運送業における車両管理とは?車両管理業務で必要な要素やおすすめのツールも紹介

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運送業において、車両管理は欠かせない業務の一つです。しかし、これから業務に携わる方にとっては、業務内容がどのようなものかを知らない場合もあるでしょう。また、車両管理業務は多岐にわたるため、すべての業務内容やその重要性の理解が難しいと感じる方もいるかもしれません。

そこで今回は、車両管理業務がなぜ必要なのか、そして効率的に進めるために必要なことについて解説します。さらに、車両管理システムのメリットや、導入する際に注意すべきポイントについても詳しくご紹介します。

車両管理業務とは?


車両管理業務とは、企業や組織が所有する車両の管理に関わるすべての業務を指します。これには、車両そのものの管理だけでなく、従業員(ドライバー)の安全管理や車両に関する経費の把握も含まれます。

具体的には、次のような業務が含まれます。

  • ドライバーが毎日記録する運転の内容をまとめる
  • 車両の状態を定期的にチェックし、修理やメンテナンスの履歴を管理する
  • 車両が安全かつ効率的に運行できるように、定期的なメンテナンスを実施する
  • ドライバーの健康状態を管理し、事故やトラブルを未然に防ぐ
  • 燃料代や消耗品代など、車両に関わる経費を把握する

この業務は、運送業に従事する車両だけでなく、役員が使用する車両や営業車両も対象となっています。そのため、所有車両が多い企業ほど、管理業務の量も増加します。

多くの企業では、安全運転管理者が車両管理業務を担当しています。安全運転管理者は、一定数以上の社用車を保有する企業に専任が義務付けられている役職で、安全運転を推進するための業務を行います。

運送業に車両管理業務が必要な5つの理由


運送業に車両管理業務が必要である理由はいくつかあります。ここでは、運送業に車両管理業務が必要な理由について詳しく解説します。

車両とドライバーを守るため

車両管理業務の大きな目的は、車両とドライバーの安全を確保することです。車両ごとに日々の情報を記録し、使用状況やメンテナンス履歴をもとに修繕計画を立てることで、車両の故障を未然に防ぐことができます。

特に、事業所から遠く離れた場所で車両が故障すると、荷主に迷惑をかけるだけでなく、迅速な故障対応が難しくなり、復旧までに多くの時間がかかります。こうした事態を避けるためにも、車両管理は非常に重要です。

さらに、ドライバーを守るためにも車両管理は欠かせません。例えば、日頃からドライバーの健康状態を把握することで、無理な運転を未然に防ぐことができます。

事故を防止するため

上でも記載したとおり、車両管理が求められる理由には、事故を未然に防ぐことが挙げられます。

重大な事故が発生すると、被害者だけでなく、加害者となったドライバー自身も長期にわたる精神的・経済的な負担を背負う可能性があります。さらに、会社も事故によって取引先や社会からの信用を失うかもしれません。

このような交通事故による不利益を避けるためにも、車両管理は非常に重要です。

リスク回避のため

運送業における事故はさまざまなリスクを引き起こす可能性があるため、リスクマネジメントの一環として車両管理が重要です。

具体的なリスクには、保険金や修理費用の支払いによる財務リスク、業務停止による取引先への賠償リスク、企業のイメージや信用に悪影響を与えるリスクなどがあります。

車両管理を通じて、事故につながる可能性のある原因や要因を特定し、これらのリスクに対処するための体系的なプロセスを構築することで、リスクを回避できるでしょう。

コスト管理のため

車両管理業務には、経費の把握といったコスト管理も含まれています。特に運送業の経費の中で大きな割合を占める燃料代(軽油やガソリン)の管理は、非常に重要です。

燃料代を削減するためには、効率的な配送ルートの構築や渋滞時間の回避が有効です。これにより、走行距離を削減し、燃料費の大幅なカットが期待できます。

さらに、エコ運転を徹底することでコスト管理が可能です。急発進や急ブレーキを避け、アイドリングストップを実践することで、燃料代だけでなく、ブレーキやタイヤの摩耗も減らすことができ、消耗品のコストも削減できます。

法的責任が発生しないようにするため

所有する車両やドライバーが交通事故を起こした場合、そのドライバーだけでなく、雇用している企業も「民法第715条」に基づき、損害賠償責任を負うことになります。

しかし、使用者(企業)が事業の監督に関して十分な注意を払っていた場合や、十分な注意を払っていても避けられなかった損害については、この限りではないとされています。

つまり、企業が日頃からドライバーに対して安全教育を徹底して行っている場合、企業が責任を問われない可能性があるということです。法令を遵守し、徹底した安全教育を実施することで、法的責任を回避するための体制を整えることが、車両管理の重要な理由の一つです。

運送業の車両管理業務で必要となる要素


車両管理業務において特に重要なのは、安全運転管理者の選任、車両管理規程の作成及び点検、管理元と責任者の明確化の3つです。ここでは、安全で効率的な車両管理体制を構築するために必要な3つの要素について解説します。

安全運転管理者の選任

安全運転管理者とは、道路交通法などの法令を遵守し、交通違反や事故の防止を図るために、一定の自動車を所有する事業者が選任する責任者です。

道路交通法第74条の3第1項に基づき、以下の条件を満たす事業所は、安全運転管理者を選任しなければなりません。

  • 乗車定員が11人以上の車両を1台以上保有している場合
  • 社用車を5台以上保有している場合

さらに、安全運転管理者を選任した事業者は、道路交通法第74条の3第5項に基づき、自動車の使用の本拠地を管轄する公安委員会に対して15日以内に届け出を提出する必要があります。

参考:道路交通法第74条|e-Gov法令検索|

関連記事:【最新版】安全運転管理者の役割とは?

車両管理規程の作成と点検

車両管理規程は、企業が業務用車両の使用に関するルールと基準をまとめたもので、交通事故のリスクを管理し、企業の損害賠償責任を防ぐことを目的としています。また、従業員に対して適切な運転教育を提供し、事故の予防にもつながります。

車両管理規程に含めるべき主な項目は以下のとおりです。

  • 安全運転管理者及び車両管理責任者の選任と明示
  • 車両管理台帳の作成
  • 運転者台帳の作成
  • 安全運転の確保
  • 社用車の保守点検及び整備
  • 社用車の私的使用禁止
  • マイカーの業務使用について
  • 事故発生時の対応方法
  • 車両管理規程違反時の罰則

車両管理規程は一度作成したら終わりではなく、定期的に点検し、必要に応じて修正を加え、常に最新の状態に保つことが重要です。

関連記事:車両管理規程とは?必要な理由から掲載すべき内容、違反した際の罰則についても解説

管理元と責任者を明確にする

車両管理業務では、管理元と責任者を明確にすることが重要です。企業によっては、管理元と責任者が異なる部署に所属している場合があるため、従業員や外部の方が混乱しないように整理しておく必要があります。

例えば、定期点検や車検、保険手続きは通常総務部門が管理するが、車両情報の管理は各部門が担当するなどの場合、責任の所在が曖昧になる場合もあります。

管理元と責任者を明確にすることで、車両の運用状況や整備状況の一元管理が可能となり、業務フローの改善にもつながります。

車両管理には専用のシステム導入がおすすめ


車両管理業務は多岐にわたるため、すべての業務を効率よく行うことは難しいです。専用の車両管理システムを導入することで、業務を大幅に効率化できます。

例えば、車両やドライバーの情報をデータで可視化することで、車両のメンテナンス時期やドライバーの体調管理が容易になります。また、車検や定期点検の予定日が近づくとアラートする機能もあるため、点検漏れを防ぐこともできます。

車両管理システムにはさまざまな種類がありますが、運送業務の効率化を目指す方はトラッカーズマネージャーの導入をぜひご検討ください。運送業務に必要なすべての機能が揃っており、運送管理業務を最大93%削減できます。

これまで書類やExcelで管理していた車両やドライバー情報をトラッカーズマネージャーで一括管理できるほか、受発注管理や配車計画もこれ1つで可能です。管理業務の効率化に悩んでいる方は、ぜひご検討ください。

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運送業に車両管理システムを導入するメリット


運送業に車両管理システムを導入するメリットとしては、主に以下の3つがあります。

  • 管理業務の効率化
  • コスト削減
  • サービスの質の向上

ここでは、それぞれについて解説します。

管理業務の効率化が可能

車両管理業務には、メンテナンス、運行状況の把握、保険や経費の管理、安全運転の管理など、多岐にわたる作業が含まれます。紙やExcelなど、1つ1つアナログで管理を行うと業務量が膨大になってしまい、他の業務が進まないなんてことも。

特に、複数の営業所がある場合、各営業所のデータを集計するのに多くの時間がかかり、安全運転管理者の負担が大きくなりがちです。そこで、車両管理システムを導入することで、車両やドライバーに関する情報を一元管理することができます。

記入漏れやミスも減り、正確に運転状況を把握できるため、作成時間が短縮されて集計やチェックも簡単になります。結果、全体的な業務の効率化につながるでしょう。

コスト削減になる

車両管理システムを活用すると、案件情報を簡単に蓄積でき、ボタン1つでデータを可視化、そして可視化したデータを経営にお役立ていただくことも可能です。蓄積データを車両ごとに分析することで、稼働率の低い車両を特定し、配送業務を見直すことができます。これにより、稼働率の向上が期待でき、必要な車両台数の最適化と効率的な配送計画の作成にも役立ちます。

サービスの質が上がる

車両管理システムの中には、GPS機能を搭載しているものもあります。これにより、車両の位置をリアルタイムで確認でき、クライアントからの問い合わせに対しても、ドライバーに頼らずに現在位置や到着予定時刻を正確に伝えることが可能です。

また、クライアントから荷卸し場所の急な変更指示があった場合でも、ドライバーに適切なルートを迅速に伝えられるため、遅延を最小限に抑えることができます。急な依頼があった際も、付近を走行中の車両を依頼先に向かわせることで、迅速に対応し、サービスの質を高めることができます。

運送業に導入する車両管理システムを選定するポイント


車両管理システムを導入する際には、メリットを最大限に発揮できる自社に適したシステムを選ぶことが大切です。ここでは、車両管理システムを選定するうえで注意すべき5つのポイントについて解説します。

自社の課題解決に役立つか

車両管理システムを導入する際には、そのシステムが自社の課題を解決するのに適しているかどうかを確認しましょう。車両管理システムにはさまざまな機能がありますが、解決したい課題によって必要な機能は異なります。

まず、「管理コストを削減したい」「ドライバーの負担を軽減したい」といった具体的な課題を洗い出すことから始めましょう。そのうえで、それらの課題を解決できる機能を持つシステムを選ぶことが重要です。

課題を明確にしないまま多機能な車両管理システムを選んでしまうと、操作が複雑になったり、導入費用が高額になったりする可能性があります。したがって、まずは自社の課題を明確にすることが大切です。

導入しやすいシステムであるか

車両管理システムの選定において、導入のしやすさも重要なポイントです。システムを導入する前に、以下の点を確認しましょう。

  • 書類データのスムーズな移行が可能か
  • 情報は見やすいか
  • 分かりやすい操作性か

操作しにくいシステムを導入すると、利便性が向上するどころか、逆に効率が悪化する恐れもあります。

多くの企業が提供する車両管理システムには、無料のトライアル期間が設けられています。複数のシステムを試用し、比較したうえで、最も導入しやすいシステムを選びましょう。

導入コストやランニングコストは予算の範囲内か

車両管理システムのコストには、導入時にかかる初期コストと運用中に発生するランニングコストがあります。これらの費用は、利用する人数やサービス内容によって変動します。そのため、実際に利用することを想定し、予算内で導入できるかどうかを事前に確認することが重要です。

特に、コストの削減を目指す場合、システム導入費用に対してどの程度のコスト削減効果が見込めるか、費用対効果を試算して判断しましょう。

予算内での導入が難しい場合、デバイスをレンタルする選択肢もあります。レンタルは初期コストを抑えられますが、ランニングコストが高くなる傾向があるため、長期的なコストシミュレーションが重要です。

セキュリティ面における安全性は問題ないか

セキュリティ対策が不十分な車両管理システムを使用すると、情報が外部に流出するリスクがあります。特に顧客や荷物に関する情報が流出すれば、取引先との信頼関係が崩れてしまう可能性が高いです。

車両管理システムのセキュリティ対策に問題がないかを判断するには、情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度(ISMS認証)が役立ちます。

ISMS認証を取得した製品は、国際的にもセキュリティレベルが高いと評価されています。セキュリティを重視する場合は、システムがこの認証を受けているかを確認しましょう。

デバイスや位置情報システムの性能を比較

車両管理システムのデバイスには以下の種類があります。

  • OBD-Ⅱポート型
  • シガーソケット型
  • アプリ型
  • ドライブレコーダー型
  • デジタルタコグラフ搭載型

特にデジタルタコグラフ搭載型は、配線処理が必要なため車種によっては適さない場合があります。また、デバイスごとに提供されるサービスや機能が異なるため、導入目的や設置方法に合ったものを選ぶことが重要です。

位置情報システムの更新頻度にも違いがあり、5秒間隔から10分間隔までさまざまです。特に運送業や配送業では、リアルタイムで位置情報を把握することが求められるため、更新頻度の短いシステムが望まれます。

運送業における車両管理業務はリスクに備えるために重要


車両管理は、車両の保全やドライバーの安全、そして企業の社会的信用を確保するために欠かせない業務です。

選任された安全運転管理者と明確な車両規程の作成、及び管理元や責任者の明確化により、事故の防止によるリスク回避や業務効率化によるコスト削減といった大きなメリットがあります。一方で、管理業務の負担が増えるというデメリットもありますが、適切なシステムを導入し、効率的な車両管理を行うことで、デメリットを最小限に抑えることが可能です。自社に合ったシステムを選び、精度の高い車両管理を目指しましょう。

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