社用車の運行管理でGPSの活用を検討される会社が多いですが、本当に必要なのか疑問に思う方もいると思います。
そこで今回は、GPS付きの運行管理システムについて、導入のメリット・デメリット、注意点を解説します。運行管理システムの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
運行管理システムでGPSをどのように活用している?
社用車の管理にGPS付きの運行管理システムを活用することで、社用車の運用や管理の効率化を図ることができます。GPS付きの運行管理システムでは、社用車に付けたGPSデバイスやドライバーのスマホから、現在地などのデータを収集することが可能です。
自動車を使用する企業にとっては、交通事故や車両トラブルを起こさないように管理していても、ゼロに抑えるのは難しいです。しかし、もしトラブルが発生したときにGPSで位置情報がわかれば、すぐに対応できます。
さらに、運行ルートの分析を行うことで、業務効率の改善やコスト削減につなげることも可能です。
GPSを搭載した運行管理システムの主要機能
GPS付きの運行管理システムは、車両の現在地を確認すること以外の機能も備えています。ここでは、主要な4つの機能を紹介します。
GPSによる位置情報の把握機能
代表的なGPSの機能は、位置情報の把握です。GPSを活用することで、リアルタイムで位置情報の把握ができ、到着予定時間の把握や配送途中でのルートの再構築などに役立ちます。
業務で車両を使用する上では、渋滞や交通事故などのさまざまな影響を受けることで、到着時間の変動が起こりやすいため、到着時間の管理は非常に重要です。
例えば、GPSで位置情報を把握することで、計画通りに運行が行われているかを確認できます。現在の走行位置からでは時間通りに到着できそうにない場合に、配送順の変更や取引先への連絡ができます。また、渋滞の影響でどれくらい遅延しそうかを把握したり、不自然な場所で停止している際には事故の可能性を考えることができます。
危険運転の把握・分析機能
GPS機能付きの管理システムを導入することで、危険運転の把握や予防にもつながります。交通事故を未然に防ぐためには、危険運転の把握と対策が必要です。社用車の運行では、同じ車を複数人で運転する場合がよくありますが、GPS機能があることでドライバーそれぞれの乗車データの管理が行いやすくなります。
GPS機能で入手したデータは、運転技術や傾向を把握するために有効です。
また、GPSは位置情報だけでなく、速度情報も確認できます。そのため、急ブレーキや急発進などの危険運転情報を記録してくれるものや、自動でヒヤリハットマップを作成できるシステムもあります。
運行日報の自動作成機能
GPS機能付きの運行管理システムには、社用車の走行場所を自動的に記録してくれる機能もあります。日報作成には時間と手間がかかり、記入や管理に時間的コストが割かれてしまうこともあるでしょう。GPSを活用したシステムを活用することで、日報の自動入力ができるため、記録や管理などの業務効率化が可能です。
日報作成という事務作業を減らし、運行業務に時間を充てられることで、ドライバーのモチベーションを向上させることができるでしょう。また、労働時間の短縮も期待できるため、働き方の改善やコスト削減にもつながります。
到着予想時間の共有機能
運行管理システムにGPS機能があることで、その日の運行ルートと現在の状況をもとに、自動で到着時間を予測して共有することが可能です。予想時間が共有しやすくなることで、社内外問わず関係者と連携が取りやすくなるメリットがあります。
取引先や訪問先にデータで共有することで信頼感が得られるだけでなく、到着時間や現在地の確認などの問い合わせも減らせるため、業務効率の改善が期待できるでしょう。URLを共有して随時最新情報が更新されていく状態にしておけば、常にリアルタイムで情報を共有することも可能です。
GPSを使った運行管理システムを導入する4つのメリット
ここまでは主な機能を紹介しましたが、GPS付きの運行管理システムを導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを4つ紹介します。
安全性の向上になる
自動車を使用した業務には、何よりも安全性が求められます。運転技術や傾向は人によって差が出やすいため、運行管理システムで把握・管理できることは大きなメリットです。
GPSからは急停止や急発進、速度などのデータが取得できるため、安全運転の分析ができます。個々のドライバーの状況が確認できるため、それぞれの運転に応じた指導や教育が可能です。運転状況が可視化されることで、普段の運転から安全性への意識向上につながります。
コスト削減や事故の防止になる
GPS付きのシステムを導入することで、時間コストの削減や生産性の向上が見込めます。
例えば、土地勘のない場所での走行や新人ドライバーの運行では、的確なルート指示をしなければ生産性が下がってしまいますが、GPS付きシステムで走行位置と道路状況を把握することで、リアルタイムで最適なルートを指示できます。
また、状況に合わせて無駄のないルートに調整できるため、ガソリンや走行時間の節約も可能です。さらに、安全運転が推進できれば事故やトラブルを未然に防ぎ、修理代や保険料などのコストを抑えることも可能となります。
取引先に位置情報を共有できる
取引先や関係者から、到着時刻について確認の電話がかかってくることは多いです。
GPSで位置情報や到着予想時間が把握できるシステムを使用していれば、即座に正確な時間を伝えられます。また、システム上でのデータや地図共有機能を使えば、リアルタイムで位置情報と到着予想時間の共有も可能です。
取引先に安心感を与えられるだけでなく、問い合わせへの対応時間も短縮できるため、業務効率の改善にもつながります。
渋滞の回避になる
リアルタイムで位置情報を把握できれば、渋滞状況に対応し、混雑している道路を避けることができます。
時間通りの到着が求められる取引先への訪問時に、渋滞にハマってしまうことは極力避けたいものです。
GPSを活用したシステムでリアルタイムでの情報が把握できれば、事故情報や渋滞情報を考慮したルート設定を再構築し、ドライバーへ連携することが可能です。付近の交通状況に合わせて柔軟にルートを変更することで、時間に余裕を持った運行ができます。
GPSを使った運行管理システムを導入する3つのデメリット
社用車にGPSを使った運行管理システムを導入するメリットを解説しましたが、デメリットもいくつかあります。代表的なデメリットを3つ紹介します。
位置情報の把握に抵抗を持たれることがある
GPSで自分の行動を把握されることを嫌うドライバーも一定数いるため、導入に反対される可能性もあるでしょう。
ドライバーによっては位置情報を共有することで、監視されている感覚やプライバシーの侵害を受けていると感じてしまう方もいます。特に、携帯電話連動のGPSの場合で、社用携帯を付与しておらず、ドライバー個人の携帯電話を業務に使用している会社などでは、通信料の負担の問題や、休日の行動も監視されている、といった不安を与えてしまいます。十分な説明なしで導入すると、従業員からの信頼を失う可能性もあるため、適切なコミュニケーションと説明が必要です。
ドライバーに対して「業務が楽になる」「会社のコスト削減のため」などの理由を説明し、抵抗感を減らす努力をして、理解してもらうことが大切です。
機器の管理に手間がかかる
GPSや通信機器を取り付ける必要があるため、継続的に使用するためにはメンテナンスが必要になります。
また、故障した際には修理したり、定期的なアップデートが必要になったりすることもあります。このように維持コストもかかるため、事前に導入後の保守、運用のシミュレーションをしておくことが大切です。
機器導入に一定のコストがかかる
GPSデバイスの導入には、初期費用が必要です。企業によっては初期コストがネックとなり、導入を躊躇しているケースもあります。
ただし、運行管理システムを提供する会社によっては、買い切り型だけでなくリースやサブスクリプションの料金形態を用意している場合もあります。そのため、自社の予算や、導入後にどの程度の期間で利用するかなどを考慮することが大切です。また、買い切り型の場合は、定期的なバージョンアップや、違う企業のシステムに乗り換える場合は再び費用が発生するため、将来的な事業規模なども予測し、使用する期間もシミュレーションしておくことが重要となります。
費用対効果のバランスや、長期目線で自社が必要とする機能があるかやコストが最適であるかを、客観的に判断しましょう。
GPSを使った運行管理システムを導入する際の注意点
運行管理システムを選定するときには、いくつか注意すべきポイントがあります。以下では代表的な注意点を5つ紹介します。
ベンダーロックインが生じる可能性があることを事前に把握しておく
ベンダーロックインとは、会社のシステム運用において、特定のベンダーに依存してほかのシステムやベンダーへの乗り換えが難しい状態になることです。
運行管理システムは、ベンダーが提供するデバイスやマップデータを使用する必要があるため、ベンダーロックインが生じやすくなります。システムを運用するためには、すべての車両にデバイスを設置して整備する必要があるため、入れ替えをするのも大変です。
特に多くの車両を保有する会社の場合は、簡単にはシステムの入れ替えができないことを理解した上で、長期的に使用できるかどうかを判断する必要があります。
システム導入の目的を明確にしておく
システムの導入を決める前に、導入目的を明確にしておきましょう。
GPS付きの運行管理システムは、車両の走行位置把握によるリスク回避やドライバーの負担軽減など、さまざまな目的で導入されています。目的によって選ぶべきシステムも変わりますし、導入後に目的が達成されているかどうかの確認も必要となります。
そのため、システム導入でどのような効果を求めるのかを、事前に考えておくことが大切です。
費用対効果を考慮してシステムを選ぶ
運行管理システムを導入する際には、さまざまなコストがかかります。
例えば、初期の導入費用や端末の費用、維持費用もかかってきます。このようなコストと、導入により得られる効率化や事故防止の効果などを考慮し、費用対効果の高いシステムを導入することが重要です。
ただし、会社によって料金形態が異なるため、月ベースでのシミュレーションと長期的なシミュレーションを行い、それぞれで問題がないか確認して検討しましょう。
プライバシーの侵害に注意する
ドライバーの中には、GPSでの位置情報管理をマイナスに捉える方もいます。
社用車で直行直帰の場合や一部の私的利用を認めている場合もありますが、業務外の行動把握や監視目的でGPSを使ってしまうとプライバシーの侵害にあたる可能性があるため注意が必要です。必要以上の監視によって会社への信頼を損なってしまったり、トラブルになってしまったりすることも考えられます。
プライバシー関係で問題にならないように、管理者は適切な管理体制やルールを整えておく必要があります。
労働時間の適切な管理の実施
出先で退勤した場合など、勤務時間外に位置情報が共有されるケースでは、労働時間の範囲を事前に明確にしておく必要があります。GPSで位置情報が把握されている時間が労働時間にあたるのかどうか、後で問題に発展しないように注意しましょう。
また、必要に応じてGPSと連動して出勤管理ができるシステムの導入も検討してみてください。そうすることで、不正出退勤を防ぐことや必要時以外のGPS機能の停止が行いやすくなります。
GPSを使った運行管理システムは車両の安全な運行に必要
GPS機器は一部の取り扱いに注意が必要なものの、活用できれば非常にメリットの大きいツールです。
GPS付きの運行管理システムを導入することで、業務効率化やリスクの回避ができるため、導入を検討する会社が増えています。メリットやデメリットを考慮した上で、自社に合ったシステムを選びましょう。
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