トレーラーの運転のコツや気をつけたい現象とは?業務についても解説

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トレーラーの運転にはコツがあります。また、車体の大きいトレーラーを運転するときには、起こりがちな4つの現象にも注意しなければなりません。本記事では、トレーラーを運転するときのコツやドライバーの仕事内容、平均年収、向き・不向きについて解説します。

トレーラーには2種類ある

ひと言で「トレーラー」といっても、その種類は2パターンあります。セミトレーラーとフルトレーラー、それぞれの車両は車体の特徴やサイズ、構造などが異なります。 本章ではまず、セミトレーラーとフルトレーラー、それぞれがどのような車両であるのか解説していきます。各トレーラーの特徴を押さえたうえ、運転テクニックを習得していきましょう。

セミトレーラー

セミトレーラーは、日本で最も多く活用されている種類のトレーラーです。車体の特徴としては、ドライバーが座る運転席の部分と貨物部分とを、連結器によって繋げることで、荷物を運べます。 そのためトラクターヘッド部分、それ単体では、荷物を運ぶことができないといった特徴があります。 その代わりに、連結する架装を変更するだけで、形状の異なるさまざまな荷を運搬できます。また、連結を解除することで、荷物だけを船や航空機に積み込むことが可能です。臨機応変に活用でき汎用性が高いため、使われることが多いことも納得でしょう。

フルトレーラー

運転席と貨物部分とが、常に繋がっている車両が「フルトレーラー」です。1台の貨物車の後部に単体の荷台が連結されています。この連結方法には「ドリー式」「ベルマウス式」「センターアクスル式」といった種類があります。 フルトレーラーの中でも多く見られるタイプがドリー式で、連結部分が可動式になっていることが特徴です。その分、バッグには高度なテクニックが必要となります。 一方、センターアクスル式のフルトレーラーは、可動部分がトレーラー側の連結部のみである点が特徴です。タイヤの軸が中央に配置されており、セミトレーラーのような感覚で運転できるため、近年人気が高まっているフルトレーラーでもあります。

トレーラーを運転するコツは?

セミトレーラーもフルトレーラーも、通常のトラックより車体が大きいといった特徴があります。そのためトレーラーを運転するためには、走行の運転技術が必要です。 特に、右折や左折といったカーブやバック、駐車をする際にはコツがあります。もちろん、直進する際も、普通自動車とは違った走り心地となるでしょう。本章ではシーンごとに、トレーラーを運転するコツを解説します。

カーブのコツ(右折・左折)

右折や左折をする際は、前方向に深く進入したのちに、旋回する必要があります。これは、車体が大きい分、内輪差も大きいといったトレーラーの弱点をカバーするためです。 特に交差点などは、内輪差によって、歩行者を巻き込んでしまう可能性があるので注意しなければなりません。 もちろん右折時には、対向車にも注意しましょう。また、信号などで停車する際には、ブレーキを強く踏みすぎてしまうことにも気をつけてください。前輪にロックがかかってしまい、走行できなくなってしまう可能性があります。

バックするコツ

トレーラーを運転するうえで、最も難しいのは「バック」です。トレーラーの構造上、どうしても連結部分ができてしまいます。そしてバックする際に、少々厄介なのがこの部分です。 コツを押さえてバックしなければ、この連結部分が折れ曲がってしまい、ドライバーが思うように車体を動かすことができません。 トレーラーでスムーズにバックするためには「自分が乗っているのは、トレーラーの前輪部分である」ことを強く意識しましょう。前輪をどのような方向へ向けるべきなのかを考え、ハンドルを切ることで、イメージ通りにバックしやすくなります。

直進のコツ

直進する際も車体が大きいトレーラーを扱うには、コツが必要です。直進時、特に注意するべき点としては、連結の「幅」「長さ」「高さ」が挙げられます。長時間運転していると、つい自分が運転しているのがトレーラーであることを忘れてしまいがちなので気をつけましょう。 交差点はもちろん、踏切を通過する際は、特にこの点を意識することが大切です。車体の長さを忘れて無理に通過しようとしてしまえば、後方部分が渡りきれず事故を起こしてしまうかもしれません。 この点は、信号を通過する際も同じです。ギリギリで通過しようとせず、余裕を持って運転しましょう。

駐車するコツ

トレーラーほど車体が大きく、長さのある車両を扱う際は、駐車や車庫入れも、一筋縄とはいきません。すでに解説したような「バックのコツ」を押さえて、トレーラーを駐車させたとしても、車体が左右どちらかに曲がって停車してしまうことがよくあります。 トレーラーが左に曲がってしまった際、真っ直ぐにする方法は、以下を参考にしてください。

  1. ハンドルを左に切る
  2. ハンドルを右に切る
  3. ハンドルを左に戻す
  4. ハンドルを右に切る
  5. 左右を確認して、微調整する
  6. ハンドルを真っ直ぐに戻す

ちなみに、右に曲がってしまった場合は、上記の方法で左右を逆にして調整してください。 「トレーラーの運転に慣れるまではどのくらい?コツや練習方法を解説」

4つの現象に注意しよう!

トレーラーを運転する際は、コツを押さえてハンドルを切ることも重要ですが、陥りがちな「現象」を事前に把握しておくことも大切です。車体が大きかったり、長かったりする車両は、普通自動車よりもはるかに路面の状態などに影響を受けやすくなります。 本章では、トレーラーを運転する際に起こりやすい現象として「スネーキング現象」「ジャックナイフ現象」「プラウアウト現象」「トレーラースイング現象」の4つについて解説します。 いずれも大事故に繋がりかねない危険な現象であるため、細心の注意をはらって運転しましょう。

スネーキング現象

スネーキング現象とは、ブレーキや加速を急におこなったことをきっかけに生じる現象です。この現象によって、連結した車両が曲がったまま、操縦不能に陥る可能性があります。 操縦不能となったトレーラーが蛇のようにうねってしまうことから「スネーキング」と呼ばれるようになりました。 スネーキング現象によって、トレーラーが道路に横転してしまい、二次災害に繋がるリスクもあるため十分に注意しましょう。 スネーキング現象が起きてしまう原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 左右の重量が不揃い(バランスが取れていない)
  • タイヤの空気圧等が左右で不揃い
  • 重心がアンバランス

また、次のような「環境的な原因」から、現象が引き起こされる可能性もあります。

  • 路面がうねっている
  • 路面が傾いている
  • 強い横風

さらに、ドライバーがスピードを出し過ぎている、左右振動を発生させるようなハンドル操作をしているなどの原因によっても、スネーク現象が起こることがあるので注意してください。

ジャックナイフ現象

ジャックナイフ現象とは、トラクターとトレーラー部分との間が「くの字」に折れ曲がってしまう現象のことです。 トレーラー特有の現象であり、この現象が起きることで、ドライバーが車両を操縦しにくくなってしまい、場合によっては横転してしまう可能性があります。 連結部分がジャックナイフのように折れ曲がることから、このような名前がついています。ジャックナイフ現象が起こりやすい状況とは、滑りやすい路面を走行している、積載量が一定のラインを超えているといった場合です。 前者のケースは、雪や雨によって、急ブレーキや急ハンドルをおこなう頻度が増え、車輪がロックされる現象が生じます。後者のケースは、積載量が多いとトラック側よりもトレーラー部分の力が強くなってしまうことで発生します。

プラウアウト現象

この現象が生じることで、トレーラーが制御不能な状態へ陥ってしまいます。ハンドルだけでなく、ブレーキも効かなくなってしまうため、非常に危険な状態といえるでしょう。 プラウアウト現象が起こる原因は、ドライバーが急ブレーキを踏むことによって、トラクターのブレーキがロックされてしまうためです。この原因から「トラクターフロントロック現象」と呼ばれることもあり、トレーラーを運転しているときに急ブレーキをかけることが、いかに危険な行為であるのかわかります。

トレーラースイング現象

トレーラースイング現象とは、ブレーキにロックがかかってしまうことで、まるでゴルフのスイングのようにトレーラーが左右に揺れてしまう現象のことです。 連結している荷台部分はそもそも操縦できないため、トレーラー全体がスイングしてしまうのです。急ブレーキによってロックがかかって生じることから「トレーラーロック現象」とも呼ばれています。

【事例あり】トレーラーの事故

トレーラーの車体は、長いもので18mほどあります。高い運転技術が必要であることも相まって、しばしば不幸な事故が起きてしまうことも。2021年に起きてしまった、トレーラーによる事故は、以下のようなものです。

エリア 事故の内容 被害
愛知県 国道41号線で、トレーラーが軽乗用車に追突。 24台が絡む玉突き事故が発生。 怪我人12名 (うち、1名は重症)
徳島県 交差点にて、横断歩道を渡ろうとした小学生が左折してきたトレーラーにはねられる 小学生1名が死亡
岡山県 市道を走っていたオートバイとトレーラーが衝突。 男性1名が死亡 (オートバイの運転手)

参考:東海テレビ/「3車線の車全部なぎ倒して止まった…」大型トレーラーが渋滞の車に突っ込み24台絡む事故に 12人ケガ 参考:共同通信/徳島でトレーラーにはねられ小4女児死亡 参考:山陽新聞/車と衝突、オートバイの男性死亡 岡山・倉敷の市道、女性は軽傷

トレーラーの運転手になるには?

トレーラーは、わずかな判断ミスや操作ミスによって、大事故を招く車両です。そのためトレーラーを運転するドライバーは、特定の資格を取得していなければなりません。 ここでは、トレーラーの運転手になるために必要な資格をはじめ、ドライバーの仕事について、業務内容や平均年収、向いている人・不向きな人について解説します。

必要な資格

トレーラーのドライバーが取得していなければならない資格は「けん引免許」または「けん引二種免許」のいずれかです。 けん引免許は重量750kgを超えるけん引自動車を運転する際に必要となる免許で、けん引二種免許は、トレーラーバスや連接バスの運転をする場合に取得しなければならない免許です。 これらの免許を保有している方のみ、トレーラーを運転できるため、免許保持者の需要は高いといえます。 「トレーラーの運転免許は何が必要?運転のコツや取得方法、費用を解説 」

仕事内容

トレーラーの運転手の仕事内容は、主に専用車両の運転で、大きなコンテナを引いて長距離を運転します。トレーラーで引くものはコンテナだけでなく、タンクローリーやダンプト、キャリアカーなどである場合もあるでしょう。 いずれの仕事も、長距離を移動するため、体力が必要な仕事といえます。長時間のドライブが苦痛でない方にとっては、働きやすい仕事かもしれません。

運転手の平均年収

トレーラードライバーの平均年収は約426万円です。月給で表すと35万円前後、初任給は20万円程度が平均的な給与となります。なかでも、最も多い層は407〜454万円。多くのドライバーがこの辺りの年収であるといえます。 しかし、全体的な給与幅が267〜641万円と開きがある点には注意しなければなりません。勤務先やスキル、経験の有無などで年収が大きく変わることがあります。 またアルバイトやパート、派遣社員として働く場合は、平均時給がそれぞれ989〜1,398円となっています。

運転手に向いている人・向かない人

トレーラーの運転手に「向いている」と判断できる方は、以下のような特性を持った人です。

  • 運転が好き
  • 体力に自信がある
  • 慎重

前提として、長距離を運転するドライバーは、運転自体が好きでないと快適に働くことはできません。また長距離移動には、相応の「体力」が必要です。 また集中を欠くことで、大事故に繋がる可能性もあります。肉体と精神、どちらにも「タフさ」が求められるでしょう。もちろん「慎重であること」も重要な素質です。 逆に、長時間の運転が辛い、運転技術に自信がないという方には不向きな職業といえます。

トレーラー運転手のメリット・デメリット

トレーラーのドライバーとして働くことには、メリットとデメリット、そのどちらもあります。まずは以下で、それぞれについて紹介します。

メリット デメリット
  • 1人で仕事ができる
  • 色々な場所へ行ける
  • 拘束時間が長い
  • 体力が必要

ドライバーは、勤務時間の大半を1人で運転することに費やします。周囲とのコミュニケーションが苦手だという方にとっては、快適に働けるでしょう。また、さまざまな場所へ荷物を届ける仕事であるため、業務の一貫として「ちょっとした旅」ができます。 その反面、拘束時間が長く、それゆえ体力勝負になる点がデメリットです。

コツや現象に注意してトレーラーを運転しよう

トレーラーの運転について、安全運転のコツや注意すべき4つの現象、事故例、運転手という職業の解説をしました。 トレーラーはかなり大型な車両であるため、普通自動車を運転するときとは違ったコツが必要であったり、特有の現象が起こるリスクがあったりと、運転には最新の注意が必要となる車両です。本記事の内容を参考に、コツを掴んだうえで、安全運転を心がけてください。

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