クレーン免許の取得は、建設現場や工場などのさまざまな場面で活かせます。ただし、免許の取得に関する内容は意外と知られていません。 そこで本記事では、クレーン免許の取得に関する概要や免許の種類、年収目安、実技試験のポイントなどについて紹介します。
目次
クレーン免許とは?
クレーン免許とは、クレーンの操作や運転のために取得しなければならない国家資格です。クレーンの操作・運転といえば、高層ビルの建設現場など、高所で作業する際に必要というイメージを持つ方が多いでしょう。 しかし、クレーンは工場や港で活躍するもののほか、公道移動できるものなどさまざまな種類があり、どのクレーンであっても該当する免許を取得している方でなければ操縦できません。そのため、クレーン免許取得者は多くの現場で重宝されます。
クレーン免許を持つ運転士の年収目安
さまざまな現場で重宝されるクレーン免許取得者ですが、クレーン免許を持つ運転士の年収目安はどれくらいなのか気になる方も多いでしょう。ここでは、クレーン免許を持つ運転士の年収目安を紹介します。 まずは年代別の平均月収を見ていきましょう。企業によって違いがあるものの、年代別の平均月収は以下のとおりです。
- 20代:30万円程度
- 30代:36万円程度
- 40代:45万円程度
20~40代の平均月収は37万円程度で、ボーナスを抜いた年収の目安は400~500万円程度です。ただ、同じクレーン免許でも種類によって平均年収は変化し、移動式クレーン免許を取得した運転士の方が平均年収は一般的に高い傾向にあります。
クレーン免許の種類
前述のとおり、クレーン免許にはさまざまな種類があります。そのため、免許を取得する際は自分がどのクレーンを操縦するのか明確にしたうえで、該当する免許を選択しなければなりません。 クレーン免許の代表的な種類は次のとおりです。
- クレーン・デリック運転士免許 (クレーン限定)
- クレーン・デリック運転士免許(限定なし)
- クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)
- 移動式クレーン運転士免許
クレーン免許の種類に関する詳しい内容は次のページで詳しく解説しています。 「クレーン免許における種類とは?取得する免許ごとの内容を紹介」
クレーン免許の取得に関する概要
クレーン免許の取得に関する概要として、次の4つが挙げられます。
- クレーン免許の取得方法と費用
- クレーン免許の試験内容
- クレーン免許取得の難易度
- クレーン免許のおおよその合格率
これからクレーン免許の取得を検討する場合、いずれも事前に把握しておきたい内容ばかりです。効率よく免許取得を進められるよう、ここでは概要ごとの詳しい内容をみていきましょう。
クレーン免許の取得方法と費用
1番確実なクレーン免許の取得方法は、教習所に通うことです。おおよそ、7~10日間程度で卒業が見込めます。 教習所に通えば安全衛生技術センターでの実技試験が免除されるため、学科試験さえ合格できればクレーン免許の取得が可能です。クレーン・デリック運転士免許の取得費用は地域などによって違いはあるものの、免除資格のない方で昼間は16万円程度、夜間は19万円程度となるでしょう。 クレーン免許の費用に関する詳しい内容は次のページを参考にしてみてください。 「クレーン免許の取得費用とは?必要となる資格や条件もあわせて紹介」
クレーン免許の試験内容
教習所に通わず「クレーン・デリック運転士免許」の試験を受ける場合、安全衛生技術センターで学科試験と実技試験の2つを実施します。いずれの試験も合格基準を満たすことで、免許を取得できます。 また、年齢や性別に関係なく本人確認書類があれば、誰でも受験可能です。ただし、免許交付は18歳以上となる点には注意しなければなりません。クレーン免許の詳しい試験内容については次のページで詳しく紹介しています。 「クレーン免許の受験に必要な資格と条件」
クレーン免許取得の難易度
国家資格の1つであるクレーン免許の取得は難しそうと感じる方も多いでしょう。しかし、実際の難易度はそれほど高いものではありません。ただし、合格率は「100%」でなく、事前の試験対策が必要です。 また、学科試験と比べると実技試験の合格率が低くなる傾向にあり、教習所に通わない場合は難易度が上がります。クレーン免許取得の難易度が気になる方は、次のページを参考にしてみてください。 「クレーン免許は難しい資格?!免許の種類・試験内容・合格率を解説」
クレーン免許のおおよその合格率
クレーン免許取得の難易度については理解したものの、実際の合格率について気になる方も多いと思います。クレーン・デリック運転士免許における、おおよその合格率は次のとおりです。
- 学科試験:約61%
- 実技試験:約48%
年によって多少の誤差はあるものの、合格率の目安は上記の数値となっています。実技試験の合格率は「50%」を下回り、難易度は高めです。確実に合格したいのであれば、実技試験免除のために教習所に通うことをおすすめします。 一方、移動式クレーン免許におけるおおよその合格率は以下のとおりです。
- 学科試験:約76%
- 実技試験:約60%
クレーン・デリック運転士免許に比べ、移動式クレーン免許の合格率は高くなる傾向にあります。
クレーン免許の実技試験で押えるべき4つのポイント
クレーン免許の実技試験で押さえておくべきポイントは以下の4つです。
- 荷ブレを抑える
- 他人が操作する様子を見る
- 落ち着いて運転する
- 荷の重心を意識する
クレーンの運転は操縦スキルだけではありません。事故を起こさないために、さまざまなことを理解して取り組む必要があります。ここでは、ポイントごとの詳しい内容をみていきましょう。
荷ブレを抑える
荷ブレとは、強風や荷物の重さ、急な操作などで吊り荷が大きく振れることです。荷ブレは大事故につながりやすく、最小限に留める必要があります。 そのため、操作手順などに問題がなかったとしても、実技試験で荷ブレが起こると減点対象となり、不合格となる確率は高まります。クレーンの操作方法はもちろんのこと、荷ブレを抑えるための練習を重ね、コツを掴みましょう。
他人が操作する様子を見る
クレーンの実技試験では、実際に操作する時間よりも他の受験者の操作を見る時間の方が多くあります。そのため、他人が操作する様子を見ながらのシミュレーション実施をおすすめします。 練習時には覚えている操作でも、実際の実技試験では頭が真っ白になり、思った通りの操作ができなくなるケースも少なくありません。他人が操作する様子を見ながらシミュレーションし、落ち着いて試験に臨みましょう。
落ち着いて運転する
落ち着いて運転することも、実技試験に合格するポイントの1つです。練習ではスムーズに操作できていても、実技試験になると焦りや緊張によって操作を失敗する方も少なくありません。そのため、まずがしっかりと落ち着くことが合格への近道といえます。 また一度のミスに焦り、さらにミスを重ねてしまう場合もあります。しかし、重大なミスでない限り、すぐに不合格になることはありません。「多少のミスは気にしない」と割り切るくらいの気持ちで運転することを心がけてみてください。
荷の重心を意識する
荷の重心を意識することも大切です。荷の重心がずれると吊りあげた時に荷ブレを起こしやすくなります。 そのため、荷の重心の真上にフックを確実に持っていくことが重要です。具体的には、ワイヤーをフックにかけ、ワイヤーがピンと張るまで巻き上げます。ワイヤーが真っ直ぐに張っていれば、荷の重心が取れている証拠です。
クレーン免許はさまざまな場所で活かせる
クレーンの運転士は重量のある荷物を運ぶ場面で欠かせない存在です。工事現場や工場、港など、さまざまな場所で活かせます。 ただし、クレーンの操縦や運転には高い技術はもちろんのこと、専門知識も要します。そのため、クレーン免許の所持者は貴重な存在であり、現場では重宝される可能性が高いです。 対応できる仕事の幅を広げ、ビジネスの拡大を目指す場合はクレーン免許の取得をおすすめします。