海コン運転手は需要が高い仕事の一つです。海コン運転手に興味はあっても、仕事内容や給料がわからず、転職しようか迷っている人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、海コン運転手の仕事の流れや年収、必要な資格や求人事情についてまとめて解説します。
目次
海コン運転手とは?仕事内容について
貿易立国(資源が乏しい国が外国から資源や資材を輸入し、自国で加工した商品を輸入して経済を維持すること)の日本において、海コン運転手はなくてはならない職業です。ドライバーの仕事は他にもたくさんありますが、その中でも海コン運転手の仕事内容は少し特殊かもしれません。就職や転職を考えている人は、事前に仕事内容をしっかり確かめておきましょう。 ここでは海コン運転手の仕事内容や一日の仕事の流れ、海上コンテナの基本的な知識について紹介します。
海上コンテナとは
海上コンテナとは、国際的な貨物輸送に使用される大型コンテナ(容器)のことです。大きさなどの規格は世界で決められており、冷凍コンテナやタンクコンテナなど、さまざまな種類があります。 船舶によって港に運ばれた海上コンテナは、荷物を積み替えることなくクレーンで専用のトレーラーに積まれ、そのまま配送先へ運ばれていきます。 海コン(かいこん)とは、海上コンテナの略称です。海コン運転手とは、海上コンテナを専門に運ぶドライバーのことを指します。
日の仕事の流れ
海コン運転手の一日の仕事の流れを簡単にまとめると、以下のとおりです。
- 出勤後、始業前点検をして出発
- 埠頭で海上コンテナの積み下ろしを待つ
- 港にあるクレーンで荷台に積み込み
- 荷主・配送先へ配達
- 荷積み・積み下ろしは荷主・配送先が行う
- 各港に海上コンテナを返却する
これは海コン運転手の一般的な仕事の流れです。荷積み・積み下ろしなどの作業は一切行わず、配送がメインの仕事といえます。
海コン運転手の仕事の魅力は?3つのメリット
海コン運転手の仕事は、他のトラック運転手にはないメリットがあります。「荷物の積み下ろしが少ない仕事をしたい」「長く働ける仕事がしたい」「ドライバーとしてもっと大きく稼ぎたい」などと思っている人にとっては、非常に魅力的な仕事だといえるでしょう。 ここでは、海コン運転手として働く主な3つのメリットについて紹介します。
1. 他のドライバーと比べ、肉体労働が少ない
海コン運転手は基本的に荷物の積み下ろしを行いません。運転がメインの仕事のため、肉体的な負担が少ないというメリットがあります。 通常のトラック運転手の場合、業務の一環として荷物の積み下ろしを行うことが一般的です。しかし、海上コンテナは人の手で積み下ろしができません。積み下ろし作業にはクレーンを使用するため、海コン運転手は作業が終わるのを待つだけです。 積み下ろし作業がないため、腰などを痛めてしまう心配もありません。海コン運転手の労働条件は良好だといえるでしょう。 肉体労働が少ない海コン運転手は、歳を取っても働き続けやすいというメリットがあります。年齢不問で募集している会社も少なくないため、経験者であれば即戦力として就職することも可能です。
2. 歩合制を利用すれば大きく稼げる
海コン運転手の仕事は常にあるため、固定給制の会社で働けば安定した給料が得られます。固定給制ではなく歩合制の会社で働けば、給料の大幅アップを見込めます。 歩合制であれば運転手の頑張り次第で給料が上がるため、仕事へのモチベーションアップにつながります。海コン運転手の平均月収は30万円前後ですが、歩合制を採用している会社も多いです。そのような会社に就職して結果を出せば、月40万円以上稼ぐことも不可能ではないでしょう。
3. 人手不足の業界なので需要が常にある
海コン運転手に限ったことではなく、トラック業界全体が慢性的な人手不足の状況に陥っています。物量は増加傾向にあるにも関わらず、少子化によって運転手のなり手が減少していること、運転手の高齢化が進んでいることが主な原因です。 海コン運転手の需要は常にあるため、経験が少なくても就職・転職は可能です。学歴や転職回数、ブランクはいっさい不問で応募している会社もあります。自分の希望条件に合う会社を見つけやすいのも、海コン運転手の大きな魅力だといえるでしょう。
海コン運転手の仕事はきつい?3つのデメリット
海コン運転手の仕事は、通常のトラック運転手よりも労働条件が良い、大きく稼げるチャンスがあるなど、さまざまなメリットがあります。しかし、一方できつい仕事だといわれることもあるため、実際に就職・転職すべきかどうか悩んでいる人も多いでしょう。 ここでは、海コン運転手の仕事がきついといわれる3つの理由について解説します。
1. 待機時間・労働時間が長い
海コン運転手は荷物の積み下ろしをせずに済むメリットがある一方で、待ち時間が長い点がデメリットです。クレーンが積み下ろしをする間、海コン運転手はずっと待っていなければなりません。体力的には楽ですが、待ち時間の長さがきついと感じる運転手もいます。 実際にどれくらいの待ち時間が発生するかは埠頭によって異なりますが、一日数時間の待ち時間が発生することも珍しくありません。待ち時間が長いと拘束される時間が増えて、労働時間も自ずと増えます。
また、待ち時間が長くなるほど一日に運搬できる本数が減ってしまうため、歩合制で大きく稼ぎたい人にはもどかしく感じるでしょう。 しかし、待ち時間を活用して体を休めたり、スマホで映画や漫画を観たりすることもできます。仮眠をしたり資格の勉強をしたりするなど、時間を有効活用している海コン運転手は大勢います。待ち時間の間はトラックから離れることはできませんが、勤務中に自由に過ごせる時間をもらえることは好都合とも捉えられるでしょう。
2. トレーラーの運転が難しい
トレーラーの運転には高い技術力が求められます。トレーラーは全長10mを超えるものもあるため、狭い交差点を右折するときや左折するときに神経を使います。 トレーラーの運転は右折よりも左折の方が難しいといわれています。その理由は、左折の際、運転席から周囲の様子が確認しにくいためです。 右折は運転席から顔を出して確認しながら運転できますが、左折はサイドミラーを使った確認しかできません。また、サイドミラーも運転席から離れているため、どうしても運転が難しくなってしまうのです。
トレーラーの内輪差が大きいことも、運転が難しいといわれる理由の一つです。右左折するときは内輪差に十分注意しながら運転しないと、脱輪やガードレールなどに接触する危険があります。対向車線側に車がいる場合は、危険を避けるために道を譲るなどの配慮が必要です。 トレーラーに積むコンテナの種類によって運転の難しさは異なりますが、ベテラン運転手でもトレーラーの運転は難しいといわれているため、しっかり経験を積む必要があります。
3. 景気に左右されやすい
海コン運転手の給料は景気に大きく左右されます。バブル期では月50万円以上、多い人では100万円以上稼ぐ運転手もいたため、景気次第では大きく稼ぐことも可能です。 ただし、大きく稼げるチャンスがあるとはいえ、歩合制の割合が大きすぎると、不景気になった際、給料が大幅に下がるリスクがあります。歩合制の会社ほど景気に左右されやすいため注意が必要です。
「歩合制で大きく稼ぎたい」という人は、不景気に給料が下がるリスクも考えたうえで、就職・転職する会社を慎重に選ばなければなりません。最低保障給が用意されている会社を選んでおくと、景気が悪くなって仕事が減ったときも安心です。
海コン運転手は未経験から転職できる?
肉体労働が少なく、歩合制で稼ぎやすい海コン運転手に興味を抱いている人も多いでしょう。では、実際に働くためには、どのような資格や免許が必要なのでしょうか。未経験でも転職することは可能なのでしょうか。 そのような疑問を解決すべく、ここでは未経験から海コン運転手になるときに必要な資格や、就職時に優遇されるケースなどを紹介します。
大型免許・けん引免許が必要不可欠
海コン運転手になるには、「大型免許」と「けん引免許」が必要です。大型免許とは、トラックやバスなど、車両総重量や最大積載量が大きい車を運転するときに必要な免許のことです。 海コン運転手が運搬する海上コンテナは、小さいものでも20フィート(およそ6メートル)、大きなものだと40フィートあるため、これらを積んで運搬するためには大型免許が不可欠です。大型トラックの運転経験がある人なら、すでに大型免許を取得しているため、転職活動を有利に進めていけるでしょう。 けん引免許は、他の車両をけん引するときに必要な免許です。この免許があると車両総重量が750キロを超える車をけん引できるため、仕事の幅が広がります。
これら2つの免許は海コン運転手には必須なため、事前に取得しておくと就職・転職活動をする際に有利です。ただし、入社後に資格取得できる場合もあるため、まだ免許を持っていない人は資格取得を支援してくれる会社を探してみましょう。
経験者優遇の場合が多い
どの運送会社も、基本的には経験者を優遇して採用します。ただし、大型免許とけん引免許を所持していれば、未経験でも就職・転職できる場合があります。 運送会社の中には、海コン運転手以外のトラックドライバーを募集しているところもあります。中型トラックなどの運転経験があれば、最初は4トンドライバーなどから始めて、大型免許を取得した後に海コン運転手として働けるかもしれません。
海コン運転手の求人事情は?会社選びのポイント
前述した通り、海コン運転手は需要の高い職種なため、求人情報もたくさんあります。求人情報がありすぎて、就職・転職活動をする際にどの会社を選べばよいか迷ってしまうかもしれません。 少しでも好条件で働きたい、大きく稼ぎたいという人のために、ここでは海コン運転手として働く場合の会社の選び方について解説します。
初心者は資格取得可能な会社を選ぶ
海コン運転手に必要な大型免許やけん引免許をまだ取得していない場合は、資格取得を支援してくれる会社を選びましょう。資格取得支援のある会社なら、免許取得に必要な費用を会社が負担してくれるだけでなく、免許を取得できるまで働きながら給与をもらえるため、初心者にとってメリットは大きいです。
ただし、事前に免許を取得しておいたほうが、より多くの会社に採用される可能性が高まります。即戦力として待遇の良い会社に転職したい人は、早めに大型免許とけん引免許を取得しておきましょう。
歩合制を採用している会社を選ぶ
大きく稼ぎたい人、大きく稼ぐ自信のある人は、歩合制を採用している会社に応募しましょう。歩合制の魅力は、自分の頑張りが給料に反映されることです。長距離運行に固執せずに、近距離・中距離運行にも柔軟に対応すれば、月35万円~40万円ぐらい稼げることもあります。好景気で仕事があるときは、歩合制のほうが大きく稼げます。 逆に、毎月安定した給料を望む人には、固定給制の会社がおすすめです。固定給制の会社を選ぶときは、毎月手取りで25万円もらえるかどうかを一つの目安にしてみましょう。
好待遇を望むなら大手運送会社がおすすめ
給与や福利厚生などの待遇は、企業規模に比例して良くなる傾向があります。好待遇を望む人は、業界大手の会社にチャレンジしてみましょう。 当然ながら好待遇の大手運送会社は人気が高いため、採用されるのは至難の技です。非公開求人になっている場合もあるため、転職エージェントなどのサービスを活用して、採用してもらえる可能性を広げましょう。
海コン運転手なら給料アップも可能!会社選びにこだわろう
今回は海コン運転手の仕事内容や必要な資格、求人事情などを解説しました。海コン運転手は荷物を積み下ろす肉体労働が少ないため、長く働き続けやすいというメリットがあります。また、未経験でも大型免許とけん引免許を所持していれば、就職・転職することは可能です。 歩合制の会社を選べば、海コン運転手として大きく稼ぐこともできます。自分の希望条件に合う会社を選んで、給料アップを実現させましょう。