ポールトレーラーとは?概要や運転に必要な免許、仕組みについて解説

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ポールトレーラーとは、長さのある荷物を運搬するための車両です。主に鋼材や桁、基礎杭などの長尺物の運搬に使用され、高い運転技術が求められます。 そこで本記事では、ポールトレーラーに関する概要や仕組み、運転に必要な免許や資格などについて詳しく解説します。

ポールトレーラーとは「長さのあるものを運ぶための車両」

ポールトレーラーとは、長さのある荷物を運搬できる車両です。主に鋼材や基礎杭(パイル)などの運搬に使われます。 また、さらに大きいものでは鉄道車両や橋げたの運搬に使われるなど、さまざまな長さに対応できる点が特徴です。そんなポールトレーラーについて理解を深めるためにも、次の2点について取り上げました。

  • ポールトレーラーの運転が難しいとされる理由
  • ポールトレーラーのサイズと最大積載量

ここでは、それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。

ポールトレーラーの運転が難しいとされる理由

ポールトレーラーの運転が難しいとされる理由は、次の4つが挙げられます。

  • 内輪差が大きい
  • バック時はハンドルを切った時に逆方向に動く
  • ジャックナイフ現象が起こる危険性がある
  • トレーラースイングが起こる危険性がある

ポールトレーラーは車体が非常に大きいため、乗用車と比較にならないほど内輪差が大きくなります。そのため、方向転換時のハンドル操作には高い技術が必要です。 これはバック時も同様で、車体が長いゆえにハンドルを切った時とトレーラー部分が逆方向に動いてしまいます。初めのうちはハンドル操作に慣れないため、バックモニターを活用して安全に運転できるよう工夫するといいでしょう。 また、ジャックナイフ現象やトレーラースイングなど、重大事故に繋がりかねない現象も起きやすく、運転には細心の注意が必要です。ポールトレーラーの運転が難しいとされる理由は次の記事でも詳しく解説しています。 「ポールトレーラーの運転が難しいとされる理由と練習方法を紹介」

ポールトレーラーのサイズと最大積載量

ポールトレーラーはセミトレーラータイプに分類され、連結全長は「21mまで」と定められています。また、トレーラーが申請を出さずに公道を走行できる全長は、高速道路で「15m 〜16m」、一般道では「12m」です。 そのため、ポールトレーラーのように規定の長さを超えている場合は、特殊車両通行許可・認定申請書が必要になります。最大積載量は、荷物を運搬する際に連結部のカプラーが耐えられる重さで設定され、車検証に記載があります。 ポールトレーラーのサイズと最大積載量に関する詳しい内容は、次の記事でも解説していますので参考にしてみてください。 「ポールトレーラーの最大積載量とは?過積載に関する内容も徹底解説」

ポールトレーラーの仕組み

次に、ポールトレーラーの仕組みについて確認していきましょう。確認しておくべき内容として、次の2点が挙げられます。

  • ポールトレーラーにおける構造
  • 後方ステアリングが付く種類もある

ポールトレーラーの仕組みを理解することで、運転時の操作にも活かされます。ここでは、それぞれの詳しい内容について確認していきましょう。

ポールトレーラーにおける構造

ポールトレーラーは、運転席を含めた前方部分の「トラクター」と自走できない後方部分の「トレーラー」をステアリングドローバーという部品で連結させた構造になっています。 ポールトレーラーの一番の特徴は、運搬する荷物の長さに合わせて車体の長さを変えられる点です。車体の長さはステアリングドローバーを伸縮させて変えられ、解体が困難な大きい素材でも運搬が可能となります。 ポールトレーラーの構造や仕組みについては、次の記事で詳しく解説しています。 「ポールトレーラーを支える5つの仕組みとは?トラクターの種類も紹介」

後方ステアリングが付く種類もある

ステアリング機能が付いていると、けん引しているトレーラーのタイヤを制御でき、向きの調整が可能です。そのため、ステアリングが付いていないタイプと比べて小回りが利き、操作性が向上します。 また、後方ステアリングが付いている種類は、ラジコンや機械式レバーで操作するタイプが主流です。よって、後方ステアリングが付いたトレーラーは、トラクターを操作する運転手と後方のトレーラーを担当する2名体制で動かします。

ポールトレーラーの運転に必要な免許や資格

ポールトレーラーの運転に必要な免許は次の2つです。

  • けん引自動車免許
  • 大型免許

ポールトレーラーのトラクター部分は大型自動車、トレーラー部分は大型特殊自動車に分類されます。しかし、大型特殊自動車の免許は必要なく、大型免許とけん引免許があれば運転が可能です。 とはいえ、ポールトレーラーは全長21mと運転は容易ではなく、習熟した運転技術が求められます。そこで、けん引自動車免許や大型免許の取得に関わる情報を確認していきましょう。

けん引自動車免許

けん引自動車免許は、車両の総重量が「750kg以上」のけん引車両を運転する際に必要になる免許です。 フルトレーラーを連結させる場合は車両の総重量が「750kg以上」となるため、運転にはけん引自動車免許が必要になります。しかし、トラクターを運転する際には大型免許を取得していなければ運転ができません。 そのため、フルトレーラーを運転する際には大型免許と、けん引自動車免許の両方が必要になります。

取得条件

けん引自動車免許の取得には18歳以上の年齢制限があります。さらに、ポールトレーラーの運転は大型免許の取得が条件であり、21歳以上でなければ取得できません。 そのため、けん引自動車は実質21歳以上でなければ運転ができないシステムになっています。乗用車とは異なる運転技術が必要となるため、21歳未満の方はまず乗用車を安全に運転できるようにしておきましょう。

取得にかかる期間と費用の目安

けん引自動車免許を取得するためには、技能教習を合計12時間受ける必要があります。そのため、毎日2時間ずつ教習を受ければ、1週間以内には終えることが可能です。 免許取得にかかる費用は、通学の場合は「15万円前後」、合宿の場合は「12万前後」になります。ただし、教習所によって取得費用が異なるため、事前に比較しておくとよいでしょう。 なお、けん引第二種免許は運転免許試験場で「6,700円のみ」を支払えば受験が可能です。

大型免許

大型免許は、次の項目に該当するトラックやバスを運転する際に必要となる免許です。

  • 車両総重量:11トン以上
  • 最大積載量:6.5トン以上
  • 乗車定員:30名以上

フルトレーラーは数十トン単位の積み荷を運搬するため、大型免許が必要になります。大型免許を取得すればフルトレーラーだけでなく、ダンプカーや大型バスなどの運転も可能です。

取得条件

大型免許を取得するには、普通免許などを取得してから3年以上経過しなければなりません。また、免許試験日の時点で満21歳以上であることが条件です。 大型免許で運転可能になる車体は乗用車と比べて大型なものばかりで、いずれも高度な運転技術が必要です。乗用車とは異なる特殊な運転技術が、大型免許の取得には求められます。

取得にかかる期間と費用の目安

大型免許を取得するには、教習所での技能教習で「20日前後」かかります。費用は各教習所の料金体系や所持している免許の種類によって異なりますが、おおよそ「18万円〜35万円」となるのが一般的です。 また、合宿免許に参加して取得する場合は教習所に比べて短期間かつ安価に免許を取得ができます。期間はおおよそ2週間ほどで取得できるでしょう。 さらに、教習所に通わず試験のみを受ける「一発試験」という方法もあります。一発試験は教習所や合宿での教習期間を短縮できるため、最も費用を抑えられます。ただし、実際に大型車を運転していない状態での合格はハードルが高いでしょう。

ポールトレーラーにおける事故の例

ポールトレーラーの運転は、一歩間違えれば大きな事故に繋がりかねません。ポールトレーラーで起こり得る事故の例として、次の4つを挙げました。

  • 荷台を固定するロックピンの外れ
  • 積み荷の崩れ
  • 凍結路面によるジャックナイフ現象
  • カーブでのトレーラースイング

車体が大きい分、些細な運転ミスが命取りです。実際に起こった事例も併せて確認していきましょう。

荷台を固定するロックピンの外れ

2014年に起きた事故では、走行していたポールトレーラーのロックピンが外れ、荷台が対向車線に滑走しました。結果として男女2人3が死亡、3人が重軽傷を負う大事故となっています。 原因については「ピンの締めが弱く、完全にロックされていなかった可能性がある」と述べられており、些細な整備不良が大事故につながってしまった事例の1つです。 参考:「荷台ピン外れ滑走 北中城・トレーラー事故 – 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト」

積み荷の崩れ

次に、追突による積み荷の崩れ・落下の事例です。この事故では、後ろから進行してきた自動車がトレーラーに衝突し、荷崩れを起こしました。 積載していた鉄骨20トンが隣車線に向けて崩れたものの、幸いにも自動車や歩行者はおらず大事にはいたりませんでした。 しかし、荷崩れしたことで通行止めとなり、渋滞による自動車道の遅れを引き起こしてしまいます。人的被害だけでなく、経済的な損失にもつながるため十分に注意しましょう。 参考:「追突事故で大型トレーラーから約20トンの鉄骨が落下、道路を塞ぐ | レスポンス(Response.jp) 」

凍結の路面によるジャックナイフ現象

2022年3月の記録的積雪によって路面が凍結し、トレーラーのジャックナイフ現象による立ち往生が発生しました。 ジャックナイフ現象とは、ポールトレーラーの走行時に急ブレーキや急ハンドルをした際に起こる現象です。この現象が起きると、トレーラーとトラクターの連結部を支点として、くの字に折れ曲がってしまいます。 ジャックナイフ現象が起きると、制御が利かないトレーラー部分が周囲の乗用車や人に衝突する大事故に繋がりかねません。ジャックナイフ現象を防止するためにも、急ハンドルや急ブレーキを避け、スピードを出しすぎないように心がける必要があります。 参考:「トレーラーが凍結路面で“ジャックナイフ”…44年ぶりの記録的積雪で、事故相次ぐ 北海道苫小牧市」

カーブでのトレーラースイング

2022年3月には、トレーラースイングを原因とする転落事故が発生しました。トレーラースイングとは、急ブレーキや急ハンドルをした際にトレーラーの後輪がロックされて車体が大きく振られる現象です。 ジャックナイフ現象と同様、ブレーキやハンドルの操作ミスによって起こり、重大な事故に繋がりかねません。急ハンドルを切ったり、急ブレーキを踏んだりと急な操作によって発生しやすい事象です。 トレーラースイングがひとたび起こると、周囲の車を巻き込んで多重事故に発展する場合もあります。回避不能な状態に陥らないためにも、常に安全運転を心がけましょう。 参考:「転落トレーラーに1遺体 カーブでスリップか・小国の多重事故 | 山形新聞 」

高い運転技術が求められるポールトレーラーの需要は大きい

ポールトレーラーは多くの荷物を運搬できる反面、運転者には高度な技術が求められます。一歩間違えれば大事故にも繋がりかねない車体であるため、免許取得後も常に安全運転を心がける必要があります。 しかし、大規模な建造物や橋梁などの工事にはなくてはならない車両です。高い運転技術が求められるポールトレーラーの需要は大きく、個人であれば給与のアップ、企業であれば新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。 今回紹介した内容を参考に、今後の資格取得や車両導入を検討してみてください。

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