過積載は最大積載量を超えた状態で危険!基本的な意味と定義を解説

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過積載の車両を運転すると法律違反となり、重い罰則を受けます。事故を引き起こす原因にもなるため、最大積載量を守って安全運転を心がけるが大切です。 本記事では、過積載の意味や定義、過去に起きた事故事例などを解説します。トラックの運転に携わる人は、この機会に改めて確認しておきましょう。

過積載とは?意味・定義を解説

貨物自動車を運転するときに注意すべきは、荷台に積む荷物の量です。荷物を積み込みすぎてしまうと、事故のリスクが高まるため大変危険です。ひとたび事故が起きてしまうと、大勢の人に迷惑をかけることになります。 そのようなリスクを未然に防ぐために、法律で過積載について厳しい罰則が定められています。まずは、過積載の意味と定義を確認しておきましょう。

過積載は車両の最大積載量を超えた状態

過積載とは、車両の最大積載量を超える貨物を積載して走行する行為のことです。最大積載量は道路運送車両法で定められているため、過積載の車両は違反に該当します。また、運転手だけでなく、事業者や荷主も罰則の対象にもなるので注意が必要です。 貨物自動車の車検証には最大積載量と車両総重量が記載されているため、運行する前にきちんと確認しておきましょう。

最大積載量を求める方法

車両それぞれの最大積載量は、車両総重量から車両重量と乗車定員の重量(基準の55kg)引くことで求められます。 過積載を防止するためには、運転する車両の車両総重量と車両重量を把握しておくことが大切です。 車両重量とは車体本体にガソリン、エンジンオイル、冷却水、バッテリー、架装などを足した重量です。これに荷物を最大積載量、積んだ状態での重さが車両総重量になります。

普通乗用車に積載量の定めはない

乗用車には最大積載量は定められていません。貨物自動車と違い、乗用車は荷物運搬が主な用途ではないため、車検証の最大積載量の欄も空欄になっています。 積載量の定めがないとはいえ、際限なく荷物を積んで良いわけではありません。自動車メーカーの中には、車両ごとに積載量を設けているケースもあります。 手荷物程度の重量は「乗車定員×10㎏」が一般的な目安とされています。無制限に荷物を積んでしまうと事故のリスクが高まるため注意が必要です。  

過積載・最大積載量の目安

過積載を防ぐには、貨物自動車の最大積載量を把握しておく必要があります。トラックやトレーラーなど、車両によって積載量も大きく異なるため注意が必要です。 ここでは、大型トラック・中型トラック・小型トラック・トレーラー・ダンプの最大積載量の目安を紹介します。それぞれの積載量を守って、業務を安全に運行しましょう。

大型トラック

大型トラックは車両総重量11トン以上、最大25トンの最もサイズの大きいトラックです。最大積載量は6.5トン以上ですが、さまざまな形状の車両があるため、その形状によって最大積載量も大きく異なります。車両自体の重量と乗車定員の重さを引くと、各車両の最大積載量を確認することが可能です。 屋根がなく、荷台部分が平らになっている平ボディは、他のタイプよりも車両重量が軽いため、より重たい荷物を積載できます。ただし、荷崩れして落下するリスクがあるため、重たい荷物を運ぶときは幌をかけるなどの対策を実施しましょう。

中型トラック

中型トラックの最大積載量はおよそ6トン以内です。従来は、車両総重量8トン未満でしたが、道路交通法の改正によって11トン未満になっています。中型トラックは、主に道路工事や土木工事の現場で使用されることが多いです。 2017年3月の制度改正に伴い、準中型免許が新たにできたことで、中型がさらに使い勝手のよいものになっています。

小型トラック

小型トラックの最大積載量はおよそ3トン以内、車両総重量の目安は4.5トン以です。ただし、最大積載量が2,000キロ以内に定められている車両も存在するので気をつけましょう。 小型には、ショート・ロング・ワイドロングといった車体の幅や長さの違うトラックがあり、選択の幅が広いのが特徴です。普通免許で運転できるものも多く、使い勝手の良いトラックなので、各メーカーから多くの車種が販売されています。

トレーラー

トレーラーの最大積載量は16トンから22トンが一般的です。ただし、トレーラーは用途が幅広いので、この限りではありません。車軸の数を増やして軸重を減らせば、総重量が36トンまで増え、最大積載量も約28トンまで増加できます。 トレーラーが運ぶのは、新幹線や電柱といったトラックには積めない大型の構造物です。大型トラックよりも大型の荷物を運ぶことができますが、危険が伴うため、走行するときは「特別車両通行許可証」の申請が必要です。通行経路や通行時間などが定められることがあるため、条件に従って運行することになります。

ダンプ

ダンプカーの最大積載量は小型(2トンダンプ)が3トン、中型(4トンダンプ)が6.5トン、大型(10トンダンプ)が6.5トン以上です。ただし、ダンプカーは用途によって荷台のサイズが異なるので、荷台の大きさと積み荷の比重を覚えておくことが大事です。 特に中型と大型のダンプは重大事故につながる危険性が高いため、法定重量をオーバーすると重い罰則が科せられます。メーカーや車両の構造などによって最大積載量が変わるので、事前確認が不可欠です。 過積載の許容範囲については、以下の記事で確認できます。 過積載に許容範囲はない!トラックやダンプカーの最大積載量を解説  

過積載が禁止されている理由は?

過積載にはさまざまなリスクが伴うため、会社の利益を上げるために安易な気持ちでやったことが、取り返しのつかない事態を招く可能性もあります。危険性が非常に高く、周囲に与える悪影響も大きいからこそ、過積載は法律によって禁止されているのです。 ここでは、貨物自動車の過積載が禁止されている理由について解説します。

事故を起こす原因になる

過積載の車両を走行させるとブレーキが利きにくくなり、ブレーキをかけてから車両が止まるまでの制動距離が長くなってしまいます。急ブレーキをかけてもすぐに止まらないため、他の車とぶつかってしまうこともあるでしょう。 また、バランスを崩しやすくなるため、急カーブを曲がるときに横転する可能性もあります。車体への負担が増加することによって車体やタイヤが損傷し、脱輪やパンクなどのリスクも高まるでしょう。 過積載は常に車体のコントロールが難しい状況にあるため、事故が起きる可能性が非常に高いのです。

重い罰則を受ける

過積載を超えると、法律に基づいて車両の運転手や運送事業者、荷主が罰則を受けます。運転手だけが罰則を受けるわけではなく、運転手に指示して荷物を運ばせた事業者や荷主も罰則を受けるのがポイントです。 違反点数や反則金などは、過積載の割合に応じて決まります。過積載の割合が10割以上だった場合、6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰則が科されるほか、車両使用停止処分や事業停止処分などの重い罰則に処されることもあるのです。 このような厳しい罰則を回避するためにも、過積載の状態でトラックを走行させてはいけません。 過積載の罰則については、以下の記事で詳しく解説しています。 過積載の罰則は厳しい!違反点数や罰金、運転手や会社の責任を解説  

過積載が原因の事故事例

過積載の貨物自動車が引き起こす事故は後を絶ちません。運転手や運送会社、荷主の身勝手な行動により、事故が発生して何人もの人の命が失われてしまうこともあります。近年、過積載の取り締まりが強化されている背景には、大きな事故を未然に防ぐ目的があるのです。 ここでは、過去に過積載が原因で起きた事故事例を紹介します。

過積載のダンプによる踏切事故

1992年、千葉県で最大積載量の約4倍の土砂を積んだダンプと電車が踏切で衝突する事故が発生しました。過積載のダンプは急な下り坂で止まりきれずに遮断機の下りた踏切に進入してしまい、電車と衝突して運転士が死亡。多数の乗客が負傷する大きな事故が起きました。 電車はダンプカーが踏切内に進入した際、直ちに非常停止措置を取ったものの、間に合わずに衝突。この事故でダンプは大破しています。 この事故をきっかけに、電車の前面の構造的が強化され、翌年には道交法が改正されて過積載の取り締まりが強化されています。

過積載のトラックによる正面衝突事故

2004年、岐阜県にあるトンネルの出口付近で、過積載のトラックと乗用車が正面衝突する事故が発生。トラックに乗っていた運転手2人と、乗用車に乗っていた一家5人が死亡する悲惨な事故となりました。 事故の原因は、過積載のトラックで起きたパンクです。事故当時、トラックには最大積載量の約1.5倍の建築資材が積まれており、タイヤが重さに耐えきれなくなった結果パンクして、ハンドル操作ができなくなったことが直接の事故原因とされています。 この事故により、県警はトラックの過積載を許可して運行させた道路交通法違反の疑いで、会社の社長を書類送検しています。 過積載を未然に防ぐ対策方法については、以下の記事で詳しく解説しています。 過積載対策は必要!違反を起こさないための有効な5つの対策を紹介  

過積載が発生する3つの原因

過積載が危険であることは周知の事実ですが、法定重量をオーバーして走行する貨物自動車が後を絶ちません。 利益が増えるという理由で過積載を繰り返すケースもありますが、コンプライアンスの問題や義務やペナルティがないグレーゾーンの存在も大きな原因として考えられます。 なぜ過積載が発生するのか、なぜ問題がなくならないのか、その理由をここで解説します。

新規参入条件の緩和による競争の激化

1990年の貨物自動車運送事業法施行、2001年以降の小泉内閣による構造改革などの影響を受けて、運送業界では新規参入の条件緩和が進みました。その結果、業界内の競争が激化し、運賃の低下を招いています。 重量精算制の場合、運搬重量に対して運賃が支払われるため、1台の車両に荷物をたくさん積んだほうがより多くの運賃収入を得られます。 そのため、積載量を超過した荷物を積ませて運賃の値下げに応じる会社が増えたのです。また、コスト重視の荷主により、過積載が発生するケースも多発するようになりました。 このように、同業他社との競争が激しい運送業界特有の事情から、過積載が後を絶たないとされています。

コンプライアンスの問題

荷主や現場のコンプライアンスの問題も、過積載が発生する主な原因の一つです。建設業界や産廃業界の一部では、過積載がまかり通る現実があります。 特に大きな現場では貨物自動車が次から次へと来て土砂を積み込んでいくため、運転手が積載量について断る余地はありません。ダンプ、産業廃棄物、トレーラーなどが最も過積載が発生しやすいとされています。 公共工事の現場などではコンプライアンスが重視されており、緑ナンバーのダンプが定量を守って運行しています。ただし、土砂は見た目以上に重たいため、定量を守ると高さ50cmの荷台すりきりまでしか積めません。街中を走っている土砂を山盛りに積んだダンプは、ほとんどが違法ということになります。

義務やペナルティのないグレーゾーンの存在

貨物自動車運送事業法では、他人の荷物を有償で運ぶ運送業は緑ナンバーであることが定められています。緑ナンバーの場合、運行管理を置かなければならず、点呼や運転者台帳の作成といった安全管理の項目も増えます。 しかし、運送業であっても土砂の販売業者という体裁であれば、自家用の白ナンバーでも営業することは可能です。緑ナンバーの場合、違反行為をすると業務停止や許可取り消しなどの厳しいペナルティを受けますが、白ナンバーには緑ナンバーのような義務やペナルティはありません。 このようなグレーゾーンの存在や、多重下請け構造も過積載の原因となっているのです。  

最大積載量の目安を知って過積載を防ごう

過積載とは、法律によって決められた車両の最大積載量をオーバーして走行することです。過積載は重大な事故を引き起こす可能性がある大変危険な行為です。法律違反によって重い罰則が科せられて、最悪の場合、事業停止に追い込まれる可能性もあります。 自分自身はもちろん、会社や周囲の環境を守るためにも、法令を遵守して安全運転を心がけましょう。

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