活躍している女性ドライバーはどれくらいいる?一日の流れも紹介

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近年、タクシーやバス、配達業などでドライバー不足が続いており、深刻な問題となっています。

ドライバー不足を解決するべく、業界全体で女性ドライバーを積極的に採用しようという動きが盛んになってきました。女性が働きやすい環境を整えられ、女性ドライバーの数が増えれば業界や企業、そして働きたいと思う女性にとってもメリットがあるでしょう。

そこで今回は、実際に活躍している女性ドライバーの実態や、女性がドライバーとして働きやすい職場について解説していきます。

活躍している女性ドライバーはどれくらいいる?


タクシーやトラック運転手、配達員など、ドライバーを職業として従事している女性は少ないイメージがありますが、具体的にどの程度の割合の女性がドライバーとして働いているのでしょうか。

全国タクシー・ハイヤー連合会のデータによると、2023年度の全国の女性乗務員の数は9,673人で、女性の構成比率はわずか4.2%でした。

参考:令和5年女性乗務員採用状況調査結果

また、2023年の総務省労働力調査のデータでは、道路貨物運送業で働く女性の割合は就業者全体で20.4%、なかでも輸送・機械運転従事者に絞ると、わずか3.5%でした。

参考:日本のトラック輸送産業 現状と課題 2023

タクシー業界、運送業界のいずれも女性ドライバーの割合は4%程度と、かなり少ないことがわかります。

少子高齢化が進み、ドライバー不足が年々深刻化するなか、各業界では女性ドライバーを増やすべく、さまざまな活動を行っています。

たとえば、女性ドライバーの中でも特にトラックドライバーの雇用促進のために国が始めた施策が「トラガール促進プロジェクト」です。2014年に国土交通省が実施し、認知度の低い女性トラックドライバーの情報を、Webサイトを通じて発信しています。さまざまな企業への働きかけや、メディアへの露出を通じて、女性ドライバーが増えるきっかけになりました。

このように、女性ドライバーの雇用促進に向け、各業界ではさまざまな取り組みが進められています。

女性ドライバーが活躍している職場


では、実際に女性ドライバーはどのような職場で活躍しているのでしょうか。ドライバーとして働ける業界には、タクシーやバス、トラック、運送業界などさまざまな選択肢があります。

それぞれの業界について解説します。

トラック業界

トラック業界では、女性ドライバーが増える先駆けとなった「トラガール促進プロジェクト」を掲げて、積極的に女性ドライバーの採用に力を入れています。

男性が多い職場の中で、女性ならではの目線や作業内容が取引先からの評判が良いとして、前向きに採用を検討している企業が増えている傾向です。また、YouTubeなどの動画サイトでは、トラガールとして活躍する女性の動画が、多くあげられており、人気を集めている方もいます。

加えて、官民連携による取り組みを強化したことで注目が集まり、女性ドライバーに興味を持った方やドライバーを目指す女性の増加につながりました。

タクシー業界

タクシー業界では、女性ドライバーに対するお客様の満足度が高いことから、女性のタクシードライバーの需要は高まっています。

とくに乗客が女性の場合、同性のほうが安心できる方が多く、女性ならではの細やかなサービスなどが、高い評価につながっています。

また日本では、コロナ禍以降の急激なインバウンド需要の復活により、タクシー業界でもドライバー不足が深刻化しているのが実情です。

業界全体としてドライバーを確保しなければいけない中で、女性ドライバーの活躍は不可欠とも言えるでしょう。

バス業界

バス業界で活躍する女性ドライバーも存在しますが、タクシーやトラック業界と比較するとかなり少ないというのが現状です。

2021年度の「交通政策白書」(国土交通省)によると、女性のバス運転手の割合はわずか1.8%(2017年度)でした。

参考:国土交通省「交通政策白書」

女性にはハードルが高く感じられるバス運転手の仕事ですが、路線バスなどは走るルートが決まっており、残業が少ない傾向にあります。そのため、家事や育児と両立して仕事がしやすい環境だとも言えるでしょう。

近年バス業界でもドライバー不足が深刻化しており、女性の活躍が業界における人材不足解決のキーになると考えられています。

そのため、2017年に女性バス運転手の採用活性化や職場環境の改善などを目的として「女性バス運転手協会」が立ちあがるなど、女性のバスドライバーを増やすためにさまざまな施策を行っています。

宅配・配送業界

宅配業界でも近年、女性の割合が増えつつあります。とくに軽貨物ドライバーとして近距離をメインに働く場合、個人事業主として開業すれば時間の融通がつきやすく、プライベートの時間を確保しながらでも働きやすいです。

また、女性の配達員の場合、荷物の受け取りに不安を感じている一人暮らしの女性などにも安心感があり、荷物の丁寧な取り扱いなどで評判が高いことから、企業側のニーズも高まっています。

宅配業界でもドライバー不足が深刻化しているため、企業側でも新しい昇進制度の整備や物流センターに保育園を併設するなど、女性が働きやすい環境を整えてモチベーションを高めてもらう工夫を行っています。

女性ドライバーになるために必要な資格


女性ドライバーになるためには、どのような資格が必要になるのでしょうか。車両の免許の種類を含め、女性ドライバーになるために保有したい資格、そしてキャリアアップのために目指せる資格などについて解説します。

トラックドライバー

トラックを運転するために必須となる資格が、普通自動車免許です。普通自動車免許では、免許を取得した年月日によって運転できるトラックの種類が異なります。

以下の表は、普通自動車免許で乗車可能な車両区分を、取得年月日別にまとめたものです。


出典:免許の種類と運転可能な車両区分 | 全日本トラック協会

上記のように取得した時期によって運転可能な車両の条件が大きく異なるため、自身がいつ免許を取得したのか事前に確認しておきましょう。

また、ステップアップを目指す方は、中型自動車運転免許や、大型自動車運転免許の取得も目指してみるのがおすすめです。とくに大型自動車運転免許を持っていれば仕事の幅が広がり、年収アップも期待できます。

いきなり大型免許を目指すのが不安な場合は、まずは中型自動車免許を取得してから大型の取得を目指すのも良いでしょう。

タクシードライバー

タクシードライバーとして働くには、普通自動車免許に加えて第二種免許が必要です。第二種免許は、タクシーやハイヤー、運転代行、介護送迎車やシャトルバスなど、旅客運送のために必要な免許になります。

第二種免許の取得には以下の条件が必要です。

・21歳以上
・普通免許、大型特殊免許、準中型免許、中型免許、大型免許を取得して通算3年以上の免許経歴がある
・19歳以上で普通免許等を1年以上保有し受験資格特例教習を修了した人
・両眼で0.8以上かつ一眼の視力がそれぞれ0.5以上
など

また、東京都、神奈川県、大阪府のうち、一部の地域では「地理試験」の合格が必要なケースもあります。

地理試験では、営業エリア内にある道路や交差点の名称、有名な建物の所在地といった知識が必要です。また、目的地までの最短ルートや所要時間なども把握しなければなりません。

バスドライバー

バスを運転するには「大型自動車二種免許」が必要です。

大型自動車二種免許は、路線バス・長距離バスや観光バスなど旅客運送用で、車両総重量11t以上、乗車定員30人以上、最大積載量6.5トン以上の車両(バス)を運転する場合に必要となります。

先述した普通自動車第二種免許と同じく、普通、中型、大型、大型特殊のいずれかの自動車の第一種免許を取得しており、満21歳以上かつ運転経験が3年以上などの条件があるため注意が必要です。

また、他に所持している免許により、教習の受講時間が変わったり、学科試験が免除になったりなど条件が異なります。

バスを安全かつ正確に運転する技術が必要とされるので、他の自動車免許より難易度が高い点に注意が必要です。

宅配・配送ドライバー

配送・宅配・配達などの仕事を行うドライバーは、お客様を乗せて運転はしないため二種免許は必要ありません。普通自動車運転免許のみで営業できます。

しかし、商品の輸送をトラックなど中型・大型車両で行う場合には、そのトラックの積載量に沿って免許を取得する必要があります。

さらに、積み下ろしなどを行う場合にはフォークリフト運転技能者、正社員となって営業所などでステップアップを考えている場合は、運行管理者などの取得もおすすめです

自分の思い描くキャリアや働き方に沿った資格を取得しましょう。

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女性ドライバーが働きやすい職場の選び方


女性ドライバーが働きやすい環境は整ってきたとはいえ、まだまだ働きづらい職場も存在します。

ここでは、女性が働きやすい職場かどうかを確認するために、職場の選び方のポイントについて解説します。

労働環境が整っているか

女性が働ける労働環境が整っているかどうかは、必ず確認しておきたい重要なポイントです。

今まで長く男性社会だった運送業界では、事務所のロッカールームやトイレなども男女共用のケースがあります。しかし、企業側も女性に働いてもらうために、女性用の更衣室をつくるなど環境を改善させているところも増えています。

もし先輩に女性ドライバーがいれば、どのような環境なのか確認してみるのも良いでしょう。

長く働いていくためにも、事前に見学したり話を聞いたりとリサーチしておくことが大切です。

すでに女性ドライバーが活躍しているか

すでに女性ドライバーが在籍していて活躍している会社は、女性が働ける環境が整っている可能性が高いです。女性の先輩が多い職場であれば、さまざまな相談もしやすいでしょう。

また、時短勤務が可能かなども事前にチェックしておきたい項目です。大きな会社であれば、社内や近くに提携している託児所が整備されている場合もあるので、希望する場合は確認しておきましょう。

休暇の取得がしやすいか

子育て中の女性の場合は、子どもの学校の行事や急な病気で休みの取得が必要なことがあります。また、親の介護をしている方は、介護を理由に休まなければならないケースもあるでしょう。

さまざまな事情で休暇を取得する必要がある方は、休暇の希望が通りやすい職場を選ぶことが大切です。

自分のライフスタイルにあった職場がなかなか見つけられない場合は、派遣会社に登録するか、転職エージェントを利用するなど、条件にあった職場を探してもらえるサービスを利用するのもおすすめです。

トラックドライバー・宅配ドライバーの一日の仕事の流れを紹介


ドライバーの仕事は、具体的にどのような内容なのでしょうか。ここでは、ドライバーの一日の流れをご紹介していきます。

小型・中型トラックドライバーの一日の流れ

小型・中型トラックドライバーは、主に近~中距離配送を担います。そのため、毎回事業所や集荷先に戻るのではなく、荷物を積み込んだあとは複数の配達先へ向かったり、配送先を往復したりするケースも多いです。

企業によって細かい流れは異なりますが、小型・中型トラックドライバーの一日の流れを参考までにご紹介します。

宅配ドライバーの一日の流れ

宅配ドライバーには集荷担当と配達担当がいますが、ここでは配達担当のケースをご紹介します。通販の普及により個人宅へ軽貨物を配達するドライバーが増えており、女性ドライバーも多く活躍しています。

大型トラックドライバーの一日の流れ

大型トラックドライバーは長距離の配送がメインとなり、数日単位で出張することも多いです。なかには、製造工場間や工事現場などの間を一日の間で何往復かするような業務もあります。

たいていの場合は朝・昼間、運転しやすい時間帯に運転し、夜になると視界が悪く疲れもあるため、しっかりと休む流れが一般的です。

長距離の配送は、片道だけ配送を行うのは非効率のため、帰りも別の荷物を積んで戻るケースが多いです。

数日がかりの配送の中でも、取らなければいけない休憩時間は定められており、拠点からの連絡も逐次入るので、無理なくしっかり休むことができます。

女性がドライバーとして働きやすい環境が整ってきている


女性ドライバーの数はまだまだ少ないですが、働きやすい環境は徐々に整ってきています。

トラックやタクシー、バスなど各業界では深刻なドライバー不足が続いていることもあり、女性ドライバーの需要は今後ますます高まっていくでしょう。

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