6mほど長いです。またドライバーは、大型免許だけではトレーラーを運転できません。トレーラーの操縦には、けん引車両専用の免許が必要となります。

トレーラーを運転するコツ


トレーラーはトラックとは異なり、トラクターとトレーラーとを繋ぐ「連結部分」があります。また全長においても、トラックよりはるかに長さがあるため、トレーラーの運転にはコツが必要です。 本章では「直進」「右折」「左折」「バック」の4シーンに分けて、トレーラーを運転するコツを解説します。

直進するときのコツ

トレーラーで直進する際は、連結部分の「幅」「長さ」「高さ」を正確に把握することがポイントです。「そんな基本的なこと?」と思われるかもしれませんが、長時間トレーラーを運転していると、車体の長さを忘れてしまうことがあります。 トラックなどの一般的な大型車両と同じ感覚のまま、黄色信号をギリギリで通過しようとしたり、踏切を無理に渡ったりするのは非常に危険な行為です。

車体の寸法をしっかりと意識して、余裕のある運転を心がけることが、トレーラーにおける直進時のコツです。思わぬ大事故を招かないよう、肝に銘じておきましょう。

右折するときのコツ

トレーラーで右折をするときは、目視でしっかりと周囲の安全を確認しましょう。右折は、左折時よりも死角が少なく、目視での確認がしやすいためこの点を怠ってはいけません。 特に交差点で右折をする際は、目視の確認が重要となります。前方を走る車の流れをよく把握したうえで、対向車の進路を妨げてしまうことがないように運転してください。 状況によっては、通常よりも大回りをしなければならないこともあるので、臨機応変に対応しましょう。

またトレーラーは、ブレーキを強く踏みすぎてしまうと、前輪のロック機能が作動してしまうことがあります。ロックがかかると、操縦不能となってしまうため、急ブレーキが必要になる事態を極力避けるようにしてください。

左折するときのコツ

トレーラーで左折する際は、目視とサイドミラーのダブルチェックをおこなうのが基本です。運転席は右側にあるため、左折時には死角となる部分が多く、目視だけでは周囲の安全を確認しきれないためです。 そしてトレーラーでの左折時に、特に注意を払うべきなのは、内輪差による「巻き込み事故」です。

全長が長い分、内輪差が大きくなりやすいため、トレーラーで左折をする際は、必ずダブルチェックをし、さらに前方へ深く入り込むのがコツです。 前方へ入ることで、巻き込み事故のリスクは大幅に軽減できます。

バックするときのコツ

トレーラーでバック(後退)する際は、前輪を操縦します。トレーラーにかかわらず、運転において最も難しいのがバックであり、トレーラーほど大きさのある車両ではその難易度はさらに高くなるでしょう。 トレーラーの場合、いくらハンドル操作をしても連結部が折れ曲がってしまうことがあり、真っ直ぐバックできないケースもあります。トレーラーを軸と考えながら、前輪を操作することで、連結部分が曲がることなくバックできるでしょう。

バックだけでなく、駐車や車庫入れも一筋縄にはいきません。車体が左右どちらかに曲がって停車してしまうケースがトレーラーではよく見られます。万が一、トレーラーが左に曲がって駐車してしまった場合は、以下の方法で真っ直ぐに直してください。

  • ハンドルを左に切る
  • ハンドルを右に切る
  • ハンドルを左に戻す
  • ハンドルを右に切る
  • 左右を確認して、微調整する
  • ハンドルを真っ直ぐに戻す

右に曲がって駐車してしまった場合は、上記の左右を逆にして対応してください。

トレーラーの事故例・起こり得る現象

通常のトラックなどとは、比較にならないほど大型な車両であるトレーラー。運転に慣れてきたとしても、油断していると思わぬ事故を引き起こすことがあります。以下では、実際に起きたトレーラーの事故をまとめています。

エリア 事故の内容 被害
愛知県 国道41号線で、トレーラーが軽乗用車に追突。 24台が絡む玉突き事故が発生。 怪我人12名 (うち、1名は重症)
徳島県 交差点にて、横断歩道を渡ろうとした小学生が左折してきたトレーラーにはねられる 小学生1名が死亡
大阪府 トレーラーが左折時に自転車で走行中の女性と衝突 女性1名が死亡 (オートバイの運転手)

参考:東海テレビ/「3車線の車全部なぎ倒して止まった…」大型トレーラーが渋滞の車に突っ込み24台絡む事故に 12人ケガ
参考:共同通信/徳島でトレーラーにはねられ小4女児死亡
参考:24歳女性ひき逃げされ死亡 容疑でトレーラー運転の男逮捕 左折時に自転車巻き込みか

またトレーラーは、全長が長いことや連結部分があることによって、いくつかの現象が発生しやすくなっています。トレーラーの運転手が注意すべき現象は「ジャックナイフ現象」「プラウアウト現象」「トレーラースイング現象」です。 それぞれについての詳しい説明は、以下をご確認ください。

現象名 どんな現象か 原因
ジャックナイフ現象 連結部分が「くの字」に曲がってしまう現象 車輪が滑ること 過重積載
トレーラースイング現象 トレーラーのブレーキにロックがかかる現象 悪路や悪天候の中での走行
プラウアウト現象 トレーラーが制御不能となる現象 急ブレーキ

トレーラーの運転に必要な資格

トレーラーはその車体のサイズから、一瞬の操作ミスや判断ミスによって思わぬ大事故を招く可能性がある車両です。そのため、このトレーラーを運転するドライバーには、特定の資格の取得が義務付けられています。 本章では、トレーラーの運転手として必要な資格や、資格がなくても運転できる車両について解説します。

トレーラー免許(けん引免許)

トレーラーを運転するための資格は「けん引免許」です。けん引免許とは、車体の重量が750kgを超える車両を扱う際に必要な資格であり、トレーラーもこの重量に該当します。トレーラーだけでなく、タンクローリーなどを運転する際にも、この資格が必要です。

けん引免許には「けん引免許」「けん引二種免許」「けん引小型トレーラー限定免許」の3種類があります。 けん引免許は貨物トレーラーをはじめ、車体を連結させることで、荷物を運ぶ車に必要な資格。けん引二種免許は、旅客運送としてけん引車両を使う際に必要な資格であり、けん引小型トレーラー限定免許は、750kg以上、2,000kg未満の車両に限定してけん引できる免許です。

免許が不要となるケースもある

トレーラーを運転する際には、けん引免許が必要ですが、運搬車両の種類によっては免許がなくても運転できるものもあります。 けん引免許は、重量750kg以上の車両を運転する際に必要となる資格です。逆にいえば、749kg以下の車両であれば、免許は必要ありません。しかし、トレーラーで749kg以下の車両は難しく、基準内の車両は普通自動車、小型トラック、中型トラックに限定されます。

トレーラーの免許を取得するには?

トレーラーのドライバーとして働くためには、免許の取得が不可欠です。では、トレーラーの免許(けん引免許)を取得するには、どうすればよいのでしょうか。 本章では、けん引免許を取得する2つの方法や免許取得の条件、費用、期間について解説します。これからトレーラーのドライバーになろうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

免許取得の方法

けん引免許の取得方法は2つあります。 1つめの方法は、公認の自動車教習所で教習を受け、試験に卒業検定をクリアする方法です。 そして2つめが、運転免許試験場でおこなわれている試験に合格する、いわゆる「一発試験」という方法です。

自動車教習所に通うことで、けん引免許を取得するためには、12時限の技能講習を受講しなければなりません。そのうえで、卒業検定と適性検査をクリアした方は、晴れて免許取得となります。 免許センターでおこなわれている「一発試験」に合格する方法でも、けん引免許は取得できます。コストがかからない反面、難易度が高いことがデメリットです。

免許を取得する条件

けん引免許を取得するためには、試験合格とあわせていくつかの条件をクリアしなければなりません。けん引免許の取得にはまず、普通・準中型・中型・大型のうち、いずれかの自動車免許をすでに保有しておく必要があります。 そのうえで、以下の条件を満たしている方は、けん引免許を取得することが可能です。

  • 年齢が18歳以上であること
  • 視力が両眼で0.8以上、片目各0.5以上あること(矯正可)
  • 色彩認識能力において、赤・青・黄色が認識できること
  • 深視力において、3度おこなう検査の誤差が2cm以下であること
  • 聴力において、90デシベルの音を10mの距離で認識できること
  • 運転に支障をきたす、身体的な障害がないこと

免許取得にかかる費用・期間

免許取得にかかる費用と期間は、どちらも取得方法によって大きく異なります。それぞれについて、以下で一覧にしているので、参考にしてください。

  自動車教習所を利用した場合 一発試験を利用した場合
取得にかかる費用 120,000~150,000円 不確定 ※1回で合格した場合は6,100円
取得までの期間 期間2週間(最短6日間) 不確定 (目安は5~7回、最短1日)

自動車教習所と一発試験、どちらを利用する場合でも人によっては、一度で試験に合格できないことがあります。上記はあくまでも目安と考えてください。

トレーラーの運転免許はしっかり取得しよう!


トレーラーを運転することについて、運転のコツや事故例、ドライバーに必要な資格、けん引免許の取得方法などを解説しました。車体重量が750kg以上の車両を運転する際は、けん引免許が必要です。 トレーラーの重量は750kgを超えるため、基本的にこの免許がなければ運転することはできません。これからトレーラーのドライバーになろうと考えている方は、本記事の内容を参考に、免許取得を目指してください。

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