軽貨物ドライバーと聞くと、収入面での安定性に不安を覚える方もいるかもしれません。
しかし、社員や業務委託などの働き方によって手取り額が変わってくるため、働き方を工夫すれば高収入を目指すことは可能です。
そこで今回は、軽貨物ドライバーの手取り相場や経費・税金・保険の内訳、軽貨物ドライバーになるメリットなどについて解説します。
あわせて、軽貨物ドライバーで収入を増やす方法についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
軽貨物ドライバーの手取りの仕組み
軽貨物ドライバーの手取りの仕組みは、社員として働くか、業務委託かによって異なります。
それぞれのケースにおける手取りの仕組みをみていきましょう。
社員として働く場合
社員として軽貨物ドライバーに従事する場合、手取りは一般的に「給与-控除額」で計算されます。
給与の内訳は基本給と手当に分けられます。
基本給:給与ベースとなる賃金
手当:時間外・皆勤・役職など
手当については多くの場合、残業代などの時間外手当が支給されます。また、会社によっては資格手当・皆勤手当・役職手当などが支給されるケースもあるでしょう。
控除額の主な内容は以下のとおりです。
・社会保険
・所得税
・住民税
上記以外にも、会社によっては介護保険・厚生年金・雇用保険などが差し引かれるケースもあります。
社員として勤務すると、上記のように基本給と手当を合算した金額から控除分を差し引いた残りの金額が毎月支給され、安定した収入を得ることが可能です。
業務委託の場合
軽貨物ドライバーに従事する場合、社員として働く以外にも、業務委託として軽貨物ドライバーの仕事を請け負うことも可能です。
具体的には、ドライバーの仕事を斡旋してくれる業者に登録して、仕事を請け負うことになります。
業務委託で軽貨物ドライバーに従事すると、社員として勤務する場合とは異なり、基本給も控除もありません。一般的な手取りは、売上から手数料と必要経費を差し引いた残りです。
手数料はロイヤリティーとも呼ばれ、業務委託会社に支払う金額のことで15〜20%または月5,000〜20,000円程度が相場とされています。
さらに、ガソリン・タイヤ交換といった車両にかかる費用やメンテナンス費用も自己負担です。これらは必要経費として計上され、売上から差し引いて考えなければなりません。
軽貨物ドライバーの手取り相場
軽貨物ドライバーの手取り相場について、社員と業務委託それぞれのケースで解説します。
社員の場合の手取りは、「(基本給+各種手当)-各種控除額」から計算され、25万〜45万円程度が相場です。下限と上限に20万円ほどの差があるのは、残業の多さや役職手当が支給されるケースもあるためです。また、経験や年齢などが支給額に反映されるケースも多くあります。会社にもよりますが、長期間軽貨物ドライバーとして勤務していれば、手取りが増える可能性があるでしょう。
一方、業務委託の場合、手取りは「売上-(手数料+必要経費)」で計算され、20万〜50万円程度が相場です。所属する委託業者によって、受注件数や手数料が変わってきます。
軽貨物ドライバーの経費・税金・保険の内訳
先述したとおり、軽貨物ドライバーの手取りは、基本給・手当・売上などから各控除額を差し引いたもので計算されます。では、各控除額にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、必要経費・税金・保険代それぞれの内訳について解説します。
軽貨物ドライバーの必要経費
軽貨物ドライバーの必要経費としては、以下の項目が挙げられます。
・ガソリン代
・オイル・タイヤ交換代
・自動車保険
・車検代
・駐車場代
・備品・事務用品代
上記以外に電話・通信費代や、個人事務所を構えている場合は水道・光熱費なども必要経費として計上できます。
それぞれの金額については契約している車の整備会社などによるため、一概には言えません。また、仕事の受注量や事業としての規模にも大きく左右されます。
特にドライバーにとって、ガソリン代は大きな経費となります。
インボイス制度に対応していないと、消費税の仕入税額控除を受けられず、大きな損失につながる可能性もありますので注意が必要です。
参考:インボイス対応のガソリン代の請求書の書き方|記入項目やレシートの取り扱いについて解説。
なお、これらの必要経費が発生するのは、業務委託として軽貨物ドライバーに従事している場合です。社員として勤務している場合はすべて会社が負担してくれることが一般的のため、考慮する必要はありません。
軽貨物ドライバーにかかる税金
税金については、社員・業務委託のいずれも支払う義務があります。主な税金の種類は以下のとおりです。
・所得税
・住民税
社員の場合は会社が天引きしてくれるため、自分で計算する必要はありません。
一方で、業務委託の場合は、確定申告を行って自分で支払う必要があります。これらの税金は売上から必要経費を差し引いた分で計算され、一律ではありません。経費の計上漏れがあると、税金が高くなるおそれがあるため注意してください。事業規模などによっては支払金額を抑えられる可能性があるため、節税対策も考えておきましょう。
軽貨物ドライバーの保険代
保険代については、社員と業務委託で内訳が異なります。社員の場合に必要な保険は以下のとおりです。
・健康保険
・雇用保険
・厚生年金保険
・介護保険
・労災保険
家族形態や収入などによって保険料は変動します。また、会社が毎月計算して控除してくれるため、自分で計算したり納めたりする必要はありません。
一方、業務委託の場合に必要な保険は以下のとおりです。
・国民保険
・国民年金
上記は必要最小限の保険で、貨物保険や国民年金基金などの任意で加入する保険もあります。
軽貨物ドライバーになるメリット
軽貨物ドライバーになることにはいくつかのメリットがあります。
具体的にどのようなメリットがあるのか確認していきましょう。
職歴や学歴は関係ない
職種によっては、一定の学歴がなければ就職・転職が難しい場合があります。また、ある程度の経験・知識があることを条件としている企業もあるでしょう。
軽貨物ドライバーの場合、学歴・職歴は基本的に不問です。実際に仕事に従事しながら覚えていくことが多いため、未経験であっても基本的なコミュニケーションが取れていれば問題ありません。
なかには、中卒であっても雇用してくれるところもあるでしょう。真面目で丁寧な仕事をしていれば、多くの部下を従える上司として活躍する道もみえてきます。
ただし、ドライバーという職業柄、運転免許証の取得と運転技術は重視されるため注意してください。
ルールを守ればどのような働き方をしても良い
軽貨物ドライバーは、業務委託で従事するケースが多くみられます。運送会社に雇用される形でなければ、勤務時間や勤務日数などは自分で自由に設定することが可能です。
たとえば、自宅で介護や育児などをしている場合、会社の規定に従って勤務する必要がある正社員としての働き方が難しいケースもあるでしょう。その点、業務委託の軽貨物ドライバーであれば、契約を結ぶうえでのルールさえ守れば、ケースバイケースでの働き方が可能です。また、契約する前に状況を説明しておけば、融通を利かせてくれる契約先もあるかもしれません。
軽貨物ドライバーは、さまざまな理由から会社のルール・就業規則に則った働き方が困難な方にもおすすめの職種です。
女性やシニア層もチャレンジしやすい
軽貨物ドライバーは、小型貨物を取り扱うことがほとんどです。そのため、女性やシニア層でもチャレンジしやすい仕事といえるでしょう。
「ドライバー」という響きから肉体労働をイメージする方もいるかもしれませんが、実際には日用雑貨のような小さな荷物の輸送・搬入が多いため、力仕事に自信のない方でも働きやすい職種です。
また、近年では労働者不足や働き方の見直しなどの理由から、仕事環境に配慮した企業も増えており、性別・年齢を問わない仕事へと変化しています。
軽貨物ドライバーになる際の注意点
仕事環境の整備などが進んでいる現状から、軽貨物ドライバーはメリットの多い職種ですが、注意点もいくつかあります。
ここでは、軽貨物ドライバーになる際の注意点について確認していきましょう。
安定した収入を得るのが難しいケースがある
先述のとおり、軽貨物ドライバーは個人事業主として業務委託で働くケースが大半です。社員の場合、出社すれば給与が支給されますが、業務委託の場合は自分で営業を行い、仕事を確保しなければなりません。
また、契約を締結できても利益を出すためにはさまざまな努力が必要です。契約先の経営状況から、突然契約が打ち切られることもあるでしょう。
このように、業務委託で働く場合は社員とは違い、安定した収入を得ることが困難な状況もある点には注意が必要です。
体力面できついことがある
軽貨物ドライバーは、大型トラックドライバーとは異なり小型貨物を多く取り扱うため、腕力を必要とする場面はそれほどありません。
しかしその一方で、多くの収入を得るためには可能な限り多数の配送先へ荷物を届ける必要があります。場合によっては、早朝から夜中まで配送作業に追われることもあるでしょう。
また、軽貨物ドライバーの仕事は屋外での作業がほとんどで、天候や気温に関係なく働かなければなりません。オフィス勤務のように冷暖房設備の整った環境ではないことから、体力面できついと感じる可能性もあるでしょう。
軽貨物ドライバーで年収1,000万円の高収入を目指すことは可能?
結論からいうと、軽貨物ドライバーで年収1,000万円を目指すことは可能です。実際にフリーランスで軽貨物ドライバーに従事している人のなかには、月収100万円を超えている人もいます。
ただし、高収入を得るには多大な努力・工夫が必要です。単純計算で1個200円の契約を結んだ場合、1日250個を配送すれば稼働日数25日間で月収100万円を超えます。
しかし、1日250個という数字は、軽貨物ドライバーが1日に配送できる最大個数といわれています。また、1個200円の契約は好条件のため、そのような企業がすぐに見つかるとは限りません。
年収1,000万円を目指すことは不可能ではないですが、実際にはかなりハードルが高いと考えておきましょう。
軽貨物ドライバーで手取りを増やすための方法
軽貨物ドライバーで年収1,000万円を得ることが難しくとも、少しの工夫により年収アップは可能です。
ここでは、軽貨物ドライバーが年収アップを目指す方法について解説します。
1日の配送量を効率的に増やす
効率的に配送し、1日分の配送量を増やすことで収入アップを目指せます。配送量を増やす主な方法は以下のとおりです。
・配達先や配達経路を考えて荷物を積む
・配達経路の交通事情を把握する
・宅配ボックスの有無などを覚えておく
・ラベルはがしの時短
まずは、その日の配達先や配達経路を考え、順番が早い荷物を扉に近いところに置くといった方法が効果的です。配達スタート時に少しでも早く荷物を運びだせる体制を整えておきましょう。
あわせて、配達経路の交通事情も把握しておき、渋滞する時間や抜け道なども調べておくことが大切です。
ほかにも、宅配ボックスがある家や、不在がちで再配達が必要な家なども覚えておくと、無駄な時間を使わずに効率良く配達できるでしょう。
また細かい工夫ですが、先に荷物のラベルを少しだけはがしておくなど、少しでも時間短縮につながる方法も積極的に取り入れてみることが大切です。
必要経費を節約する
必要経費を節約することも、収入をアップさせる効果的な方法です。具体的には以下のような費用を節約・削減できないか見直してみてください。
・保険料
・ガソリン代
・高速道路料金
ここでの保険料とは、自賠責・任意・貨物保険のことです。これらは契約する保険会社やプランによって、支払金額に差が出ます。複数の保険会社に相談し、さまざまなプランの見積もりを取り寄せることで節約につながるでしょう。
ガソリン代については、燃費の良い車両を使用したり、1リットル分の料金が安いガソリンスタンドを選んだりすれば抑えられます。また、支払方法によってお得になるサービスを展開しているガソリンスタンドもあります。
高速道路料金については、できる限り高速道路を使わないようにすることで削減可能です。さまざまな裏道を把握して配送する努力をしましょう。
条件や待遇が良い会社と業務委託契約をする
貨物1個の単価が高いなど、条件・待遇が良い会社と契約すれば、毎月の手取り額は一気に増加するでしょう。また、余った時間を利用して他社と配送契約を結ぶことでも収入アップを目指せます。
しかし、条件や待遇が良い会社はなかなか空きができず、契約を結ぶことが難しいのが現状です。好条件・好待遇の会社と巡りあうためには、普段からアンテナを張り巡らせた情報収集が欠かせません。
多くの軽貨物ドライバーから人気の高い会社は評判が良く、噂になりやすいという特徴があります。好条件で契約が結べる会社と出会えるよう、さまざまなドライバーと情報を交換しておきましょう。
軽貨物ドライバーは働き方次第で収入を増やせる
多くの軽貨物ドライバーは業務委託で事業を行っています。そのため、本人の努力や働き方次第で、収入を増やせる仕事といえるでしょう。
一方で、景気に左右されやすいなどの理由から、軽貨物ドライバーは収入が安定しにくい職種でもあります。月によって収入が大きく変動するケースも少なくありません。本記事を参考に、作業効率を上げたり条件が良い会社を選んだりして、手取り額を増やす工夫を行いましょう。
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