トレーラーの荷台寸法/全長/車両総重量/最大積載量/構造を解説

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トレーラーのサイズ・荷台寸法は、車両の種類によって異なります。規制緩和によって、全長や車両総重量の基準に変更があったことも知っておきましょう。今回は、トレーラーの荷台ごとの荷台寸法・サイズ、車両総重量、最大積載量、連結方法などを解説します。

トレーラーの荷台寸法・サイズ

トレーラーの代表的な種類は、一般的に広く流通しているセミトレーラーと、車体が大きなフルトレーラーの2つです。セミトレーラーは原則、連結したときの全長が16.5m以内に収まる必要があります。 フルトレーラーはこれよりも連結時の全長が長く、基本的には18mまでOKです。ここではポールトレーラーや大型トラックも含め、車両の寸法・サイズを紹介します。

セミトレーラーの寸法

物流で欠かせない存在と言えるセミトレーラーの寸法は、以下の通りです。

  • 連結全長16.5m以内
  • 全高3.8m以内
  • 全幅2.5m以内

連結全長に関しては特殊車両通行許可を取得すれば、最大で18mまで伸ばすことが可能です。一定の大きさや重さ、長さを超える車両を通行させる場合、道路法では道路管理者の許可を受けることを求めています。 また、バン型やタンク型など特例8車種に該当する車両は、連結ピンから車両最後端の距離が13m以下に定められています。

フルトレーラーの寸法

フルトレーラーの基本的な寸法は以下の通りです。

  • 連結全長25m以内
  • 全高3.8m以内
  • 全幅2.5m以内

従前までは全長規制の上限は21mでしたが、2019年に特殊車両の通行許可基準が改正されてからは25mが限度となりました。 25m車両とは、1台で通常の大型トラックの2倍の量を運べるダブル連結トラックを指しています。輸送効率の向上やドライバーの労働環境改善、二酸化炭素の減少といった観点で効果的なので注目を集めています。 参考:国土交通省|「トラック輸送の生産性革命「ダブル連結トラック」の本格導入を本日よりスタート~特殊車両通行許可基準の車両長を25mまで緩和します~」

ポールトレーラーの寸法

ポールトレーラーは積載物の長尺に合わせて、荷台の長さを変えられる構造を持つ車両です。鉄道車両やロケットなどの、長さがある貨物の運搬に適しています。 ポールトレーラーの寸法はフルトレーラーと同様で、連結全長は25mまで認められています。ただし、トレーラーが許可を得ずに走行できる長さは、一般道の場合12m、高速道路では16mまでです。 上記の基準を超えて貨物を積み込むときは、道路管理者に対して通行許可を申請する必要があります。

大型トラックの寸法

トレーラーを持たない大型トラックの寸法は以下の通りです。

  • 全長12m以内
  • 全高3.8m以内
  • 全幅2.5m以内

また道路交通法の規定で、車両総重量は11t以上、最大積載量は6.5t以上と定められています。例えば、8tトラックや10tトラックは上記の定義に該当します。 このように大型トラックとトレーラー類は長さが異なり、より長大なセミトレーラーやフルトレーラーは一度に運べる貨物量が多いことが特徴です。 参考:全日本トラック協会

トレーラーの規制緩和について

トレーラーの寸法に関しては規制緩和が行われたことで、従前に比べて、1台に積める貨物の量が増えました。 少ないドライバー数で効率的に業務を回せるようになったため、現場にメリットが大きい改正だといえます。主要な変更点は、連結したときの全長上限および車両総重量の上限が伸びたことです。

規制緩和の背景

規制緩和が行われた背景には、トレーラーの大型化による輸送効率の向上という目的があります。 近年は少子高齢化の影響でドライバー不足が深刻な事態となっており、省人化への対応は喫緊の課題です。また付随効果として、走行台数の減少による渋滞の緩和や、環境へ悪影響を及ぼす排出ガスの減少などのメリットもあります。 一方、高度経済成長の時代に建設された道路の多数が老朽化しています。劣化を悪化させないためには、大型車両の運行適正化を図っていくことも必要です。 重量を超過した大型車両の違法な走行は道路に著しい損傷を与えるため、悪質な違反者に対しては厳罰を科すことが求められます。 しかし、貨物輸送においては適正な利用者が大半を占めています。それらの事業者に対して、物流の効率化と国際競争力の確保を目的に「道路運送車両の保安基準」に改正が施されたのです。

全長に関する規制緩和

主要な改正点の一つが、トレーラーの全長に関する規制緩和です。まず特殊車両の通行許可を得たセミトレーラーの全長上限が、17mから18mへと緩和されました。 また従来までは、連結ピンから車両の最後部までの長さがトラック単体と同じく、一律で12mだったのですが、特例8車種に限り、全長13mまで認められています。 特例8車種は特殊な構造が備わり、貨物の落下の危険が低い車両です。海上コンテナ車やバン型などの種類に分かれます。

車両総重量に関する規制緩和

道路運送車両の保安基準では、トレーラーの車両総重量は最遠軸距に応じて限度が定められています。最遠軸距とは連結装置の中心から最後軸中心までの距離で、以前は20tから28tの範囲とされていました。 しかし、保安基準の改正によって、バン型等セミトレーラーをはじめ、特例8車種の車両総重量が一律で36tまで認められるに至っています。ただし、追加3種のあおり型、スタンション型、船底型の場合、積載物の落下を防ぐ一定の強度が求められます。

主要メーカーの規格

個別のトレーラーのスペックは製品によって異なるので、事前の確認が必要です。トレーラーを製造する主要メーカーには、日本トレクスや東邦車両があります。 ここでは、日本トレクスと東邦車両の主要モデルの寸法や特徴について解説します。紹介する製品は、日本トレクスのウイングセミトレーラーPFN24103、東邦車両の東邦DH20F8N2Sです。

日本トレクス

日本トレクスは、トレーラーの製造・販売で日本トップクラスのシェアを誇る輸送機器メーカー。トレーラーをはじめ、トラック、コンテナ、シェルターなどの製造販売を手掛けています。 主要モデルのウイングセミトレーラーPFN24103の基本的なスペックは、全長1290×全幅249×全高379(cm)です。 自衛隊で使用する水タンクトレーラーや、粉粒体運搬用セミトレーラーの製造も行っています。 参考:日本トレクス株式会社 HP

東邦車輛

東邦車両は、被けん引車や各種自動車用車体の設計開発、製造販売を行う輸送機器メーカーです。 トレーラー以外ではトラックやタンクローリー、バキュームカーなども扱っています。主要モデルの東邦DH20F8N2Sのスペックは、荷台長が8,720㎜、荷台幅が2,410㎜、内法高が2,355㎜、床面積が1,340㎜となっています。 連結全長は12m以下なので、通行認定を受けずともフリーで走行が可能です。前輪台車(ドリー)を連結させることで、フルトレーラーとしても活躍します。 参考:東邦車輛株式会社 HP

トレーラーの構造による違い

フルトレーラーとセミトレーラーの構造の違いについて、もう少し詳しく解説します。両者の違いは、連結に使用する部品や、荷台の有無です。 また、トレーラーを引っ張るトラクターも、車軸の数によって種類が分かれています。そのため、トレーラーを購入した後、必要な運搬量を確保するためには長さが足りないと気付くかもしれません。 トレーラーは、既存の車両長を変更することが可能です。ここではトレーラーの構造面の違いと、車両長の変更方法を解説します。

連結方法

セミトレーラーの連結にはカプラーやキングピンを使用し、フルトレーラーはピントルフックとルネットアイを使います。円盤状のカプラーはV字に切り込みが入り、ピンをスムーズに差し込むことが可能です。 使用するのは2つの部品のみですが、重量物の運搬にも耐えうる強固な耐久性を備えています。カプラーは軸の数によって種類が分かれ、一軸タイプは衝撃緩和性が高いことが特徴です。二軸カプラーは前後以外に、左右の制御も可能なため悪路の走行にも向いています。 ドリー式フルトレーラーはトラクター後方のピントルフックと、ドリー先端のルネットアイをつなぐことで連結します。

車軸の数

トレーラー(荷台部)をけん引するトラクターは、後輪が一軸と二軸のタイプに分かれる点が特徴です。 一軸タイプは走行性能に優れ、被けん引車両をつなげた状態でもスピーディーに走ることができます。二軸タイプは軸が多い分、しっかりとふんばりが利くため、重量物の運搬に適しているでしょう。 一般的に、長距離輸送を伴う場合は一軸トラクターが、砂利や産業廃棄物などの重量物の運搬では二軸トラクターが使用されます。

荷台の有無

フルトレーラーはトラクターに荷台があり、セミトレーラーはないと考えてください。トラクター自体に荷台が備わっていれば、トレーラーと切り離した状態でも貨物の運搬が可能です。 使わないときは連結を解除したトレーラーを荷台に乗せて運んでも良いので、臨機応変に対応できるというメリットがあります。 荷台がないと上記のようにはいかないため、回送中もトレーラーをつなげて走行する必要があるでしょう。 積載性の観点では荷台ありタイプの方が優れていますが、運転では注意が必要です。カーブで曲がる際にトレーラーの全部が回り切れず、道からはみ出たり障害物とぶつかったりする危険があるためです。

車両長の変更

トレーラーはより長い荷物を運搬するために、法令で定められた上限の範囲内で車両長を変えられます。 ただし、車両長の変更が可能なのは、以下に挙げた特例8車種に該当する場合のみです。

  • バン型
  • タンク型
  • 幌枠型
  • コンテナ用
  • 自動車運搬用
  • あおり型
  • スタンション型
  • 船底型

自社にあるトレーラーが特例8車種に該当するか分からない場合は、購入したメーカーに問い合わせれば教えてもらえるでしょう。 トラクターの場合、車両長の変更が可能かどうかのリストを作っています。トレーラーは受注生産が主流なので、いずれにせよメーカーに確認した方が早く答えが分かるでしょう。 該当しているなら、メーカーから証明書を出してもらえるので、それで手続きを進めます。手続きでは構造変更届という書類を、自動車技術総合機構(NALTEC)に提出します。 審査を通して適合していると認められれば、運輸支局から新たな車両の車検証を受け取ることが可能です。審査期間は届出が受理されてから15日以内となっています。 車両長の変更によって積載量が増えるのは嬉しいところですが、場合によってはタイヤやカプラーの交換が必要になることに注意しましょう。

トレーラーの種類に応じて寸法は異なる

トレーラーの種類に応じて、連結時の全長上限が異なります。セミトレーラーは最大で18mですが、フルトレーラーは25mまで延長することが可能です。 ただし、上限が認められるためには、特殊車両通行許可の申請が必要になるので注意しましょう。また、バン型や海上コンテナ用などの特例8車種に該当する場合、長さや車両総重量で特例的な措置が存在します。 まずはトレーラーの寸法や規制の内容を把握した上で、事業に必要な車両の種類を見極めましょう。購入車両で失敗しても、車両長の変更手続きを活用すればリカバリーできます。

 

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